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生産緑地の2022年問題とはなにかわかりやすくまとめた

生産緑地の2022年問題とはなにかわかりやすくまとめた

あなたが不動産関係者なら「生産緑地」という言葉は知っていることでしょう。最近、生産緑地の「2022年問題」が不動産業界でクローズアップされています。

「2022年問題」とは、かんたんに説明すると、生産緑地の8割が2022年に指定解除となり、都市部にある農地(生産緑地)が宅地として大量に市場に供給されるという問題です。

不動産の重要事項説明書における「生産緑地法」とはなにか

不動産の重要事項説明書における「生産緑地法」とはなにか

2016.03.24

生産緑地画像byいくらチャンネル2022年、大都市部で宅地が大量発生するとみられている。都市部の農地に求められていた農作業の義務がなくなるからだ。地価に影響を与える制度変更に業者の動きも急だ。

11月中旬、三井ホーム横浜支店は「2022年問題!生産緑地対策セミナー」を開いた。5人の地主らは約1時間半、講師の話に聞き入った。

現在の生産緑地制度は、都市部に農地を残す目的で1992年、主に最大都市圏の市街化区域で始まった。生産緑地の指定を受けると固定資産税の軽減や相続税の納税の猶予といった税制優遇が受けられる代わり、地主は農業を営むことが義務付けられた

指定から30年たつと、地元自治体に農地の買い取りをを申し出ることができる。財政難などから買い取れない場合、自治体は他の農家へあっせんするが、買い手がつかないと指定は解除される。税制優遇がなくなるため、地主は売却や賃貸による土地の有効活用を考える必要がある

三大都市圏で約1万3000ヘクタールある生産緑地のうち、約8割が22年に指定から30年を迎える。指定を解除された農地が宅地として大量に不動産市場に流れ込むとみられるため、「2022年問題」といわれている。

セミナーに参加した横浜市の会社員の男性(58)は父親が生産緑地で農業を営む。「納税猶予を受けていると、過去に遡って課税されます」と講師役の税理士から聞き、「父親に納税の猶予を受けているかを確かめ、今後の対応を考えたい」と話した。

三井ホーム横浜店は8月からセミナーを始めた。相鉄ホールディングスも昨年から建設コンサルタントのオオバと組み、相鉄線沿線の生産緑地の活用を支援する。不動産関係者は、商機を逃すまいといち早く動き始めている

解除はすでに増えている。地主の死亡や営農が困難なときや公共施設をつくる場合に特例的に解除できるからだ。跡継ぎや手伝う人がいないため解除する例が目立つ。

川崎市の男性(81)は今春、一部を解除した。脳内出血で倒れ、その後復帰したが「すべての土地を1人で農作業するのは無理」と判断した。解除後に賃貸アパートを建て、積水ハウスが一括管理する。

さらに「農業ができずに解除した地主のなかには、早く解除した方が好条件が見込めることも理由の一つになった人がいる」(都内の税理士)の事実だ。

不動産業者や地主が商機を追い求めるほど、都市部で空き家や空き地が増える悪循環に陥る可能性がある。ニッセイ基礎研究所の塩沢誠一郎・准主任研究員は「人口減少ですでに空き家問題が叫ばれる中、宅地の有効活用には限界があり、空地が多く発生する」と危惧する。

(2016年11月27日日本経済新聞朝刊13面抜粋)

わかりにくいので、生産緑地のメリット・デメリットをまとめてみました。

生産緑地のメリット・デメリット

生産緑地は、大都市の市街化区域内の農地なので、一般的に土地の評価、利用価値は高いといえます。また、生産緑地に指定される条件の中に、「500㎡以上の農地」という条件があるため、まとまった土地が確保できます。

続いて、生産緑地の指定を解除して売買するための条件をまとめました。

生産緑地の解除条件

生産緑地は、農地以外としての転用・転売はできず、建築物等の新築・改築・増築や宅地造成など土地の形質の変更ができないなどの売買の制限がありますが、上記のどれかに該当した場合に、市町村の農業委員会に買い取ってもらうこと(買取請求)ができます。

市町村が買収せず、他の農業関係者も購入を申し出ない場合には生産緑地の指定が解除され、自由売買が認められます。逆に、上記のいずれにも該当しない場合は、生産緑地の指定は解除されません。

これまでの実績では、予算不足などの理由で、自治体(市区町村)による買取りの実績はほとんどみられませんでした。(市区町村が公共用地として欲した場合、買い取られてしまうことに注意)

ここで、本題の「2022年問題」についてもまとめました。

生産緑地の2022年問題とは?

2014(平成26)年3月時点の生産緑地は、全国で13,653ヘクタール(約4,130万坪)あります(「国土交通省平成26年都市計画現況調査」参照)。

東京はこちらになります。

・東京都:3,329ヘクタール(1,007万坪)
・東京23区:445ヘクタール(134万坪)、最大は練馬区の192ヘクタール(58万坪)

市街地に緑地が少ない大阪府はこちらです。

・大阪府:2100ヘクタール(635万坪)
・大阪市:79ヘクタール(23万坪)

これらの8割が不動産市場に流れ込む可能性があるということになります。

生産緑地の調査方法についてもまとめました。

生産緑地の調査方法

  1. 現地に「生産緑地」の看板が立っていることを確認する。(ネットでも検索することができる。)
  2. その土地が、生産緑地の指定を受けているかを役所の都市計画課で確認する。そして、指定年月日・指定期間・対象地番も併せて確認する。(このとき、生産緑地の指定解除されている場合もある。)また、その場で、現時点でその生産緑地において市町村への「買取請求」が出ていないかを確認する。
  3. 登記簿謄本を取得する。

政府は都市農地保全のため、生産緑地の保全のため、生産緑地に関して、規模要件(500㎡以上)の引き下げや農業目的で貸し出す際の相続税の納税猶予などを検討している。ただ都市農業はそもそも、広大な土地を使った農業に比べ生産効率が低い。規模を引き下げれば、生産効率はますます悪くなる。

都市農業には、都市住民の新鮮な農産物の供給やヒートアイランド現象の緩和、災害時の避難場所の確保などの機能がある。とはいえ、生産緑地の所有者に税の大幅な優遇を続けることに、税の公平性の点で疑問の声もある。

(2016年11月27日日本経済新聞朝刊13面抜粋)

様々な意見はありますが、現実問題として固定資産税が跳ね上がる所有者は、土地を維持できず、売却する土地が市場に多く出てくると見られます。もしかしたら、固定資産税や相続税評価額を下げる節税効果を狙って賃貸住宅に変わるかもしれません。多くの建売業者やマンションデベロッパー、その他の建設会社がこの「2022年問題」を商機として見ているという事実を知っておくべきでしょう。

次のページは【追記】になります。宅地化を阻止するため、国(農林水産省と国土交通省)の施策を中心に、最新の生産緑地の2022年問題の動向についてまとめています。

次のページは、2022年問題の最新情報

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