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不動産売買契約書の「売買対象面積・測量・代金清算」とは

不動産売買契約書の「売買対象面積・測量・代金清算」とは
不動産屋
不動産売買契約書の「売買対象面積・測量・代金清算」って何だったっけ…?
“こくえい和田さん”
不動産売買契約書第5条の「境界の明示」と共に、売買対象である地積土地の面積のこと)をどのように特定するか、その特定の方法によって売買代金の清算をするかどうかを定めた条項になります。

(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の契約書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)

不動産(土地・建物・マンション)を売買する際、契約書に「売買対象面積・測量・代金清算」という項目があります。

【売買代金清算型の「実測・清算型」】

(売買対象面積・測量・代金清算)

第4条 売主、買主は、本物件の売買対象面積を、建物については表記面積とし、土地については測量によって得られた面積とします。ただし、売主は、測量の結果得られた面積と登記簿記載の面積とに差異が生じたとしても、地積更生登記はおこないません。
2 売主は、買主に対し、残代金支払日までにその責任と負担において、隣地所有者等の立会いを得て、資格のある者の測量によって作製された土地の測量図を交付します。なお、同測量図には、表記清算の対象となる土地(以下「清算対象土地」という。)の範囲およびその測量面積も記載することとします。
3 前項にかかわらず、測量図の作製につき、隣地が国または地方公共団体の所有または管理する道路であるときは、その立会を省略して測量することができます。
4 売主、買主は、第2項の測量の結果得られた清算対象土地の面積と表記清算基準面積とに差異が生じたとき、売買代金清算に関する覚書を締結して、残代金支払日に表記清算単価により売買代金を清算します。

「売買対象面積・測量・代金清算」の意味と内容

こちらは、不動産売買契約書第5条の「境界の明示」と共に、売買対象である地積土地の面積のこと)をどのように特定するか、その特定の方法によって売買代金の清算をするかどうかを定めた条項になります。

「精算」と「清算」の違い

「精算」は、金額を細かく計算し、結果を出すときに使われます(例:スーパーで買った物を精算する)。一方、「清算」は、今までの貸し借りをすべて整理して後始末をつけるときに使われます。また、過去の関係に始末をつけるという意味もあります(例:友人から借りていたお金を清算した。)。

「精算」と「清算」を使い分けるのは、非常に難しいです。人間関係を解消するときや過去の事柄に決着をつけるなど、お金以外でも何かをきれいに整理するという意味があれば「清算」を利用します。

FRKの不動産売買契約書には、「実測・清算」型、「確定測量・清算」型、「売買代金固定」型の契約書があります。

実測・清算型契約書では、こちらの条項で道路査定(官民査定)を省略した測量によって得られた面積を売買対象面積とし、残代金支払日に清算単価により売買代金を実測清算することとしています。

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売買代金清算型と売買代金固定型の売買契約書の違い

土地の売買代金は、多くの場合「地積」をもとに算出されます。地積については売買契約締結後、残代金支払日までに測量をおこないその実測面積をもって地積とする方法売買契約締結時にすでにおこなわれた測量による実測面積をもって地積とし、売買代金を契約時に決めた金額に固定する方法、③測量の有無にかかわらず、登記簿面積をもって地積とし、売買代金は契約時に決めた金額に固定する方法公募売買という)の3つがあります。

FRKの不動産売買契約書では、①の場合の売買契約を「売買代金清算」型、②と ③の場合の売買契約を「売買代金固定」型としています。

「売買代金清算」型は、残代金支払日までに、隣地所有者等の立会いを得ておこない測量図を交付し、実測により売買代金を清算するタイプの契約であり、「売買代金固定」型は、売買契約締結前の測量または登記簿面積により地積を固定し、仮に売買契約後に行った測量による面積と差異が生じたとしても売買代金の変更をしないタイプの契約です。

