不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「土地収用法」という項目があります。
どのような不動産が土地収用法の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における土地収用法について説明します。
次の不動産は「土地収用法」について重要事項説明が必要です。
- 事業認定後の起業地
土地収用法とは
土地収用法(とちしゅうようほう)は、公共の利益となる事業に必要な土地の収用または使用に関して、その要件や手続き、収用に伴う損失の補償などについて規定した法律で、1951(昭和26)年に定められました。収用とは「(国家が公共の用にあてる目的などで)取り上げて使うこと」の意味です。
簡単にいうと、公共事業などを行う際に必要となる土地を取得するための制度が土地収用制度です。道路や公園、そして河川・下水道・学校建設などの公共事業を行う場合には、広大な土地を取得して利用する必要があります。しかし、その対象となる全ての土地をスムーズに取得できるわけではなく、先祖代々所有の土地などの理由で手こずる場合も少なくありません。また、補償金額などの金銭面で合意が得られない場合や、相続で土地の所有者が決まっておらず、所有権をめぐる争いをしている場合もあります。このような事情があると土地取得の契約自体が結べなくなり、工事は行き詰まってしまいます。
土地収用制度は、契約を結ぶことが困難な場合に、事業者側が土地収用制度の手続きを取ることにより、その土地の所有者の了解がなくても強制的に土地の所有権を取得することができるというものです。もちろん、立退きの補償はきっちりと行います。
土地収用は、強制的に行うもののため、どんな事業でも許されるわけではなく、公共目的の事業(収用適格事業)に限られています。
こちらは土地収用法における手続きの流れになります。
事業者は、任意の契約が交渉によってまとまらないとき、都道府県に設置されている収用委員会に裁決の申請をしますが、その前段階として事業認定を受けます(事業認定手続)。事業認定は、その事業について土地収用の必要があるかどうかを判断し、事業者に収用する権限を与える手続きです。
裁決の申請後、収用委員会は、審理を経て補償金額等を決定する裁決(収用裁決手続)を行い、事業者は裁決にもとづき土地を取得します。
事業認定の告示のあと、起業地について、事業に影響を及ぼす土地の形質変更をするときは都道府県知事の許可が必要です。
【起業地の制限行為】
事業の認定の告示があった後においては、都道府県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはなりません。
「起業地(きぎょうち)」とは、起業者(事業を行う者)が事業を施行する土地、つまり収用する土地のことを指します。 また、「事業の認定」とは、起業者が事業のために土地、権利、土地定着物件または砂れきを収用もしくは使用しようとするときに、国土交通大臣または都道府県知事から受ける認定のことです。
そのため、事業認定後の起業地は、それが自分の土地であっても所有者が勝手なことはできません。
事業認定の告示を受けた起業地については、国の事業の場合は国土交通省のHPか、それ以外はGoogleやYahoo!で「◯◯(都道府県) 土地収用 事業認定」と検索すれば調べることができます。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、事業認定後の起業地に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「土地収用法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
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