固定資産税は、固定の資産がないと税の対象になりませんよね。不動産では土地と建物が固定の資産にあたります。
住宅用地(土地)や新築の建物、認定長期優良住宅の建物などには、負担を特に軽減する必要があることから、固定資産税が安くなる減税の特例が設けられています。具体的には、住宅用地のうち、住宅1戸につき200㎡までの部分については、固定資産税評価額の1/6になり、また200㎡を超える住宅用地については、固定資産税評価額の1/3になります。
ここでの住宅用地とは、1月1日現在、住宅(マイホーム・セカンドハウス・住宅用の賃貸マンションなど)の建物が存在する土地のことを言います。
では、年内に土地を購入して、1月1日時点で未完成の新築の場合、住宅用地(土地)の固定資産税は安くならないのでしょうか。ここでは、新築の不動産における固定資産税の住宅用地の軽減の計算方法と注意すべきことについて知りましょう。
新築時における固定資産税の減税の計算方法
新築の場合、いつから固定資産税がかかるのでしょうか。また、固定資産税の軽減の期間はどのような取り決めがあるのでしょうか。
・固都税(固定資産税・都市計画税)の計算方法についてまとめた
以下の条件を前提として実際に計算してみましょう。
・現在:2019(平成31)年1月1日 ・土地の固定資産税評価額:3,000万円 ・建物の固定資産税評価額:1,500万円 ・建物の新築年月:2019(平成31)年4月 ・建物の床面積(居住用・一般住宅):100㎡ ・土地の面積:160㎡ |
更地の場合の固定資産税
更地の場合は建物がないので、固定資産税がかかるのは土地だけです。更地とは、建物がなく、すぐにも建物を建てることのできる空き地のことです。
・更地の場合の固定資産税額:3,000万円 × 1.4% = 42万円 |
新築住宅が建った場合の土地の固定資産税
2019(平成31)年4月に完成ということなので、平成31年1月1日時点では家(建物)が建っていないとしましょう。そうなると平成31年度の固定資産税の軽減は受けることができません。平成31年は上記、更地の場合の固定資産税額となります。
令和2年1月1日は建物があるため、令和2年度の固定資産税から住宅用地の軽減の対象となります。土地の面積が160㎡なので、200㎡以下の小規模住宅用地に該当し、課税標準は1/6の額になります。
・令和2年度土地の固定資産税額:3,000万円 × 1.4% × 1/6 = 7万円 |
新築住宅が建った場合の建物の固定資産税
平成31年4月に完成なので、土地と同じく令和2年から固定資産税における新築住宅の建物の軽減の対象となります。平成31年1月1日時点で家は建っていないため、平成31年度の建物の固定資産税はかかりません。建物の面積が100㎡なので、一般住宅で120㎡までの部分については、3年間税額が1/2の額になります。
・令和2年度建物の固定資産税額:1,500万円 × 1.4% × 1/2 = 10.5万円 |
新築住宅の建物の軽減が終了した場合の建物の固定資産税
今回は一般住宅なので新築建物の軽減期間は3年間(令和2・3・4年)になります。そのため、2023(令和5)年からは通常の計算になります。
・令和5年度建物の固定資産税額:1,500万円 × 1.4% = 21万円 |
表にすると以下のようになります。(固定資産税評価額に変動がないと仮定)
土地の固定資産税 | 建物の固定資産税 | |
平成30年 | 42万円 | × |
平成31年 | 42万円 | × |
令和2年 | 7万円 | 10.5万円 |
令和3年 | 7万円 | 10.5万円 |
令和4年 | 7万円 | 10.5万円 |
令和5年 | 7万円 | 21万円 |
このように、固定資産税は家が建った日ではなく、その年の1月1日時点に不動産があるかどうかで、その年の所有者に対して課税されるかどうか決まります。つまり、1月2日に家が建っても、その年は更地として土地の固定資産税を払わなくてはいけないため、土地の固定資産税の軽減の恩恵をできるだけ受けるためには、12月31日より前で近い日に新築を建てるのがベストということになります。
ただし、建替えにより、一時的に住宅がない場合には、建替え前後の所有者が同じであれば、住宅用地となります。
建替えの場合の固定資産税の減税
更地ではなく、今建っている建物を2018(平成30)年12月に取り壊して、同じ場所に建物を新築するとしましょう。完成予定は同じく2019(平成31)年4月とします。普通この場合、平成31年1月1日時点で更地で建物が存在しないので、固定資産税の住宅用地(土地)の軽減を受けることはできません。
しかし、以下の要件を満たすものについては1月1日に建物がなくても、住宅用地の軽減を受けることができます。
・その年の前年度の1月1日において住宅用地であったこと ・住宅の新築が、建て替え前の住宅の敷地と同一の敷地において行われること ・その年の前年1月1日における建て替え前の住宅の所有者が同一であること ・その年の1月1日において、次のいずれかであること ①住宅の新築工事に着手していること ②住宅の新築について建築基準法の確認済証の交付を受けており、かつ、直ちに新築工事に着手するものであること ③住宅の新築について、確認申請を提出しており、確認済証交付後直ちに新築工事に着手すること |
上記の適用を受けるためには、所定の手続き(基本的には不動産会社が行います)が必要になります。
このように更地ではなく、同じ場所で建物を取り壊して新築する場合は、固定資産税の軽減を受けることができます。