不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「住宅地区改良法」という項目があります。
どのような不動産が住宅地区改良法の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における住宅地区改良法について説明します。
次の不動産は「住宅地区改良法」について重要事項説明が必要です。
- 住宅地区改良事業の改良地区内
住宅地区改良法とは
住宅地区改良法は、住宅が密集して住環境が劣る地区の改良整備を行うための法律で、1960(昭和35)年に定められた法律です。
古くからの市街地には、老朽化した木造住宅が密集して日照や通風などの住環境が悪く、また災害の危険性が高い地域があります。このような地域については自主的な建て替えを促していますが、特に老朽化した住宅(不良住宅)が密集し、細い道が多く狭小な敷地や未接道の敷地が多いなど、自主建替が見込めない地域において、居住者のために新たな住宅(改良住宅)を建設し、あわせて道路や公園などの公共施設を整備する住宅地区改良事業(じゅうたくちくかいりょうじぎょう)を行います。
このように、限定的に住宅地区改良事業を活用することにより、効率的・効果的に老朽住宅密集市街地の整備を進め、防災性及び住環境の向上を図るものです。
国土交通大臣は、不良住宅が密集して住環境の劣る地区を改良地区(かいりょうちく)として指定することができます。改良地区に該当する基準はこちらです。
- 一団地の面積が0.15ha以上であること
- 一団地内の不良住宅の戸数が50戸以上あること
- 一団地内の住宅の総戸数に対する不良住宅の戸数の割合が8割以上であること
- 公共施設用地を除く面積に対する住宅の戸数の割合が、1haあたり80戸以上であること
例えば、大阪市西成区旭地区は改良地区に指定され、住宅地区改良事業が行われています。
住宅地区改良事業の改良地区内で、土地の形質の変更やその他の工作物の新築・改築・増築、重量が5トンを超える物件の設置・堆積にあたっては、都道府県知事等の許可が必要です。
【住宅地区改良事業の改良地区内での制限行為】
住宅地区改良事業の事業計画が確定した旨の公告があった後は、改良地区内においてその事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更や建築物の新築等の行為をしようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
対象物件が住宅地区改良事業の改良地区内に該当しているかを調べるにはGoogleやYahoo!で「◯◯市 住宅地区改良事業」と検索すれば調べることができます。
調査した結果、売買の対象となる不動産が住宅地区改良事業の改良地区内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「住宅地区改良法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
不動産会社だけど、プロに不動産の基本調査や重要事項説明書などの書類の作成を依頼されたいという方は、「こくえい不動産調査」にご相談ください。
地方であっても複雑な物件でも、プロ中のプロがリピートしたくなるほどの重説を作成してくれます。