不動産屋社長のためのnote

生産緑地の2022年問題とはなにかわかりやすくまとめた

生産緑地の2022年問題とはなにかわかりやすくまとめた

 

生産緑地の売却が増えると、都市部で貴重な緑が失われだけでなく、宅地の大量供給でさらに住宅価格が下落する可能性があります。ただでさえ、空き家が増えている中、さらに空き家を増やしてしまう可能性が高いのです。そこで国(農林水産省と国土交通省)は、できるだけ生産緑地を保全する施策を出しています。

生産緑地の最新動向

2018年9月に、地主が第三者に生産緑地を貸しても税優遇を受けられる法律を施行

2017年6月から、自治体が条例で定めれば、生産緑地の面積要件を500㎡から300㎡に引き下げられる

面積要件を引き下げた主な自治体(2018年4月1日時点)
首都圏 練馬区、世田谷区、江戸川区、杉並区、足立区、横浜市、川崎市、さいたま市、流山市
中京圏 名古屋市、四日市市
近畿圏 高槻市、茨木市、京都市、神戸市

都会の農地 宅地化抑制

【…】「22年には多くの生産緑地の指定が解除可能になります」。9日、都内で開かれたセミナーに集まった生産緑地の地主らは、市民農園を運営するアグリメディア(東京・新宿)の講師の解説に熱心に耳を傾けた。

同社は生産緑地に指定された農地などの地主と契約し、市民農園として運営している。生産緑地などに関する相談は毎月150件ほどあり「月1~2回のセミナーは20人の定員がほぼ満席になる」(同社)という。

22年を迎えると、30年間としている生産緑地に対する相続税の支払い猶予などの優遇措置が切れる。地主は10年の指定延長か、自治体への買い取り申請を選べるが、財政に余裕のない自治体が買い取ることは難しい。地主が農業の継続を断念して一斉に土地を手放せば、宅地への転用が急増し、地価が下落するリスクが膨らむ。生産緑地をめぐる「22年問題」だ。

JR三鷹駅から徒歩10分の住宅地を歩くと、「生産緑地」の看板がかかった農地がいきなり視界に入る。かつて都市部の農地は「宅地化すべきもの」とみられてきたが、人口減少に加え、災害時の避難場所としての役割などから「残すべきもの」として再評価された。

このため農林水産省は、他の農家や企業などに生産緑地を貸しても地主が税優遇を受けられるとした法律を9月1日をめどに施行する。先の通常国会で成立した。借り手は生産緑地で育てた農作物の一定割合を周辺地域に売ることなどを条件に賃借契約を結べる。

国土交通省は17年6月から、自治体が条例で定めれば、生産緑地の面積要件を500㎡から300㎡に引き下げられるようにした。生産緑地がある自治体では要件緩和の条例の制定が相次いでおり、国交省が三大都市圏の222自治体を調査したところ、今年4月1日時点で面積要件を引き下げる条例を制定したのは約50自治体。18年度内には65自治体まで増える見通しだ。

東京都江戸川区は生産緑地の新条例を17年末に施行した。新たに対象となった300㎡以上500㎡未満の農地を持つ農家を訪問して新基準を説明した結果、これまでに4件の指定申請があったという。

国交省や自治体は空き家問題を抱え、むやみな宅地の増加を懸念している。農地の保全や農家の育成を掲げる農水省も、安易な農地の減少は受け入れにくい立場だ。非効率な農地を無理して残さず、宅地にすれば都市部の住宅価格を抑える効果が見込めるが、政策当局がそろって警戒するのは、長年続く政策の変更が住宅市況に予想外の影響をおよぼす事態だ

もちろん、たとえ政策で生産緑地の維持を後押ししても、借り手が農業を続けられるかどうかは別問題だ。生産緑地は総じて郊外の農地に比べ面積が小さく「不動産経営など農業以外で収入を得ている地主も多い」(関係者)。ニッセイ基礎研究所の塩沢誠一郎氏は「借り手が限られた農地で営農できる経営ノウハウなどを身に付けることが必要だ」と指摘する。

