毎年3月になるとニュースや新聞などで「公示地価(こうじちか)」や「地価公示(ちかこうじ)」「公示価格(こうじかかく)」という言葉を聞くと思います。
公示地価は、あなたの土地が今いくらなのか参考になる目安です。
ここでは、公示地価(地価公示・公示価格)についてわかりやすく説明します。
公示地価とは国が公表している土地価格
最初に形式的に説明しますね。あとでわかりやすく説明します。
国土交通省が毎年3月に公表するその年1月1日時点における全国の標準地の土地価格を公示(こうじ:公的機関が一般の人に公表すること)するもので、一般の土地取引や相続税評価・固定資産税評価の目安として活用されるとともに、公共用地の取得、金融機関の担保評価、企業が保有する土地の時価評価の基準・指標としても活用されます。
この地価を公表することを「地価公示」といい、地価公示によって公表された価格を「公示地価」といいます。
1969年施行の地価公示法に基づき、70年から公示地価を発表しています。全国の約2,500人の不動産鑑定士が評価して、学識経験者らでつくる国土交通省土地鑑定委員会が適正な地価を公表しますが、建物の価値などに左右されないよう土地を更地として評価します。
その際、土地の用途を「住宅地」「商業地」「工業地」などに分類して発表します。2021年の地価調査地点は約2万6000地点です。
公的機関が公表する主な地価の指標は、公示地価のほか、国税庁が7〜8月に公表する路線価(1月1日時点)、都道府県が調べて国土交通省が9月に公表する基準地価(7月1日時点)があります。路線価は主要な道路に面する土地が対象で、相続税や贈与税の算定に使い、基準地価はその年半ばの地価動向がわかる指標となっています。
地価公示法
(目的)
第1条 この法律は、都市およびその周辺の地域等において、標準地を選定し、その正常な価格を公示することにより、一般の土地の取引価格に対して指標を与え、および公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与することを目的とする。(土地の取引を行なう者の責務)
第1条の2 都市およびその周辺の地域等において、土地の取引を行なう者は、取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行なうよう努めなければならない。(地価公示法第1条)
つまり、地価公示とは地価を公表すること、公示地価は地価公示によって国から公表された土地価格ということになります。どっちでも良いような感じでもあります。また、公示地価を公示価格と呼ぶこともあります。
まとめると公示地価を発表する主な理由はこちらです。
- 一般の土地の取引に対して指標を与えること
- 不動産鑑定の基準となること
- 公共事業用地の取得価格算定の基準となること
- 土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
- 国土利用計画法による土地の価格審査(基準地価)の基準となること
もしかして、相続というと「路線価」だと思ったかもしれません。相続税や贈与税の算出に使う路線価額は公示地価の80%、路線価図に路線価がのっていない土地や建物について使う固定資産税評価額は公示地価の70%の水準になるように計算されているため、公示地価は土地の相続評価や固定資産税評価の基準となっているのです。
公示地価 | 基準地価 | 路線価 | |
調査主体 | 国土交通省 | 都道府県 | 国税庁 |
調査地点数 | 約2万6000 | 約2万2000 | 約33万6000 |
調査時点 | 1月1日 | 7月1日 | 1月1日 |
特徴 | 土地取引や金融機関の担保評価に活用 | 土地取引の指標(都市計画区域外も対象) | 相続税や贈与税の算定基準になる |
基準地価について詳しくは基準地価とはなにか、路線価について詳しくは路線価とはなにかで説明していますので、ぜひ読んでみてください。
公示地価をわかりやすく説明すると…
一般的に、不動産は何十回、何百回と頻繁に購入するものではありません。また、同じ場所に全く同じ不動産はこの世に2つとありません。加えて、土地は一つ一つの形も違い、面積も異なりますよね。そのため、不動産の本当の価値や価格をつけることは難しく、結果として売主の言い値や買主の付け値によって取引価格が異なってしまいます。
しかし、一般消費者が土地(不動産)取引や資産価値をはかるにあたって、その土地の適正な価格がいくらなのかという客観的な目安は必要ですよね。
とはいえ、土地の特性(角地・南向き・高低差がない・前の道路の幅が広い・駅に近いなど)や取引する人のそれぞれの事情(借金返済のために早く売らなければならないなど)から、実際の取引では公示地価より高い場合も低い場合もあります。
あくまでも公示地価というのは、それぞれの事情などが取り除かれた、自由な取引において通常成立すると考えられる1㎡あたりの価格(正常価格)を示しています。
また公示地価は、土地のみの価値を示すため、建物がない状態である更地(さらち)として価格を出します。これは一戸建やマンションなどの建物部分は、広さだけでなく建築年数や建築費用も違い、土地と併せて計算するとより複雑になり、比較が難しくなるためです。
評価しているのは、不動産の鑑定評価の専門家である不動産鑑定士です。2人の不動産鑑定士が別々に現地を調査し、最新の取引事例(取引事例比較法)やその土地からの収益の見通し(収益還元法)などを分析して価格を算出します。さらに、地点間や地域間のバランスなどを検討し、国土交通省の土地鑑定委員会が公示価格を決定しています。公示地価は単に2つの鑑定評価を平均したものではありません。
住宅地や商業地など周辺の状況や形・広さを考えて、標準的な土地を公示地価の対象として選んでいます。その地域の価格の基準となる標準地をどこに選ぶかは重要です。そのため標準地は特に次の点に留意して選ばれています。
- 代表性(だいひょうせい):その地域全体の地価水準をできる限り代表しうるものであること。
- 中庸性(ちゅうようせい):近隣地域での土地の利用状況、環境、面積、形状等が中庸(ちゅうよう:片寄らず調和がとれていることの意味)のものであること。
- 安定性(あんていせい):近隣地域での安定した土地の利用状況に配慮したものであること。利用状況が移行している場合はその変化にも十分に配慮したものであること。
- 確定性(かくていせい):明確に他の土地と区分され、範囲が特定できるものであること。
公示地価は、その土地の形状(間口と奥行き)、周辺の土地の利用状況、ガス・水道・下水道の整備状況などが示され、その条件の土地でいくらかということがその内容となっています。
(公示地価の例)
公示地価は、取引したい土地が公示地点よりもっと駅に近いから高いとか、道幅が狭いから安いといったことを比較しておおよその価格を判断するために使います。ただし、公示地価はその年の1月1日時点の価格ということに注意が必要です。
公示地価を調べたい方は、国土交通省のWebシステムを無料で利用することができます。
まとめ
公示地価について理解できましたか?
地価公示は地価を公表すること、公示地価は国から公表された土地価格ということでしたね。
あなたが土地の適正な価格がいくらなのか知りたいときに、国が公表している客観的な目安となる土地の鑑定価格が公示地価ということなのです。
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