不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「特定空港周辺特別措置法」という項目があります。
どのような不動産が特定空港周辺特別措置法の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における特定空港周辺特別措置法について説明します。
次の不動産は「特定空港周辺特別措置法」について重要事項説明が必要です。
千葉県成田市・多古町・山武市・横芝光町・芝山町の不動産で、
- 航空機騒音障害防止地区内
- 航空機騒音障害防止特別地区内
特定空港周辺特別措置法とは
特定空港周辺特別措置法の正式名称は、特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法で、特定空港周辺法や騒特法(そうとくほう)とも略されます。
特定空港周辺特別措置法は、大阪国際空港(伊丹空港)の開港後、空港周辺に宅地開発が進み人口が増加したことで騒音訴訟が大問題となったため、成田空港(成田国際空港)において、空港周辺で宅地開発が進まないよう住宅等の建築制限等を行うことを目的に、1978(昭和53)年に定められました。
そのため、ここでの特定空港とは「成田空港」を指しています。
この法律で、航空機の著しい騒音が及ぶ地域を「航空機騒音障害防止地区」として定めています。また航空機騒音障害防止地区のうち、特に航空機の著しい騒音が及ぶ地域を「航空機騒音障害防止特別地区」として定めます。
航空機騒音障害防止地区内で、住宅・学校・病院などの新築、増改築を行う場合は、定められた基準の防音工事(防音上有効な構造)が義務づけられています。また、航空機騒音障害防止特別地区内では、原則として住宅や学校・病院等の建築が禁止されています。そのため、特別地区内での住宅の移転補償や土地の買取制度があります。
航空機騒音障害防止地区(航空機騒音障害防止特別地区を除く。)内において次に掲げる建築物をしようとする場合においては、当該建築物は、政令で定めるところにより、防音上有効な構造としなければならない。
一 学校
二 病院
三 住宅
四 前三号に掲げる建築物に類する建築物で政令で定めるもの2 航空機騒音障害防止特別地区内においては、前項各号に掲げる建築物の建築をしてはならない。ただし、都道府県知事が、公益上やむを得ないと認め、または航空機騒音障害防止特別地区以外の地域に建築をすることが困難もしくは著しく不適当であると認めて許可した場合は、この限りでない。
特定空港というのは成田空港を指しているので、千葉県の市区町村のみ、航空機騒音障害防止地区と航空機騒音障害防止特別地区が定められています。千葉県のHPを確認すると、千葉県成田市・多古町・山武市・横芝光町・芝山町が該当します。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、航空機騒音障害防止地区、航空機騒音障害防止特別地区に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「特定空港周辺特別措置法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
航空機騒音障害防止地区、航空機騒音障害防止特別地区は、都市計画法で定める「地域地区」の一つです。地域地区とは、都市計画区域内の土地を、どのような用途に利用すべきか、どの程度利用すべきかなどを定めて21種類に分類したものです。
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