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位置指定道路(42条1項5号道路)の現地調査方法「指定幅員の測り方」

位置指定道路(42条1項5号道路)の現地調査方法「指定幅員の測り方」

(※この記事は、筆者のベテラン君が実際に不動産会社から依頼を受けた「物件調査・重説作成」案件をもとに、調査や重説作成のポイントをわかりやすく説明するものです。)

こちらの記事では、位置指定道路(42条1項5号道路)を現地調査するときの「指定幅員の測り方」について、物件調査のポイントをわかりやすく説明しています。

位置指定道路とは?あなたの不動産に接する42条1項5号道路とはどのような道路か

42条1項5号道路とはどのような道路なのかわかりやすくまとめた

2015.12.11

不動産営業
今日は道路調査のアドバイスをお願いします。
不動産営業
今回の取引物件は、建物は古いので、買主は建て替え用地として購入予定です。
このあたりは昭和40年代にミニ開発の分譲がたくさん行われた古い住宅地でして・・
道路や埋設管の調査がややこしそうです。

位置指定道路

位置指定道路(公図)

ベテラン君
わかりました。道路調査は、「その敷地に建物を建築できるか、建築に制限がないか」という内容を確認する大切な調査です。
古い住宅地ですから、とくに注意して調べましょう。
ベテラン君
・・ところで、この物件は専任媒介物件ですから、売却依頼を受けたときに道路調査は行っていますよね?
不動産営業
もちろん、物件価格に影響しますから、土地や戸建の価格査定を行うとき、まっ先に道路を調べます。
前面道路は、位置指定道路(法42条1項5号道路です。
ベテラン君
なるほど、位置指定道路でしたか。役所の建築指導課で確認されたんですね。
道路位置指定図面(位置指定申請図)を取得しましたか?
不動産営業
いやぁ、まだ役所調査には行ってないんです。インターネットで道路種別情報を閲覧したので、役所に行くのが後回しになって・・。
ベテラン君
最近は自治体の情報公開も進みました。ホームページで都市計画や道路に関する情報、防災情報やライフラインまで公開してくれるところもありますね。
でも、インターネットは予備的な調査という位置づけにしてくださいね。
役所に足を運んで、担当者に直接確認することを怠ってはダメですよ。
不動産営業
わかりました・・(-_-;)
ベテラン君
では、今から役所へ行って位置指定申請図を取得してください。取得した図面は、写メして送ってくださいね。ついでに、道路位置指定基準のパンフレットがあればもらってください。
物件の現地に着いたら電話をくださいね。では。

【ワンポイント】位置指定道路とは

土地の所有者が特定行政庁に申請し、位置の指定を受けて築造した幅員4m以上の道路(建築基準法第42条1項5号の道路)です。
小規模の宅地開発などでよく見られます。例えば、開発業者が分譲地を区画割りして、全ての区画が接道するように分譲地内に道路を造りますが、その道路が建築基準法上の道路として認められなければ、接道する区画に建物を建築することができません。

位置指定道路とは

位置指定道路は、もとは開発業者などの所有地ですから私道です。完成後に公共機関に移管されて公道(42条1項1号道路)となるケースもあります。

(現地とビデオ通話がつながっています。)

ベテラン君
まずは、現況の道路形状が、位置指定申請図と同じかを確認しましょう。
実は、古い年代の位置指定道路は、当時の指定と現況が違っているケースが結構あるんですよ。違っていれば、建物を建築するときに、当初の指定どおりの道路位置に復元するように役所から指導されます。道路後退を求められて結果的に有効宅地面積が減少してしまう場合もありますから、要注意ですね。

※有効宅地面積の減少:建築の際に建ぺい率・容積率の計算の基になる敷地面積が減ること。

有効宅地の減少

ベテラン君
では、道路幅員と、隅切りの寸法を測ってください。
不動産営業
(脅かさないでよね。有効面積の減少なんて。もう登記簿面積で売買予定になっているのに・・まったく・・ほら、ちゃんと5mあるわ )

道路の幅員

不動産営業
ベテラン君、位置指定図の通り、5mありますよ!
2辺が2mの隅切りもありますので、現況は位置指定図のとおりです。問題なしです!
ベテラン君
・・念のため、物件の並びを歩いてもらえますか?
ベテラン君
ココだけL字溝が15cmほど後退してますね。最近新築されたお宅でしょうか。道路後退した可能性がありますね。

位置指定道路(道路後退)

不動産営業
指定幅員の5mあるのに・・。どうしてですか??
ベテラン君
位置指定図を確認しましょう。
古い時代の図面ですね。↓ココをみてください。

位置指定図

ベテラン君
道路を築造したときの構造図(断面図)ですけれど。よーく見てくださいね。

位置指定図断面図

ベテラン君
指定道路幅員を測定する基準が示されているんです。これをみると、L型側溝の肩の内側を基準にしていますよ。
さっき、側溝のどこからどこまでを測りましたか?
不動産営業
側溝の外から外で道路幅員を測りました。いつも道路幅員を測るときは、そうしていますから。
ベテラン君
指定幅員は、L型側溝の肩の内から内で5mなければいけません。外から外で5mしかないとすると、内から内は4.7~4.8mくらいになってしまうでしょう。
つまり、指定幅員に足りないので復元のため道路後退が必要になる可能性が大きいといえますね。
不動産営業
・・・・
ベテラン君
現地資料をもとに、もう一度役所に戻って、役所の見解を確かめる必要がありますね。

仲介担当者のための物件調査のポイント
位置指定道路の調査
「指定幅員の測り方」を間違えない

位置指定道路の調査は、現地の計測結果と役所(建築指導課など)で取得する道路位置指定申請図をつき合わせることから始まります。もしも現況が申請時の図面と異なれば、再建築時には原則として位置指定図の通りに復元するように指導を受けることになります。そうすると、道路後退によって有効宅地面積が減少する可能性があり、建築計画に大きな影響がでます

さて、指定道路幅員の測り方ですが、建築基準法で一律に定めているわけではありません。
エリアの特性に応じて、各特定行政庁が道路の技術的基準を定めることができますので、指定幅員の測り方についても、自治体によって異なります。

自治体のパンフレット(道路位置指定基準、位置指定取扱要領など)に測り方が記載されています。また、当該位置指定図面の断面図にも、幅員の測定基準が記載されています。指定幅員を確認する際には、どこからどこを測るのか、基準を確認したうえで、現地でメジャーをあててください。

位置指定道路とは?あなたの不動産に接する42条1項5号道路とはどのような道路か

42条1項5号道路とはどのような道路なのかわかりやすくまとめた

2015.12.11

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この記事の執筆者

村上 遼太
村上 遼太むらかみ りょうた

イクラ認定物件調査士、イクラちゃんねるパートナー。不動産コンサルタント。
大手不動産会社にて、仲介営業・新築販売・人材育成・契約審査等に携わった経験から、現在は物件調査、売買契約書・重要事項説明書の作成代行、事前リーガルチェック業務を行う。
また、売買・賃貸管理の仲介営業マン向けの実務に特化した受講者数(年間延べ人数)9万6000名を超えるeラーニング講座「週刊○☓アカデミー」を6年に渡って提供している。
主な資格は、宅地建物取引士、不動産コンサルティングマスターなど。
調査をメインに20年を超える圧倒的実務経験から『ベテラン君』と呼ばれている。
個別の仕事のご依頼は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。

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