不動産を売買する際、重要事項説明書の中に「土地の表示」という項目がある。
(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の重要事項説明書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)
土地の表示とは?
土地の表示は、売買の目的物となる土地を特定する重要な記載事項であり、売主・買主に正確に認知させる必要がある。そのため原則、登記簿表題部の記載のとおり記入する。土地の筆数が多い場合には、一筆ごと正確に記入するが、行が足りない場合には、別紙に記入する。
A.一筆の土地の一部が取引の対象となる場合
一筆の土地の一部が取引の対象である場合は、合計欄に「◯◯◯.◯◯㎡のうち◯◯.◯◯㎡」のように記入するが、数量だけでは取引の対象を特定することが難しく、また売主・買主にとってもわかりづらいので、別途図面を添付し、対象部分を色刷り等で表示するとともに、契約書にも同様の図面を添付する必要がある。
B.私道部分が分離されていない場合
C.セットバック部分がある場合
D.私道が分筆されており、そのうちの一筆を所有する場合
E.私道の共有持分を有する場合
合計の欄は「120.10㎡×1/6=20.01㎡」と計算せず、そのまま「120.10㎡のうち持分1/6」と記入するようにする。
もし、土地区画整理事業等の施行地区内に対象の土地があり、仮換地の指定がなされている場合には、まず従前の土地を所在欄に記入する。加えて空欄に仮換地に指定された表示も併せて記入する。
土地の売買対象面積
ちなみにFRK契約書には、土地だけの売買、土地建物売買ともに、売買代金清算型(実測・清算型、確定測量・清算型)と売買代金固定型の2つの種類がある。
売買代金清算型
売買代金清算型は、登記簿面積等の地積を記載して売買契約書を作成したうえで、残代金支払日までに土地家屋調査士等の有資格者による測量を行い、残代金支払時に実測面積と売買契約において定めた地積との差異について、売買代金を清算するという契約である。売主と買主との間で、売買代金清算に関する覚書等を締結するなどして、実測面積と売買契約記載の地積との差異について、残代金支払時に、合意された清算単価に基づいて売買代金を清算する。
したがって、売買契約締結時には、測量図(または確定測量図)は存在しない。
売買代金固定型
売買代金固定型は、測量図(または確定測量図)の有無にかかわらず、登記簿面積を売買対象面積とする方法(公簿取引)と、売買契約締結時に測量図(または確定測量図)がありその実測面積を売買対象面積とする方法との2種類があり、いずれの場合も契約時に売買代金を決めて(固定して)契約する。もし、売買契約後に売買対象面積と実測面積との間に差異があることが判明しても、売買代金の清算はしない。
したがって、土地の売買対象面積欄には、当該取引が登記簿面積または実測面積のどちらを対象とするかをチェックの上、説明する。なお、法務局備え付けの地積測量図は、現在では、隣地所有者の境界確認書の添付が義務付けられていて、地積測量図の信頼性は極めて高いものとなっている。だが、かつては、立会証明書(筆界ごとの義務づけはない)で足りるとされていた時期や、隣地所有者との立会証明書の義務付けさえなかった時期もあったため、一般的に古い地積測量図ほど信頼性が高いとはいえないことに注意が必要である。したがって、物件の地積測量図が古いもので、現況と一致していない可能性があると考えられる場合は、新たに土地を測量して売買代金の清算を行う売買代金清算型(実測・清算型、確定測量・清算型)による契約を売主・買主に勧めるべきである。
実測面積
本欄に記載する実測面積は、(4)測量図面欄の1. 測量図または、2. 確定測量図のどちらかの実測面積が対象となる。なお、民民の境界立会い・境界確認を得ないまま、売主の指示のみによって作製された測量図面である場合には、客観的精度に確証が得られないため本欄に記載してはならない。
測量図面欄
本欄は、①測量図面がある場合には、1. 測量図または2. 確定測量図のどちらかをチェックし、その作製日・作製者等を記入する。②売買代金を清算する場合において、売主が残代金支払日までに測量図面を作製し買主に交付する場合には、1. 測量図または2. 確定測量図のどちらを作製・交付するのかを記入する。
測量図面についてFRKでは、
- 測量図…国または地方公共団体が所有・管理する道路との境界(=官民)を除いて、隣地所有者等の立会いを得て(=民民)、資格ある者により作製された図面。
- 確定測量図…道路を含む全ての隣地について隣地所有者等の立会い(境界確定)を得て、資格ある者によって作製された図面。
としているため、これに該当しない測量図は本欄に記入してはいけない。
a.売買代金清算型(実測・清算型)による契約で、売主が、残代金支払日までに売買対象土地の測量図を作製し、買主に交付する場合
b.売買代金固定型で、登記簿面積を売買対象面積として契約する場合(公簿取引)
c.売買代金固定型で、確定測量図の実測面積を売買対象面積として契約する場合(例えば、分筆登記未了の新築戸建ての場合で、重要事項説明の時点で確定測量図が作成できている場合)
d.売買代金固定型で、登記簿面積と測量図の実測面積が一致しており、登記簿面積を売買対象面積として契約する場合(公簿取引)
e.仮換地の場合
権利の種類
土地の権利の種類について、所有権か借地権かを選択する。
借地権の場合
土地が借地権の場合は、地上権・賃借権かを選択し、借地対象面積を記入する。
1.非堅固建物の所有が目的の場合
いわゆる旧法の場合だ。
「(2)期間」のカッコ内は、更新前の最初の借地契約に定める借地期間を記入する。
2.普通借地権の場合
新法(借地借家法)の場合だ。
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