こちらでは、事業用定期借地権(じぎょうようていきしゃくちけん)について詳しく説明します。
事業用建物に限定された定期借地権
事業用定期借地権は、定期借地権の種類の1つです。事業用建物に限定され、設定するにあたっての契約は、必ず公正証書で行う必要のある定期借地権です。
公正証書(こうせいしょうしょ)
公証人(こうしょうにん:私的紛争の予防を防ぐため、証明行為を行う公務員)が作成した、法律行為や権利についての証書(しょうしょ:事実を証明する文書)です。
事業用定期借地権の期間は、10年以上50年未満です。これは従来、10年以上20年以下だったところ、2008(平成20)年の改正により50年未満に延長されたものです。
事業用定期借地権は、借地借家法第23条に基づきます。
もっぱら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。次項において同じ。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、第9条および第16条の規定にかかわらず、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、ならびに第13条の規定による買取りの請求をしないこととする旨を定めることができる。
2.もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的とし、かつ、存続期間を10年以上30年未満として借地権を設定する場合には、第3条から第8条まで、第13条及び第18条の規定は、適用しない。
3.前2項に規定する借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によってしなければならない。
事業用定期借地権の代表例は、郊外型店舗の出店です。
郊外型店舗は20年も経てば周辺状況などが変わるため、長期の借地期間を必要とせず、また、借りるときの高額な権利金を支払いたくないと考えるからです。
(事業用定期借地権の登記例)
事業用定期借地権のまとめ
●1992年(平成4年)8月1日施行の借地借家法によりつくられた、3種類の定期借地権のうちのひとつ。
●もっぱら事業の用に供する建物の所有を目的とする(居住は不可)ので、借主は事業者に限定される。
●借地の契約期間を10年以上50年未満として契約可能(2008年(平成20年)借地借家法の改正により改められた)。
①契約の更新なし
②建物の築造・再築による存続期間の延長なし
③期間満了による建物買取請求権なし
→期間満了時には建物を取り壊し、更地にして貸主(地主)に返還すること
※契約期間が10年以上30年未満の場合は必ず①~③の特約が必要。
※契約期間が30年以上50年未満の場合は特約するかどうかは任意。
(30年以上の契約期間を定める場合は、建物譲渡特約付借地権を併用することもできる。)
●契約は必ず公正証書の書面で行う必要あり。
●契約の更新や延長はないが、新たに事業用定期借地権を契約することはできる。
●契約期間の途中で中途解約はできない(特約で中途解約できる旨を定める事は可能)。
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