あなたが不動産を売却するときには、譲渡所得の計算をしなければなりません。譲渡所得とは、売却価格から購入価格を差し引いたもので、利益が出ているなら税金を納めなければならないからです。
その譲渡所得を計算する上で、居住期間・所有期間・建築年数というキーワードが出てきます。
ここでは、不動産の税務上の居住期間・所有期間・建築年数について説明します。
居住期間・所有期間・建築年数
譲渡所得を計算する上で必要な居住用の財産の5つの特例
・3,000万円特別控除の特例
・10年超所有軽減税率の特例
・特定居住用財産の買換え特例
・居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
の適用や長期譲渡所得・短期譲渡所得に該当するかどうか区別するには、所有期間・居住期間の判定が重要となります。
不動産の税務上の居住期間・所有期間・建築年数とは以下の通りです。
・居住期間
不動産における税法上の居住期間とは、入居日から転居日までの期間(=日数)のことです。
仮にもし、単身赴任で家族と離れて暮らしていても、その事情が解消する見込みがあり、家族と一緒に生活すると認められる場合には、その期間は居住期間として認められます。
・所有期間
不動産における税法上の所有期間は、譲渡(=売却)した年の1月1日現在で何年経過しているかで求めます。
・建築年数
所有期間や居住期間に対して、不動産における税法上の建築年数とは、登記簿上の建築年月日から取得までの期間をいいます。
まとめると以下のようになります。
原則 | 応用・例外 | |
取得日 譲渡日 |
・不動産引渡しの日(鍵の引渡し日) ・登記申請書類の引き渡しの日 |
・契約効力発生の日(竣工前の分譲マンションや請負建築は原則通り引渡しの日) ・登記日 ・相続や贈与で取得した不動産は被相続人(=死亡した人)、贈与者が取得した日を相続人、受贈者が引継ぎます。 |
居住の日 | ・実際に転居した日 ・自宅の使用開始日 |
・住民票の異動日 |
土地・建物を譲渡(=売却)した場合、譲渡所得の課税方法は、長期譲渡所得と短期譲渡所得の区分に分けられますが、譲渡した年の1月1日現在において、所有期間が5年以下か、5年を超えるかにより判断します。
所有期間 | 判定 |
5年を超える土地・建物等 | 長期譲渡所得 |
5年以下の土地・建物等 | 短期譲渡所得 |
つまり、平成23年4月1日に不動産(土地・建物)を取得した場合、平成29年1月1日以降なら5年超として長期譲渡所得、平成28年12月31日までであれば5年以下として短期譲渡所得になります。
さて、次の例を考えてみましょう
例題
平成27年9月10日に所有しているマンションの売却の不動産売買契約を行い、平成28年1月26日に不動産の引渡しでした。マンションを取得したのは平成23年2月10日に新築で引渡しを受けました。マンションの購入の不動産売買契約は平成21年1月23日でした。この場合は長期譲渡所得でしょうか?それとも短期譲渡所得でしょうか?
不動産の取得の日や譲渡の日については、原則引渡しの日ですが、契約の日をもって判断しても良いことになっています。ただし新築の場合は引渡しの日のみです。そのため、この場合の取得日は、新築のため平成23年2月10日ということになります。譲渡の日は、契約日の平成27年9月10日でも、引渡し日の平成28年1月26日のどちらでも大丈夫です。契約日だと短期譲渡所得になり、引渡し日だと長期譲渡所得となります。この場合、平成28年1月1日以降の譲渡で引渡し日とし、長期譲渡所得を選択して良いのです。