少子高齢化で人口が減るなか「単に宅地を増やすことで都市の魅力を高めることには限界がある」(塩沢氏)。生産緑地を維持するだけでなく、今後の都市の競争力をどう磨くかという総合的な視点が求められている。

(2018年8月15日日本経済新聞朝刊5面抜粋)

生産緑地のメリットは、農地扱いされるため、都心部であっても圧倒的に安い固定資産税相続税の納税猶予制度があることです。相続時に納税猶予を選択した場合には、評価額のほとんどが猶予され、相続人が亡くなるまで営農することにより猶予金額は免除となります。もし、生産緑地をやめて売却する場合は、相続時に遡って普通の宅地と同じ扱いの相続税を支払わなければならないため、売却益が減り、場合によってはそれほどメリットがない可能性があります

それならば、安い固定資産税のまま「市民農園」として誰かに貸して賃料を取る方がメリットあるんじゃないの?というのが、生産緑地を残すため農林水産省と国土交通省が出した政策です。近年、市民農園は大人気で、消費者が収穫や幅広い農作業をより身近に楽しみたいというニーズが大きくなっています。

都市農地維持へ税優遇 「生産緑地」22年期限 転用を抑制

農林水産省と国土交通省は、都市部の農地「生産緑地」を維持するための対策に乗り出す。地主の相続税を猶予したり、硬直的な土地の貸し借りの仕組みを柔軟にしたりして、企業やNPOが借りやすくする。市民農園などの形で活用を促す狙いだ。生産緑地の多くは2022年に期間満了を迎え、宅地転用が加速する恐れがある。東京などでは今後、緑地の保全が課題になる。

現在の生産緑地は1992年、都市部に農地を残す目的で導入。地主には30年にわたる税優遇を認めるかわりに、営農を義務付ける。全国には約1万3千haあり、東京都で約3200haを占める。高齢化に伴う代替わりで徐々に売却するケースが増えている。22年には全体の約8割の農地が優遇期間である30年の期限を迎える。

期限切れの際、地主は利用を10年延長するか、市区町村に農地の買い取りを求めるか選べる。だが、営農をあきらめる人が増えれば、一気に宅地化が進む可能性がある。住宅価格の急落など、「2022年問題」として懸念する声がある。農水省などは生産緑地の維持で影響を和らげる。

両省が力を入れるのは生産緑地の貸借。地主自ら耕作しなくても、企業やNPOに農地を貸し出せば相続税の納税猶予の対象とする。これまでは貸借への国の支援がなく、代替わりで営農をやめた場合は土地を売るしかなかった。15年の都市部の市民農園数は約3360件と9年前の3割増。借り手のニーズは強く、都会の飲食店に新鮮な野菜を届けるといったサービスの広がりも期待できる

農地の貸し借りに不安を抱く地主への対策も講じる。農地法は地主が貸借期間満了前に「更新しない」と通知しなければ、自動的に貸し借りが続く。借り手の耕作権を保護するためだが、「農地を貸すと返ってこない」と地主がためらう一因となっている。生産緑地の貸借に限り、この法解釈の適用外とする

土地をさらに借りやすくする仕組みも設ける。農地を借りる場合、農業委員会の承認が必要になるが、生産緑地については、市区町村の承認を得られれば土地を借りられるようにする

政府は昨年、「都市農業振興基本計画」を初めてまとめた。計画では都市農業について、農産物の供給だけでなく、農作業体験の場や災害時の避難所としても使え、良好な景観を生む機能があると評価した。都市部の農地は全農地面積の2%しかないが、大消費地に近く、販売額ベースでは全国の約1割を占める。

農水省などは早ければ秋の臨時国会に関連法案を提出し、年末の政府・与党による税制改正論議で必要な協議を求める。

(2017年9月6日日本経済新聞朝刊1面抜粋)

不動産の重要事項説明書における「生産緑地法」とはなにか

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2016.03.24