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どこまで出したお金が共有名義・共有持分に含まれるのか

どこまで出したお金が共有名義・共有持分に含まれるのか

あなたが1人ではなく夫婦で、もしくは両親と一緒に不動産の購入を検討しているとしましょう。

一緒に買うことになるので、その物件の所有についてはあなたと一緒に買った人と共有名義(きょうゆうめいぎ)になり、出した金額によって、その所有分の比率(共有持分:きょうゆうもちぶん)を持つことになります。

不動産の場合、売買代金以外にも仲介手数料や登記費用などいろいろとお金がかかりますが、いったいどこまで出した金額を持分に含めることができるのでしょうか。

ここでは不動産の共有名義・共有持分の決め方についてわかりやすく説明します。

共有名義・共有持分の決め方

不動産を購入するためには多額の資金が必要です。足りない資金は、住宅ローンなどで借入れすることになります。あなた1人で購入することが困難な場合、夫婦や両親と共同で購入する場合があります。その場合、出したお金の金額によって持分割合(もちぶんわりあい)というのが決まります。

例えば、4,000万円の物件を、あなたが3,000万円、あなたのお父さんが1,000万円出したとします。その場合、あなたの持分は3/4、お父さんの持分は1/4ということになります。

このように、持分とはその不動産の所有している割合を示しています。この所有権の持分は、不動産登記の際に法務局に登録されます

(共有持分の登記の例)

不動産を登記する理由は、自分の所有物と証明するためのものであることから、登記の際には、資金の出所と持分の関係(誰がいくら出したのか)を慎重に精査する必要があります

共有(共有名義・共有持分)とはなにかわかりやすくまとめた

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2019.01.06

そのため、次のような誤った登記をしてはなりません。

  • お金を出した人と所有者が異なる
  • 借金の当事者と所有者が異なる
  • お金の出所を無視して、単純に夫婦2分の1ずつの持分にするなど

これらは、実際に資金を出した人から、資金を出さないのに不動産を所有することになった人への贈与(ぞうよ)とされ、贈与された人に贈与税が課税される可能性があります

不動産の贈与税とはなにか計算方法についてわかりやすくまとめた

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このように、不動産の「持分」は、購入資金を誰がいくら出したのかによって決めなければなりません

不動産持分の決め方(登記の割合)

その人の持分割合 = 出した資金(借入金含む) / 不動産の購入代金(取得費)

では、不動産の購入代金というのは、いったいどこまでの費用を含めることができるのでしょうか。言い換えると、不動産を買う際に出したお金の内、どこまでのお金が不動産の取得費(しゅとくひ)となるのでしょうか。

次の表にまとめました。

取得費となるもの
土地 建物
  • 購入代金
  • 仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 登記費用(登録免許税)
  • 売買契約書印紙代
  • ローン保証事務手数料
  • 抵当権設定の登記費用(登録免許税)
  • 固定資産税・都市計画税の精算金
  • 古屋の取り壊し費用
  • 整地・下水道・擁壁(ようへき)工事費用等
  • 借入金金利(借入日から使用開始までの期間の利息)
  • 建築費または購入代金
  • 仲介手数料
  • 不動産取得税
  • 登記費用(登録免許税)
  • 売買契約書・建築請負契約書の印紙代
  • ローン保証事務手数料
  • 抵当権設定の登記費用(登録免許税)
  • 固定資産税・都市計画税の精算金
  • 設計変更費用
  • 増改築リフォーム費用
  • エアコン・給湯設備等で建物に付属する設備
  • 借入金金利(借入日から使用開始までの期間の利息)
取得費にならないもの
  • ローン金利
  • ローン保証料
  • 団体信用生命保険料
  • つなぎローン事務手数料
  • つなぎローン金利
  • 火災保険料(地震・家財も含む)
  • インターネット加入料
  • 管理費・修繕積立金
  • 引越し代金
  • 家電製品・家具・カーテン代等
  • 町会費

※居住用ではなく事業用不動産の場合は、土地・建物の取得にかかる不動産取得税・登記費用(登録免許税)は必要経費として処理します。また、既に他の不動産所得がある場合については、土地・建物の借入金金利のうち借入日から使用開始までの期間分についても、必要経費として処理できます。

実際に計算してみましょう。

例題

物件価格3,500万円で、仲介手数料・登記費用・印紙代・不動産取得税・リフォーム代が500万円とします。夫の貯金が1,000万円、妻の貯金が1,000万円ありますが差し引き2,000万円足りないので、夫が住宅ローンで2,000万円を借りたとします。この不動産は夫婦の共有名義となりますが、共有持分の比率はどうなるでしょうか。

上記の諸費用はすべて取得費に含むことができるので、不動産購入代金(取得費)は4,000万円になります。夫が出した金額は合計3,000万円で、妻の出した金額は1,000万円なので、夫は3,000万円/4,000万円で3/4になり、妻は1,000万円/4,000万円で1/4になります。

もし、お互いに夫婦で持分を1/2ずつにしたいときは、夫婦それぞれ2,000万円ずつ出さなければなりません。そうなると、夫は住宅ローンで1,000万円、妻も住宅ローンで1,000万円それぞれ借りなければなりません。

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まとめ

まとめると次のようになります。

・「持分」とは、その不動産の名義を誰がどのくらい所有しているかの割合のこと。
・共有名義とは、その不動産の「持分」を持っている人のこと。
・共有持分とは、共有名義人が持っている「持分」のこと。
・「持分」は不動産の購入資金を、誰がいくら出したのかによって決まる。
・その購入資金(取得費)に含めることができる費用とできない費用がある。
・実際に資金を出していないのに共有名義にすると、贈与税がかかる可能性がある。

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この記事の執筆者

坂根 大介
坂根 大介さかね だいすけ

イクラ株式会社代表。1986年大阪生まれ。関西大学文学部卒業。
野村證券株式会社に入社し、国内リテール業務を経て、その後三井不動産リアルティ株式会社三井のリハウス)にて不動産売買仲介を行う。
「証券×不動産(売買)×IT」という強みと、契約実務や物件調査の経験をもとに、プロ向けに不動産の調査方法や用語解説、不動産市況、不動産屋社長のためのノートなどをわかりやすく発信している。
イクラ株式会社では、過去に家が売れた成約価格がわかり、売買実績豊富な信頼できる不動産会社とチャットで相談できる「イクラ不動産」を運営。日本経済新聞にも取り上げられる。
また、司法書士事務所では、不動産登記の専門家として登記だけでなく、離婚協議書の作成や遺産分割協議書の作成、相続登記、自己破産の申請を数多く行っており、住宅ローンなど金銭的問題・離婚・相続などを中心に法律に関わる不動産売却の相談が年間1000件以上ある。
主な資格は、宅地建物取引士JSHIホームインスペクター2級FPなど。

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