売買代金清算型の不動産売買契約

売買代金清算型は、登記簿面積等の地積を記載して売買契約書を作成した上で、残代金支払日までに土地家屋調査士などの資格ある者による測量をおこない、実測面積と売買契約において定める地積が違う場合には、その差異分について、残代金支払いのときに、代金を清算する契約の方法です。実測面積と売買契約において定める地積との差異については、売買代金清算に関する覚書を締結して、残代金支払日に契約で定めた清算単価により売買代金を清算します。

売買代金清算型では、隣接するすべての土地の境界について、関係者の立会い(境界確認)を行うか否かについての合意が必要です。こちらの条項では、不動産売買契約が円滑に進行するように、国または地方公共団体が所有または管理する道路(公道)に関する立会い(境界確認)を省略できるとしており、これが売買代金清算型の「実測・清算」型の契約書になります。

一方、公道を含め、すべての隣接地の関係者の立会い(境界確認)を行い、これにもとづき作成された「確定測量図」を作成する完全な方法による測量を行う契約の書式が、売買代金清算型の「確定測量・清算型」の契約書です。売買代金清算型の「確定測量・清算型」における第4条は次の通りとなっています。

【売買代金清算型の「確定測量・清算型」】

(売買対象面積・測量・代金清算)

第4条 売主、買主は、本物件の売買対象面積を、建物については表記面積とし、土地については測量によって得られた面積とします。ただし、売主は、測量の結果得られた面積と登記簿記載の面積とに差異が生じたとしても、地積更正登記をおこないません。
2 売主は、買主に対し、残代金支払日までにその責任と負担において、隣地所有者等の立会いを得て、資格ある者の測量によって作製された土地の確定測量図を交付します。なお、同測量図には、表記清算の対象となる土地(以下「清算対象土地」という。)の範囲およびその測量面積も記載することとします。
3 売主、買主は、前項の測量の結果得られた清算対象土地の面積と表記清算基準面積とに差異が生じたとき、売買代金清算に関する覚書を締結して、残代金支払日に表記清算単価により売買代金を清算します。

FRKの不動産売買契約書では、個別取引の状況に応じて、的確の対応ができるように、「実測・清算」型と「確定測量・清算」型を別の書式としていますので、宅建業者は売主・買主と十分に打合せて、いずれの書式を利用するかを選択する必要があります。

売買代金固定型の不動産売買契約

売買代金固定型の売買契約書では、売買契約時に定められた売買代金に固定され、仮に売買契約書に記載された面積が実測面積と異なっていたとしても、清算はおこないません。

つまり、売買代金固定型において売買契約書に記載する売買対象面積は、売買代金算出の基礎となる面積ではなく、売買対象土地を特定するための記載ということができます。

【売買代金固定型】

(売買対象面積・測量・代金清算)

第4条 売主、買主は、本物件の売買対象面積を表記面積とし、同面積が測量による面積と差異が生じたとしても、互いに売買代金の変更その他何らの請求もしません。

この売買代金固定型の売買契約書に記載される売買対象面積としては、①売買契約前の測量による実測面積を記載する場合と、②登記簿に記載された面積(公募面積)を記載する場合があります。

①売買契約前の測量による実測面積を記載する場合

売買契約時にすでに測量が行われて実測面積が確定し、地積更生登記をおこなわずにこの実測面積により売買するケースでは、必ず売買契約書の表記の地積欄は登記簿上の地積を記入し特記事項欄に実測面積を付記します。

この場合、事前に売主側がおこなった測量が十分信頼でき、買主がその精度・内容について納得していることが必要です。売主が事前におこなった測量について買主が納得しないときには、売買代金固定型を使用するのかどうかについて、売主、買主と十分に協議する必要があります。売買代金固定型を使用しない場合には、「実測・清算」型あるいは「確定測量・清算」型の売買契約書を使用し、測量を再度おこなう必要が生じます。

なお、すでに測量が完了して確定測量図はあるが分筆登記が未了の場合も、この売買代金固定型を使用し、「確定測量図により分筆する特約」により売主に分筆登記を義務づけます。

