不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(首都圏近郊整備法)」という項目があります。
どのような不動産が「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」について説明します。
次の不動産は「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」について重要事項説明が必要です。
- 工業団地造成事業により造成された工場敷地(10年間)
首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律とは
首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律(首都圏近郊整備法)は、首都圏の近郊整備地帯に計画的に市街地を整備し、都市開発区域を工業都市、住居都市その他の都市として発展させることを目的として定められました。
これは、1950年代からの高度成長に伴い、東京を中心とする首都圏への人口・産業の集中は著しいものとなり、このため市街地の無秩序な拡大、居住環境の悪化、交通混雑、公共施設の不足、住宅不足などの過密・過大都市の弊害の深刻化という背景としてありました。
この問題に対処するために東京都を中心に、その周辺7県(首都圏:東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県の1都7県)を一体とした、広域的かつ総合的な首都圏整備が進められました。計画的に首都圏の中(近郊整備地帯)に工業都市を発展させることを目的としています。
工業団地造成事業とは、首都圏の近郊整備地帯または都市開発区域内において行われる工場の敷地の造成や、あわせて整備する道路・排水施設・鉄道などの造成や施設の整備に関する事業のことです。
工業団地造成事業により造成された工場敷地で、所有権・地上権・賃借権の権利の設定や移転を行う場合は、その造成工事の完了公告の日の翌日から起算して10年間は、施行者であった者の長の承認が必要です。
【造成工場敷地に関する権利の処分の制限】
第19条第2項の公告(工業団地造成事業の施行にかかる製造工場等の敷地の造成に関する工事が完了した旨の公告)の日の翌日から起算して10年間は、造成工場敷地の所有権、地上権、賃借権等の権利の設定または移転については、国土交通省令で定めるところにより、原則として、当事者が施行者であつた者の長の承認を受けなければならない。
ここでの「施行者であつた者の長」 とは、地方公共団体が施行者であった場合はその長、都市基盤整備公団または地域振興整備公団が施行者であった場合は国土交通大臣になります。
首都圏内の市区町村において、GoogleやYahoo!で「◯◯市 工業団地造成事業」と検索して調べて、該当すれば出てきます。ただ、日本の高度成長期に、工場建設を推し進めていた頃に使われた法律なので、ほとんどの事業はすでに完了から10年以上が経過しています。
調査した結果、売買の対象となる不動産が工業団地造成事業により造成された工場敷地に該当した場合には、不動産の重要事項説明書の「首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
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