不動産を売買する際、重要事項説明書の中に「割賦販売に係る事項」という項目がある。
(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の重要事項説明書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)
割賦販売に係る事項とは?
不動産における割賦販売とは、不動産(宅地または建物)を引き渡した後に、売買代金の全部または一部を2回以上に分割して、1年以上の期間にわたって支払う契約をして販売することをいう。住宅ローンに近いが、住宅ローンはお金を貸す担保として対象物件が組み込まれている。もし、買主がローンを支払うことができなくなった場合は、住宅ローンの債権者(銀行)が不動産を売却し資金を回収する。それに対して割賦販売は、対象物件の所有権留保(完済するまで売主が所有権を持つこと)や譲渡担保(事実上、担保として確保するために、買主から不動産の所有権を譲り受けること)が許されていない。
わかりやすい例として、新しく携帯電話を購入する際、24回の分割払いというのがあると思うが、これが割賦販売だ。携帯電話を端末代金の担保にしているわけではないので、払えなくなったときでも携帯電話自体が回収されるわけではない。
割賦販売に係る事項が「有」の場合
もし、割賦販売に係る事項が「有」の場合は以下のことを説明しなければならない。
現金販売価格
不動産(宅地または建物)を引き渡しまでに、割賦販売しなかった場合の売買代金全額を授受する場合の価格について説明する。
割賦販売価格
割賦販売で販売する場合の価格で、現金販売価格に比べてどのくらい高くなるのかを説明しなければならない。
引渡しまでに支払う金額
対象不動産の引渡しまでに支払う金額で、割賦販売のときは一般的に「頭金」と呼ばれる。
割賦金の額
賦払金とも言い、割賦販売価格から引渡しまでに支払う金額を差し引いた額を分割して支払うときの、各回ごとの代金。
支払いの時期および支払方法
上記「引渡しまでに支払う金額」・「割賦金の額」についてそれぞれ記入する。
割賦販売の場合の契約解除等の制限について
割賦販売における契約解除の制限については、宅建業法第42条第1項の「宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限」に基いて、「割賦販売に係る事項」の欄ではなく「契約の解除に関する事項」の項目に記載する。
宅地又は建物の割賦販売の契約の解除等の制限
宅建業者が自ら売主となる宅地または建物の割賦販売契約について、賦払金(=分割払いの各回の返済額)の支払いの義務が履行されない場合においては、30日以上の相当期間を定めて、その支払いを書面で催告し、その期間内に当該義務が履行されないときでなければ、賦払金の支払の遅滞を理由として、契約を解除しまたは支払時期が到来していない賦払金の支払いを請求することができない。
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