確定測量図により分筆登記する特約

売主は、第9条の所有権移転登記の時期までに、その責任と負担において本件土地につき、分筆登記を完了します。

②登記簿に記載された面積を記載する場合

測量の有無にかかわらず、登記簿面積により売買するケースであり、公簿売買と言われる売買契約の方法です。

契約書の表記には登記簿面積を記載した上で、売買代金を固定したものとします。別荘地、山林、農地等、取引金額に比較して測量費用の額が大きすぎるもの、また既分譲地、土地区画整理事業地等で登記簿面積が信頼するに値すると判断できる場合に利用されることが多いようです。

一般的には土地区画整理事業地、大規模開発地、または分筆後の枝番地等以外では、ほとんどの場合、登記簿面積と実測面積は異なります。このような売買代金固定型の条項では、売買契約後に測量が行われるかどうかを問わず、残代金支払日には、売買契約書によって定められた代金が支払わなければなりません。もし仮に測量が行われて測量面積と売買契約書記載の土地面積との間に差があったとしても、売買代金は変更にはなりません。売買代金は、売買契約書に記載された金額に、固定されます。

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測量について

実測面積を売買対象面積とし、売買代金を清算する契約においては、どのような測量を行うのかが重要になります。測量は、土地家屋調査士などの資格のある者により、売買対象地と隣接するすべての土地の境界について、関係者の立会い(境界確認)を得て、これにもとづき作成された「確定測量図」を作成するのが、あるべき姿です。完全な測量図は、すべての隣接地の立会い(境界確認)を完了している「確定測量図」になります

本条(実測・清算型)第2項では、「売主がその責任と負担において測量図を交付します」と定め、測量費用を売主負担としています。

しかし、「確定測量図」を作成するには、隣地に道路・水路等公共用地があれば、所轄の国、自治体に境界の確認と立会い(官民査定)を求める必要があり、国や自治体の対応を待っていると、かなりの時間がかかることもあります。そのため、本条(実測・清算型)第3項では、買主の承諾が得られれば、隣地が国または地方公共団体の所有または管理する道路(公道)であるときは、その境界に関する立会いを省略して、隣接民有地のみの立会い、境界確認をした測量図を採用できることとしています。

なお、「現況測量図」と称して、官民、民民のいずれの査定の立会いも経ずに単に売主(所有者)がその土地を測量させた図面がありますが、売買対象面積・範囲が確定したとはいい難く、このような測量図による取引は避けるべきです

清算対象土地の特定について

清算対象土地の特定

「実測・清算」型では、売買対象土地に私道負担(道路境界線後退・セットバック部分を含む)があるか否かにより、清算の対象となる土地が異なります。

①私道負担のない場合

清算の対象となる土地は、売買対象土地全体となり、通常は登記簿面積と同じ面積となります。表記の清算単価は、土地面積から算出します(売買代金÷登記簿面積)。

②私道負担のある場合

清算の対象となる土地は、私道負担部分を除く有効宅地部分となります。この場合、実測図には、売買対象面積のみならず、清算対象の土地の範囲およびその測量面積も記載します。また、敷地と道路との関係を示す概略図を契約書に添付します。

一筆の土地の一部を分筆して売却する場合は、売買契約締結時の測量状況により、以下の特約処理をします。

測量・分筆の登記の特約

売主は、買主に対し、所有権移転登記の時期までに、その責任と負担において、本物件土地〇〇側道路に対し間口を〇〇m確保することを最優先とし、奥行を約◯◯mとする形状で、表記売買対象面積を確保するよう第4条の測量をおこない、分筆による表示変更登記を完了し、かつ土地の確定測量図を交付します。

代金の清算について

測量にもとづく売買代金の清算は残代金の増減により処理します。本条4項は、売買代金は、覚書を締結して清算することを定めています。売買代金清算にあたっては、売買代金清算に関する覚書を締結して、残代金支払日に表記清算単価により売買代金を清算します。

売買代金清算に関する覚書を作成する場合の覚書はこちら(不動産の表示は売買契約書記載の表示になります。なお印紙については、減額の場合は200円、増額の場合は増額分に見合った印紙を貼らなければなりません。)

