こちらでは、抹消登記(まっしょうとうき)とはなにか、詳しく説明します。
登記内容がなくなったとき消してしまう登記
「抹消登記」とは、登記の内容そのものがなくなったときに消してしまい、登記全体の効力を失わせる登記です。抹消とは消してしまうという意味です。例えば、銀行などから融資を受ける際の抵当権設定登記は、返済を完了したときに抹消登記します。
(抵当権抹消登記)
抹消登記は主登記で行い、順位番号を付けます。抹消する登記の文字の下に下線を引くことで、抹消したことを示します。書かれていた文字は見えるので、抹消された内容がわかります。
紙の登記簿のときには、その登記が記載されている欄全体を交差させた朱線で消していました(朱抹:しゅまつ)。
抹消された登記事項は、現在は効力がないため、現状を知るためには無視してかまいませんが、その不動産の履歴を知ることができるため、調査する上で重宝されます。
抵当権抹消登記の原因
抵当権の消滅の原因には次のようなものがあります。
①弁済(べんさい)
借入金をすべて払い終わり、抵当権の被担保債権(借りたお金)が消滅すると、抵当権も消滅します。元本が確定した根抵当権は抵当権と同様なので、弁済により消滅し、抹消登記の原因は弁済となります。
②放棄(ほうき)
抵当権者または根抵当権者(貸した人)が、抵当権設定者(借りた人)の要請を受けて権利を放棄することです。例としては、共同担保となっている不動産の一部を売却する際に、その不動産について権利を放棄します。
③解除・解約(かいじょ・かいやく)
解除とは、契約当事者の一方が、一方的に契約関係を解消することです。返済すべき残高が少なくなり、債権債務(貸し借り)関係はあっても、抵当権で担保するほどではないときなどに、抵当権を解除します。根抵当権には、弁済という概念がないので、消滅の一般的な原因は解除です。解約は、解除と同じです。
④主債務消滅(しゅさいむしょうめつ)
保証委託契約による求償債権の抵当権について該当します。銀行から住宅ローンを借りる際、銀行に関連する保証会社に、万一のときは債務者に代わって銀行に代位弁済する保証人の役割を頼む(保証委託)契約をします。求償債権とは、保証会社が銀行に代位弁済したときに、その弁済額を債務者に請求する(求償という)債権です。債務者が弁済して主債務が消滅すれば、保証債務も消滅します。
⑤混同(こんどう)
混同は、混じり合ってひとつになるという意味です。抵当権者が担保不動産の所有権を取得すると、自分で自分に抵当権をかけているおかしな形になります。この場合に抵当権は、所有権と混じり合って消滅するのが一般原則です。
⑥抵当権の実行による売却
競売による売却により、配当の有無にかかわらず、抵当権はすべて消滅します。2番抵当権者が競売申立てをした場合でも、1番抵当権者は、2番抵当権者に優先して売却代金から配当を受けるので、いわば自動的・強制的に、自分が競売申立てをしたのと同じ結果となります。これは、2番抵当権者に後れる3番抵当権者についても同じことです。つまり、どの抵当権者が競売申立てをしても、結果として、すべての抵当権者を対象に手続きが進められます。
⑦完納(かんのう)
相続税を一度に納めることが困難な場合は、担保を提供して延納することができます。延納手続きを取ると、担保のために財務省の抵当権が設定されます。納め終わったときは、完納を原因として抵当権を抹消します。
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