こちらでは、都市計画事業の事業決定(認可)段階の制限について、詳しく説明します。
65条制限・都市計画事業制限
都市計画道路などの都市計画事業は、原則的に、市町村が都道府県知事の認可を受けて実施します。ただし、市町村が施行することが困難な場合は都道府県が、国の利害に重大な関係がある場合は国の機関が、また、特別の事情がある場合は、その他の者が施行することができます。
計画決定段階から事業決定段階になると、具体的に事業が始まるため、この段階での制限は厳しいものとなります。この制限は都市計画法第65条に定められていることから、「65条制限」や「都市計画事業制限」といいます。
・都市計画事業の計画決定段階の制限についてわかりやすくまとめた
①行為制限
下記の行為は、すべて都道府県知事の許可が必要です(都市計画法第65条)。
- 土地の形質の変更
- 建築物の建築その他工作物の建設
- 移動の容易でない(重量が5トンを超える)物件の設置・堆積
②土地の先買い
土地建物を売買しようとするときは、予定対価の額や相手方等を事業施行者に届出なければならず、事業施行者は、その土地建物を先買いすることができます(都市計画法第67条)。
計画決定段階での先買いの対象は土地だけですが、事業決定段階での対象は土地だけでなく建物・工作物も含まれます。また、届出先および先買いの権利があるのは、都道府県知事ではなく施行者になります。
③土地の買取請求
地区内の土地はいずれ買収されるので、買取の前に土地所有者は、事業施行者に対して、自分のほうから買取を請求できます(都市計画法第68条)。
事業決定後の確認事項
上記①の行為制限の内容について、都道府県知事からの事業認可等がされているか否かは、必ず確認するようにしてください。
事業認可等がされた場合には、市町村長は、事業地を表示する図面、設計の概要を表示する図書等の写しをその市町村の事務所において公衆の縦覧に供さなければならない、とされています(都市計画法第62条2項)。
そのため、宅建業者は、役所にてそれらの図面、資料等を入手して、対象不動産の利用に係る障害、影響及び制限の内容等を確認のうえ、十分に説明を行う必要があります。
対象不動産の一部に都市計画道路が含まれているような場合には、どの部分に、どれくらいの面積が計画に含まれているか確認する必要がありますので、都市計画課などの関係先で、図面上でその位置を明示してもらうことが望ましいでしょう。
対象不動産自体に都市計画道路が含まれていない場合でも、近くに計画がある場合や、交通量の多い自動車専用道路等、対象不動産への影響が多大であると予想される場合には説明するべきでしょう。
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