不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「災害対策基本法」という項目があります。
どのような不動産が災害対策基本法の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における災害対策基本法について説明します。
次の不動産は「災害対策基本法」について重要事項説明が必要です。
- 指定緊急避難場所
- 指定避難所
災害対策基本法とは
災害対策基本法は、国土ならびに国民の生命や身体、財産を災害から守り、災害が発生した場合に被害の最小化および迅速(じんそく)な復旧を行うために、防災計画の作成、災害予防、災害復旧など災害対策の基本を定めることにより、防災行政の整備及び推進を図ることを目的に、1961(昭和36)年に定められました。
災害対策基本法は、1959(昭和34)年に発生した伊勢湾台風による災害を契機につくられましたが、東日本大震災の経験から、2013(平成25)年に次のように改正された結果、重要事項説明が必要になりました。
- 市町村長による避難行動要支援者名簿の作成
- 被災市町村・被災都道府県の事務について国による応急措置の代行
- 市町村長による指定緊急避難場所および指定避難所の指定
このうち、③が重要事項説明に関わる部分になります。
災害対策の一環として、市町村長は、政令で定める基準に適合する施設または場所を、災害の際の避難のために指定緊急避難場所(していきんきゅうひなんばしょ)として指定しなければならないとされています。指定緊急避難場所とは、切迫した災害の危険から一時的に逃れるための場所で、災害の種類(洪水・崖崩れ、高潮、地震・津波など)ごとに定めます。
また、市町村長は、政令で定める基準に適合する公共施設その他の施設を指定避難所として指定しなければならないとされています。指定避難所とは、災害によって自宅に住めなくなった場合などに避難生活を送る場所です。
指定緊急避難場所および指定避難所の管理者が、この指定を廃止することや、改築その他の事由により施設の現状に重要な変更を加えるときは、市町村長に届出なければなりません。
指定緊急避難場所
津波、洪水等による危険が切迫した状況において、住民等が緊急に避難する際の避難先として位置付けるものであり、住民等の生命の安全の確保を目的としている。
指定避難所
災害の危険性があり避難した住民等を災害の危険性がなくなるまで必要な期間滞在させ、または災害により家に戻れなくなった住民等を一時的に滞在させることを目的としている。
【指定緊急避難場所における制限行為】
指定緊急避難場所の管理者は、当該指定緊急避難場所を廃止し、または改築その他の事由により当該指定緊急避難場所の現状に政令で定める重要な変更を加えようとするときは、内閣府令で定めるところにより市町村長に届け出なければならない。
指定緊急避難場所は、市町村長により公示されるため、調査物件が該当しているかはGoogleやYahoo!で「◯◯(市町村) 指定緊急避難場所(指定避難所)」と検索すれば調べることができます。
ただ、指定緊急避難場所は、学校や公園など面積が広く公共の施設で指定されることが多いため、一般の不動産仲介で重要事項説明の対象となるケースは稀です。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、指定緊急避難場所に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「災害対策基本法」の項目にチェックをつけて、制限の内容を説明する必要があります。
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