なお清算基準面積と測量の結果得られた清算対象土地面積との差異が小さい場合には、清算を行わないという合意がなされることもあります。その場合の特約例は次の通りです。

清算基準面積と測量の結果得られた清算対象土地面積との差異が1㎡未満のときは清算を行わない旨の特約

売主、買主は、表記清算基準面積と測量の結果得られた清算対象土地面積との差異が1㎡未満のときは、第4条第4項の売買代金清算をおこないません。

地積更正登記について

地積更正登記とは、登記簿上の地積と実測面積が異なる場合、実測面積どおりに登記簿上の地積を変更して登記することをいいます。測量を行った場合には、実測面積が登記簿面積と異なることが多いため、地積更正の有無についてあらかじめ当事者の意見を確認し、調整しておく必要があります。

「実測・清算」型の本条第1項ただし書では、測量の結果得られた面積と登記簿記載の面積とに差異が生じたとしても、売主負担による地積更生登記はおこなわないこととしています。ただし、「確定測量・清算」型においては、地積更正登記を行うものとする場合もあります。地積更正登記を行う場合の特約例は次の通りです。

売主が地積更正登記をする旨の特約

1 第4条第1項ただし書にかかわらず、売主は、測量の結果得られた面積と登記簿記載の面積とに差異が生じたときは、残代金支払日までにその責任と負担において、地積更正登記を完了するものとします。

2 前項の地積更生登記の申請に必要な隣地所有者等の同意が得られないときは、売主は、買主に対し、平成◯年◯月◯日までであれば、書面により通知して、本契約を解除することができます。

3 前項により本契約を解除したとき、売主は、買主に対し、すみやかに受領済みの金員を無利息にて返還します。なお、売主は、買主に対し、損害賠償の責任は負いません。

地積更正登記を申請するには、原則として、①面積減少のときは隣地所有者の認印による境界確認書②面積増加の時は隣接所有者の実印(印鑑証明書添付)による境界確認書が必要とされています。しかし、法務局ごとに実務対応が異なりますので事前に専門家による確認が必要です。地積更正は、隣地所有者の同意なくしてはできないことであり、また、実際にはその同意が得られない場合もあることには、注意が必要です。

地積更正の手続きは、隣地所有者の同意や公共機関への手続き等困難な点が多く、残代金の支払い日までできるかどうか売主・買主によく確認して対応してください。特に地積更正の手続きを事前の交渉もなく売買契約を締結してから始めるケースにおいては、期限を定めた解除条件付の内容を加え、売主が売買契約を解除できるようにしておくべきでしょう。

測量ができなかったときについて

「実測・清算」型の本条第2項本文は、隣地所有者の立会いを得た上で、土地家屋調査士など資格ある者による測量図の交付を売主の義務としており、売主はこの義務を果たす必要があります。測量図の交付ができなければ債務不履行となり、違約金の支払い等の責任を負うことになる場合もあります。

しかし、隣地所有者等の立会いを得ることが困難であるなど、売主がこの義務を果たせないことがやむを得ないと考えられる場合もないとは言えません。もし、隣地所有者等の立会いを得ることが困難である可能性がある場合には、売主は買主の合意を得た上で、売主が買主に対して、一定の期日までに測量図の作製ができない場合は、売主は契約を解除することができる旨の特約を定めることができます。なお、一定の期日の目安は、残代金支払日の1ヶ月前ぐらいにします。

確定測量図を作製できない場合の解除特約

1 第4条第2項にかかわらず、売主は、買主に対し、確定測量図を作製できないとき、平成◯年◯月◯日まであれば、書面により通知して、本契約を解除することができます。

2 前項により本契約を解除した時、売主は、買主に対し、すみやかに受領済みの金員を無利息にて返還します。なお、売主は、買主に対し、損害賠償の責を負いません。

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2017.11.27
不動産屋
読んでもわからない・・・難しい・・・重説どうしたらいいんだ。。。

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