不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「都市公園法」という項目があります。
どのような不動産が都市公園法の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における都市公園法について説明します。
次の不動産は「都市公園法」について重要事項説明が必要です。
- 公園一体建物(こうえんいったいたてもの)
都市公園法とは
都市公園法は、都市公園の設置と管理に関する基準などについて1956(昭和31)年に定められました。
都市公園とは、町の中にある普通の公園から、大規模な総合公園や運動公園、国営公園、都市緑地など、都市の中にある様々な公園をまとめて総称したものです(国土交通省HP「都市公園の種類」参照)。
かつての都市公園は、立体的な土地利用が制限されており、公園の地下を駐車場などに利用することができませんでした。しかし、地価の高い都心部で公園整備を行うには、土地の有効利用を図りながら立体的な土地利用を行う必要があり、2004(平成16)年の改正で立体(都市)公園制度を設けました。
この制度により、公園の範囲の下限を定めて、それより下の空間は公園以外の用途に利用することで、民間施設の建物と一体となって、屋上公園や人工地盤公園などの公園整備が可能になりました(立体都市公園)。
このような建物を、公園一体建物(こうえんいったいたてもの)といい、公園管理者と建物の所有者との間で費用負担などに関して協定を結びます。この協定は、その後売買されて、新たに公園一体建物の所有者となった者に対しても効力が及びます(承継効[しょうけいこう]といいます)。
【公園一体建物の制限行為】
公園管理者は、立体都市公園と当該立体都市公園の区域外の建物とが一体的な構造となるときは、当該建物の所有者等と費用負担等に関して一定の協定を締結することができますが、この協定の効力は、公示のあった後に当該協定の目的となった建物(公園一体建物)の所有者となった者に対してもおよびます。
こちらは、東京都目黒区大橋の屋上庭園である目黒天空庭園です。 首都高速道路の大橋ジャンクションの屋上に造成されています。大橋ジャンクションは、首都高速道路株式会社の敷地であり、建物部分も所有していますが、目黒区は占用者という立場で、目黒天空庭園の整備、管理をしており、公園一体建物です。2004年に都市公園法が改正されて、立体都市公園制度が創設されたことにより、このような民間施設の上部に公園(屋上公園)をつくることが可能になりました。
一般の不動産仲介において、売買の対象となるケースはほとんどありませんが、調査した結果、売買の対象となる不動産が公園一体建物に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「都市公園法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
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