こちらでは、温泉権(おんせんけん)について詳しく説明します。
温泉を利用する権利
温泉とは、25度以上の鉱泉(鉱物に由来する物質を含む湧水)のことです。温泉権とは、①湧き出たり、汲み上げる温泉(源泉)を利用する権利、②汲み上げられた温泉水を、引湯(いんとう、ひきゆ:分けてもらう)する権利という2つの権利を意味します。
温泉権は不動産調査の対象です。
温泉は、地下を流れる水が熱せられて涌き出たり、人工的に掘って汲み上げるものです。つまり、温泉水は、湧き出ている場所の真下だけではなく、地下の広範囲に流れている水が、たまたまその地点で地上に湧き出した、あるいは汲み上げられたものです。
そのため、温泉が湧き出ている土地を所有している人が温泉権を持っているわけではありません。
温泉権の公示方法は、湯口(地上へ湧き出した出口)周囲の土地を、鉱泉地(こうせんち)という地目で登記し、地中の温泉の権利を持っている者を温泉権者(おんせんけんしゃ:温泉権を持っている人)として土地の所有名義人とします。
ただ、土地の所有者といっても地中の温泉の権利を持っているだけなので、湯口の実際の面積というより、象徴的に1間×1間(1坪)とすることが多いため、鉱泉地の面積は3.3㎡(1坪)となっているケースが多いです。このような温泉権を、湯口権(ゆぐちけん)ともいいます。
温泉権のもうひとつの意味は、湯口から出る温泉水を離れた場所に引く権利で、これを引湯権(いんとうけん)、分湯権(ぶんとうけん)、温泉利用権などといいます。
温泉地では、温泉(源泉)は地区の共有財産となっていることも多く、そこから旅館やホテル、個人宅が引湯する権利(引湯権)を持ちます。また、温泉権付別荘地(おんせんけんつきべっそうち)では、分譲業者が所有する源泉から各区画所有者が引湯しているケースも多く見られます。
温泉権の調査方法
温泉に関する調査事項は次の通りです。
- 源泉名
- 所在地
- 泉温
- 湧出量
- 深度など
有名な温泉地については都道府県で調査を行っており、ほとんどの場合はその報告書(「源泉基盤報告書」「温泉報告書」などの名称)があります。これらに上記の調査項目が記載されています。
旅館やホテルなどの風呂場にある温泉分析書をみると、泉質や効能、禁忌事項などが書かれていますが、上記の調査にはあまり役立ちません。
また、温泉を数多く掘削して大量に汲み上げれば、湯量が減少し枯渇するおそれがあります。温泉の保護を図るために、都道府県は、条例で温泉保護区域などを定めて、掘削の全面禁止や一定条件下での許可という規制を行います。これらも調査項目であり、調査地に対してどのような規制がなされているかを調査します。
温泉権付分譲地の調査方法
温泉権付分譲地とは、そのまんま温泉権がついている別荘分譲地のことで、温泉権(引湯権)を購入します。
購入後は毎月の使用料がかかり、定額の場合と、基本料金に加えて使用した温泉に応じて従量料金の場合があります。また、新規取得後10年程度で更新料を支払うケースもあります。さらに、前所有者から別荘地を買い受けた者が温泉を使うためには、名義書換料を払うケースもあります。
このように引湯権(いんとうけん)には、月々の定期的費用がかかり、一時的な費用が発生することがあるので、それらの有無および金額を調査します。
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