不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律(地方拠点法・地方拠点都市法)」という項目があります。
どのような不動産が「地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律」の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における「地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律」について説明します。
次の不動産は「地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律」について重要事項説明が必要です。
- 拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域内(拠点整備促進区域内)
地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律とは
地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律は、1992(平成4)年制定され、地方拠点都市法(ちほうきょてんとしほう)や地方拠点法(ちほうきょてんほう)と略されます。
地方は、若年層を中心に人口減少が広がっており、活力の低下が見られる一方、人口や様々な機能の東京圏への一極集中により、過密にともなう大都市問題が更に深刻化するという状況が生じ、都市と地方の格差が拡大しています。
そこで、地方の中心都市とその周辺市町村を地方拠点都市地域に指定して、都市機能および居住環境の整備を促進し、産業施設の地方への分散移転による再配置を進めることを目的として制定されました。
わかりやすくまとめると、全てが集中する東京から地方に人や仕事を分散させて、地方に活力と魅力ある地域づくりを進めるための法律です。
地方拠点都市地域は都道府県知事が指定します(国土交通省HP参照)。令和3年11月26日時点で、全国503市町村が指定されています。
(地方拠点都市地域)
都市機能と居住環境整備の手段として土地区画整理事業を促進するために、拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域(略して拠点整備促進区域)を定めます。
拠点整備促進区域は、地方拠点都市地域内の市街化区域のうち、次の要件を満たす区域で定めます。
- 良好な拠点業務市街地として整備・開発される各種条件を備えている
- 大部分の土地が建築物の敷地として利用されていない
- 2ha以上あること
- 大部分が商業地域内にあること
拠点整備促進区域内で、土地の形質の変更や建築物の新築・改築・増築をする場合は、原則として都道府県知事(指定都市または中核市では市長)に許可が必要です。
【拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域内での制限行為】
拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域内において、土地の形質の変更または建築物の新築、改築もしくは増築をするには、原則として、都道府県知事(指定都市または中核市では市長)の許可が必要です。ただし、通常の管理行為、軽易な行為、非常災害の応急措置としての行為、都市計画事業の施行として行なう行為については、許可の必要はありません。
調査した結果、売買の対象となる不動産が拠点整備促進区域(拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域)に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
なお、国土交通省のHPを確認すると「広島県呉市の呉駅南拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域」と「香川県坂出市の坂出駅南口拠点業務市街地整備土地区画整理促進区域」の2ヶ所しか該当しませんが、変更や廃止、事業の完了の可能性があるので役所にて確認が必要です。
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