こちらでは、都市計画事業の計画段階」の制限について、詳しく説明します。
53条制限・都市計画制限
都市計画の決定といっても、この段階では計画が決まっただけで、具体的にいつ事業を実施するかは未定です。例えば、都市計画事業である都市計画道路には、計画決定のまま数十年が経過しているものもあります。
そのため、計画決定の段階では、あまり厳しい制限を課すことができません。一方、計画決定段階から事業決定段階になると、具体的に事業が始まるため制限は厳しくなります。
・都市計画事業の事業決定段階の制限についてわかりやすくまとめた
なお、計画決定段階の制限は、都市計画法第53条に定められていることから「53条制限」や「都市計画制限」といいます。
一般的な制限
都市計画施設の区域または市街地開発事業の施行区域内で、建築物の建築を行う場合は、次の適用除外のものを除いて、都道府県知事の許可が必要です(都市計画法第53条)。
上記以外の建築行為は許可が必要ですが、次の条件に該当する場合は、都道府県知事は、必ず許可をしなければなりません。
事業予定地内の特例
上記の一般的制限の特則として、事業予定地内の特例と施行予定者が定められている場合の特例があります。事業予定地とは、都市計画施設の区域内で知事が指定した区域と市街地開発事業の施行区域(土地区画整理事業と新都市基盤整備事業を除く)です。
つまり、事業予定地とは、都市計画事業が近々行われる予定の土地であり。計画決定の段階とはいえ、事業が行われることが確実なので、一般の計画決定よりは強い制限があります。
①行為制限
事業予定地内での建築物の建築は、一般的な制限の許可条件に該当しても、許可しないことができます(都市計画法第55条)。
②土地の先買い
土地を売却しようとするときは、予定対価の額や相手方について都道府県知事に届出なければなりません。都道府県知事は、その土地を優先的に先買いできますが、先買いするかどうかは任意で、買わないこともできます(都市計画法第57条)。
③土地の買取請求
許可に該当するのに不許可とされる場合は、土地所有者は都道府県知事に対して土地の買い取りを請求でき、都道府県知事は、特別の事情がない限り買取しなければなりません(都市計画法第56条)。
事業の施行予定者が定められている場合の特例
都市計画の決定にあたり施行予定者を定めたとき、施行予定者は都市計画の告示から2年以内に事業認可・承認の申請をしなければなりません。つまり、施行予定者を定めた場合は、近いうちに事業決定段階へと移るため、事業決定(認可)段階に近い厳しい制限を加えます。
①行為制限
建築物の建築・工作物の建設に加えて、土地の形質の変更についても許可が必要になります(都市計画法第57条の3)。
②土地・建物の先買い
計画決定段階では、土地の売却だけでしたが、土地と一緒に建物を売る場合も先買いの対象となります。都道府県知事は、その土地・建物を優先的に先買いできますが、先買いするかどうかは任意で、買わないこともできます(都市計画法第57条の4)。
③土地の買取請求
①の建築物の建築・工作物の建設、土地の形質の変更の許可・不許可に関係なく、いつでも買取請求ができます(都市計画法第57条の5)。
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