こちらでは、特別用途地区(とくべつようとちく)とはなにかについて、詳しく説明します。
用途地域の制限では不十分な場合に追加で指定される
特別用途地区は、用途地域が指定されているエリアに重ねて指定され、用途地域の制限だけでは不十分な場合に、さらに細かい制限を加えたり、緩めたりする特別な地区です。
用途地域の指定がないエリアに単独で指定されることはありません。
1998(平成10)年の都市計画法改正前まで特別用途地区は次の11種類に限定されていましたが、地域の実情に応じて臨機応変に対応するために、市町村が自由に定められるようになっています。
①特別工業地区:地場産業の保護や、公害を防ぐために立地すべき工業の業種・業態を限定する地区
②文教地区:学校などの文化教育施設を集め、その環境を守る地区
③小売店舗地区:小売店舗を集め、利便性を高める地区
④事務所地区:官公庁や事務所を集める地区
⑤厚生地区:医療施設・社会福祉施設などの厚生環境を保護する地区
⑥娯楽・レクリエーション地区:レクリエーション施設などを集める地区
⑦観光地区:観光地において旅館やホテルを集め、利便性を高める地区
⑧特別業務地区:流通業務施設などを集める地区
⑨中高層階住居専用地区:都心部の定住人口を増やすために、建物の中高層階を住宅用途に誘導する地区
⑩研究開発地区:研究開発施設を集める地区
⑪商業専用地区:商業施設を集め、利便性を高める地区
特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため指定されるもので、具体的な建築物の建築制限または禁止に関する規定は、地方公共団体の条例で定められる。条例に基づき特別用途地区では、当該用途地域の一般的な用途制限を強化するだけでなく、国土交通大臣の承認を得たうえで制限が緩和されることもある。
- 具体的な建築物の建築制限または禁止に関する規定は、地方公共団体の条例で定められる。
- 国土交通大臣の承認を得たうえで用途制限が緩和されることもある。
例えば、大阪市西淀川区の竹島・御幣島地区は、大阪市によって「工業保全地区」に指定されています。
この竹島・御幣島地区は、用途地域でいうと「工業地域」に指定されています。工業地域内に住宅を建設することは許されていますが、あまりにも住宅建設が進んでいる状況を踏まえて、広範囲に多種多様な工場が集まっており、工業機能の維持・保全を図るため指定した地区が「工業保全地区」です。そのため、工業保存地区の戸建、マンション、老人ホームなどの建設は禁止されています(ただし、建替えは除きます)。
このように特別用途地区とは、用途地域に+α追加で制限された地区といえます。
調査している不動産が特別用途地区に該当しているかどうかはGoogleやYahoo!で「◯◯市 特別用途地区」と検索すれば調べることができます。
上記の不動産は特別用途地区内にありません。特別用途地区は、必要に応じて定めるものであり、多くの自治体は特に指定していません。
特別用途地区は、都市計画法で定める「地域地区」の一つです。地域地区とは、都市計画区域内の土地を、どのような用途に利用するべきか、どの程度利用するべきかなどを定めて21種類に分類したものです。
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