(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の契約書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)
不動産(土地・建物・マンション)を売買する際、契約書に「売買の目的物および売買代金」という項目があります。
(売買の目的物および売買代金) 第1条 売主は、買主に対し、表記土地(以下「土地」という。)および表記建物(以下「建物」といい、土地および建物を総称して「本物件」という。)を表記売買代金(以下「売買代金」という。)で売渡し、買主は、これを買受けました。 |
「売買の目的物および売買代金」の意味と内容
こちらは、不動産売買契約を結んだことを宣言する条項です。「売買契約」とは、売主が、買主に対して不動産の所有権を移転することを約束し、買主が、売主に対してその対価として代金を支払うことを約束することを内容とする契約です。
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
(民法第555条)
売買契約において、契約の当事者が誰であるか、不動産および売買代金の表示(はっきりと表し示すこと)は、契約を特定するための基本的事項です。
本物件(不動産)の表示について
本物件の表示にあたっては、次のようなことに注意が必要です。
1 登記簿どおりに記入
売買対象となる本物件(土地、建物)の表示にあたっては、土地、建物は登記簿の表示どおり正確に記入します。土地、建物が数筆、数棟に分かれていても、売買対象となる土地、建物はすべて記入しなければなりません。
(登記簿:土地の表示例)
(登記簿:建物の表示例)
2 登記簿と実際の物件が異なる場合
建物が未登記のときや、本物件の現況が登記簿の表示と違っているときは、建築確認済証、固定資産税評価証明書、実測図(地積測量図)等を参考にして、本物件を特定することが必要です。
本物件が一筆の土地の一部のときは、図面等を添付して、その部分を斜線などにより特定します。
3 設備は建物に含まれるのか
売買対象は「土地」と「建物」であり、建物には、別紙の設備表に記載した「設備」を含みます。中古建物を売買する場合、売買対象には設備を含めないとする契約の方法もあります。
しかし、新築住宅では「設備」は建物に当然含まれていますし、建築基準法第2条第1号の定義規定では「建築物には建築設備を含む」とされています。また、近年では、設備は高価格化しており軽視できないところから、本条は、建物に「設備」を含むものとしています。
建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。 |
なお、(財)不動産流通近代化センター新「戸建価格査定マニュアル」では、建物本体と設備のそれぞれについて部位別に査定することになっており、設備が有償で譲渡されることを前提としています。
設備のうちでも、売買対象に含まれるのは、別紙設備表の「設備の有無」欄に「有」と記載した設備に限られます(第14条第1項)。設備表に「無」と記載したもの、または記載されていないものは、売買対象の範囲には含まれません。
(設備の引渡し・修復) 第14条第1項 売主は、買主に対し、別紙「設備表」中「設備の有無」欄に「有」とした各設備を引渡します。 |
なお、売主は、買主に引渡す設備のうち、「故障・不具合無し」と記載した主要設備については、使用可能な状態で引渡さなくてはなりませんが、「故障・不具合無し」と記載した主要設備以外は、使用可能な状態で引渡す義務はありません(第14条第2項)。
(設備の引渡し・修復) 第14条第2項 売主は、買主に対し、前項により引渡す設備のうち、「故障・不具合」欄に「無」とした「主要設備」にかぎり、使用可能な状態で引渡します。 |
主要設備とは、給湯関係、水廻り関係、空調関係等のことです。
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