不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」という項目があります。
どのような不動産が「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」について説明します。
次の不動産は「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」について重要事項説明が必要です。
- 移動等円滑化経路協定区域内
高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律とは
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」は、高齢者や障害者が自立した日常生活や社会生活を行えるように、公共交通機関・道路・公園等、建築物の構造や設備を改善するための法律で、2006(平成18)年に定められました。バリアフリー新法と略されます。
この法律のうち、重要事項説明の対象となるのは移動円滑化経路協定(いどうえんかつかけいろきょうてい)に関する内容で、具体的には「移動等円滑化経路協定の承継効(第46条)」に当てはまるかどうかになります。
「移動等円滑化経路協定」とは、道路幅員が狭いためスムーズな通行が可能な歩道幅員が確保できなかったり、個々の施設はバリアフリー化されているが、施設間の接続部などに段差が残り、移動の円滑化が確保されていない問題に対応するための取り決めです。
そのため、バリアフリー重点整備地区内において、個々の施設に関する土地所有者等の当事者間の合意により、地域の実情に応じた一体的なバリアフリー化を実現するための、移動経路の整備や管理に関する協定として結びます。これが「移動等円滑化経路協定」です。
この協定締結後に、土地所有者が移ってもその効力が及ぶ承継効(しょうけいこう)を設けて、協定の内容に高い安定性と永続性を確保します。
【移動等円滑化経路協定区域内での制限行為】
移動等円滑化経路協定は、その公告があった後において当該移動等円滑化経路協定区域内の土地所有者等となった者に対してもその効力が及ぶ。
バリアフリー重点整備地区内の移動等円滑化経路協定区域内の土地所有者は、協定に定められた移動等円滑化に関する基準に従って、各々の経路または経路を構成する施設の整備または管理を行うことが求められ、協定によっては、施設整備に係る実質的な費用負担や協定に違反した場合の違約金などが課されることもあります。
移動等円滑化経路協定に該当しているかはGoogleやYahoo!で「◯◯市 移動等円滑化経路協定」と検索すれば調べることができます。
上記の不動産は、バリアフリー重点整備地区(新大阪地区)内ですが、移動等円滑化経路協定区域内ではありません。ちなみに大阪市には、25地区のバリアフリー重点整備地区がありますが、移動等円滑化経路協定の締結を行っている地区はありません(令和6年3月時点)。
(バリアフリー重点整備地区[新大阪地区])
調査した結果、売買の対象となる不動産が、移動等円滑化経路協定区域に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」の項目にチェックをつけて、制限の内容を説明する必要があります。
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