不動産の重要事項説明書に「第三者による占有」欄にチェックをつける項目があります。
売買契約締結の時点で、売主とその家族以外の「第三者」が、売買する不動産を占有しているかどうかを調査して記入する必要があります。
こちらでは、不動産重要事項説明書の「第三者による占有」の内容についてわかりやすく解説します。
(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の重要事項説明書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。)
なぜ調べる必要があるのか?
消費者目線で考えると、上記の主張はもっともです。「買ったお家に住めなかった」みたいなことがあってはいけません。
売主以外の誰かが、そのお家に住んでいないかどうかを事前に調べる必要があります。
なにを調べる必要があるのか?
売買する不動産に、売買契約締結の時点で「第三者による占有」があるかどうかを調べる必要があります。
ここでの「第三者」とは、本来、売主・買主の当事者以外の人全てが該当しますが、売主の家族(売主と同一生計を営む者)は第三者とはカウントせず、それ以外の人が該当します。
もし、「第三者」の人が賃貸などで住んで占有していなければ「無」とします。
第三者による占有を調べる前に、本当に売主かどうか調べる必要がありますが、詳しくは「売主の表示とはなにか」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
重要事項説明書の記載例
第三者が占有している場合は、その理由を説明しなければなりません。
①第三者に賃貸(占有)している建物を売買する場合(立退きがある場合)
対象不動産建物は、別添◯年◯月◯日付建物賃貸借契約に基づき上記賃借人へ賃貸されています。売主の責任と負担において、所有権移転登記の時期までに、建物賃貸借契約を解除し、立退きを完了していただきます。
「第三者」の人が賃貸などで住んでいる(占有している)場合は、「有」とし、その占有者の住所・氏名に加えてどのような権利に基いて占有しているか、その根拠を調査し、記入します。また、売主にてその権利を解除し、立退きを完了する場合にはこのような文言となります。
②第三者に賃貸(占有)している建物を売買する場合(オーナーチェンジの場合)
対象不動産建物は、別添◯年◯月◯日付建物賃貸借契約に基づき上記賃借人へ賃貸されています。今回の取引は賃借権の負担付で売買するもので、買主には売主の賃貸人としての地位を所有権移転と同時に承継していただきます。また、賃貸人としての地位の承継に伴い、賃借人から預かっている敷金も売主から買主へ承継していただきます。
「第三者」の人が賃貸などで住んでいる(占有している)場合は、「有」とし、その占有者の住所・氏名に加えてどのような権利に基いて占有しているか、その根拠を調査し、記入します。また、オーナーチェンジ(賃借権を承継する売買)の場合にはこのような文言となります。
③他人物売買の場合
売主による対象不動産取得契約の所有権移転時期が未到来のため、現所有者が所有権に基づき占有がなされています。
売主ではあるけど、所有権を取得していないという場合は他人物になります。
このケースは、売主は対象不動産をまだ取得していませんが、購入の売買契約は既に結んでいる場合になります。
例えば、売主が登記簿上の所有者(前売主)と売買契約は結んでいるが、登記簿上の所有者(前売主)に代金を全額支払っていないケースや「第三者のためにする売買契約(通称:さんため)」が該当します。
なお、他人物売買のケースでは、すでに登記簿上の所有者(前売主・磯野カツオ)が対象不動産から立退きを完了している場合であっても、売主と前売主との不動産の決済(所有権移転の時期)までは、前売主の管理下にあるため「有」になります。
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