不動産を売買する際、重要事項説明書の中に「計画修繕積立金等に関する事項」という項目があります。
(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の重要事項説明書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)
計画修繕積立金等に関する事項とは
修繕積立金(計画修繕積立金・大規模修繕積立金)とは、一般の管理費でまかなわれる通常の維持修繕のためではなく、マンションの外壁の補修のように、計画的な維持修繕を行うことにより、マンションの経済的・機能的価値を維持することを目的として積み立てられているお金です。
修繕積立金に関する管理規約の定め(案を含む)があるときは、その内容とすでに積み立てられている金額および滞納額について、重要事項説明書に記入して、説明する必要があります。積立額については、年数とともに変動するので、できる限り直近の数値(直前の決算期における金額等)を、いつの時点での内容かも含めて記入する必要があります。
修繕積立金は、通常の管理費と一緒に支払うのが一般的であるため、管理費を滞納している場合は、修繕積立金も滞納しているケースが大半です。そのため、修繕積立金についても滞納があるのかどうかを確認し、滞納がある場合は、重要事項説明書にその滞納している金額の記入が必要です。
調査方法
計画修繕積立金制度の有無や毎月の積立金の金額については、次の方法で確認することができます。
- 売主
- 管理規約
- 管理組合
- 管理会社
売主や管理規約で、毎月の修繕積立金がいくらなのかはわかっても、すでに積み立てられている金額についてはわからないということも多いです。そのため、調査の場合は、管理会社に連絡を取って「重要事項に係る調査報告書」を有料で取得します(無料の場合もあります)。
重要事項に係る調査報告書とは、マンションの中古取引を想定し、管理会社の側で、不動産会社が重要事項説明を行う際に必要な情報(管理費・修繕積立金等の月額・滞納の有無・これまでに積み立てられた額等)を載せた書類のことです。管理会社に直接問い合わせて、直近の「重要事項に係る調査報告書」を入手し、証拠書類として重要事項説明書に添付します。
(重要事項に係る調査報告書)
また、近いうちに大規模修繕や修繕積立金の変更が予定されているかどうかについても調査を行う必要があります。もし、大規模修繕計画や修繕積立金の変更が確定している、またはそれに近い状態にあるときは、トラブルを避けるためにも「その他」の項目欄に記入し、説明する必要があります。
計画修繕積立金等に関する事項の記入例
ケースによって記入する内容が異なります。さまざまなパターンの記入例を用意しました。
【修繕積立金に滞納がない場合】
【修繕積立金に滞納がある場合】
【大規模修繕が予定されているが、詳細については未定の場合】
【大規模修繕の計画が詳細に決定しており、その費用を買主が負担する場合】
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