モノを買えば消費税がかかります。消費税は、モノの価格が高ければ高いほど負担が大きくなる税金です。不動産(土地・戸建・マンション)を購入する際、消費税がどれぐらいかかるのか気になります。でも、不動産でも、消費税がかかる不動産とかからない不動産があります。
ここでは、不動産に関係する消費税についてまとめました。
不動産の消費税はいくらかかるのか
消費税は、モノを買ったり、お金を支払ってサービスを受けた場合にかかります。
消費税率 | 期間 |
3% | 1989(平成元)年4月1日〜1997(平成9)年3月31日 |
5% | 1997(平成9)年4月1日〜2014(平成26)年3月31日 |
8% | 2014(平成26)年4月1日〜2019年9月30日 |
10% | 2019年10月1日〜 |
そもそも不動産売買には消費税がかかるのか
まず、土地の売買には消費税がかかりません。使用しても減りはしないので消費の対象とはいえないからです。一方、建物の売買には消費税がかかります。ただし、売主が個人の場合は建物部分も非課税になります。
消費税がかかる条件として、「事業者が事業として行うものであること」という条件があります。ここでの事業とは、不特定多数の人に継続的に商取引を行うことを意味しています。つまり、個人が所有するマイホームを売却(譲渡)する行為は「事業(商売)」ではないので、消費税が課税される条件から外れ、非課税になるからです。
逆に、同じ中古住宅でも、売主が不動産業者(宅建建物取引業者)になると当然「事業」として行なっているため、「事業者が事業として行うものであること」という条件に該当し、消費税がかかります。新築戸建・新築マンションの場合、売主が個人ということは有り得ず、不動産業者になるため消費税がかかっているのです。
売主が「個人」 | 売主が「不動産会社」 | |
土地 | 非課税 | 非課税 |
中古戸建 | 非課税 | 課税 |
新築戸建 | ー | 課税 |
投資用戸建 | 課税 | 課税 |
中古マンション | 非課税 | 課税 |
新築マンション | ー | 課税 |
投資用マンション | 課税 | 課税 |
ただし、売主が個人で、かつ中古であっても、居住用不動産ではなく、投資用不動産を売却ということになれば、事業として見られることがあり、消費税がかかる可能性があります。
また、不動産売買の仲介手数料には消費税がかかります。消費税がかからない不動産といっても、仲介手数料など、その他不動産に関係する取引においてかかる消費税分を合計すると負担はあります。不動産に関係する取引について、消費税がかかるのか、かからないのか詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
消費税についてのQ&A
ここでは、不動産の購入や売却に関係する消費税についてよくある質問についてまとめました。
なぜ消費税がかかるの?
消費税は、消費(使ってなくすことの意味)するものに対して広く課税される税金です。消費税の対象となるのは、国税庁のHPによると国内で対価を得て行われる資産の譲渡、貸付及び役務の提供とされています。わかりやすくいうと、日本国内において、不動産を含む資産を売ったり貸したり、サービスの提供をした場合で、それが商売で行った取引(無料ではない取引)であれば消費税が課税されるということになります。
不動産購入の消費税は誰が納めるの?
消費税は、事業者(会社など商売を行っている者)が負担するものではなく、事業者が販売する商品やサービスの価格に含まれて次々と転嫁され、最終的に商品を消費し、またはサービスの提供を受ける消費者が負担します。つまり、不動産売買の場合は、買主が消費税を加えた不動産価格を売主に支払うことで、消費税を納めます。
いつまでに購入すれば消費税8%で購入できるの?
消費税は、2019年10月に10%への引き上げが予定されています。予定どおり消費税が10%に引き上げられることになれば、2019年10月1日以降に引渡しの物件(新築マンション・新築戸建)から消費税が10%になります。ただし、注文住宅の場合は、2019年3月31日までに工事請負契約を結んでおけば、引渡しが2019年10月1日以降でも8%のままになります。また、新築戸建や新築マンションであっても、契約が壁の色やドアの形状などを特注できる契約等で、その契約が「工事の請負に係る契約」に類する場合は、物件価格を含めた契約全体が経過措置の対象となり、2019年3月31日までに契約を締結していれば、引き渡しが2019年10月1日以降でも消費税は8%となります
中古戸建や中古マンションの場合、売主が個人であれば消費税がかかりませんが、仲介手数料に関して2019年9月30日までに売買契約を完了すれば、仲介手数料にかかる消費税は8%になります。
消費税10%になると住宅ローン控除はどうなるの?
消費税8%に引き上げされた際には、その後の不動産売買市場が落ち込まないよう「住宅ローン減税」制度の拡充がありました。住宅ローン控除とは、住宅ローンを借りて居住用の不動産を購入した場合、年末のローンの残高に応じて所得税や住民税が控除される、いわゆる「税金が還ってくる」制度です。
住宅ローン減税については変更があり、消費税10%時での取得かつ2020年12月末までに入居した場合、11~13年目に建物価格×2%÷3または各年末残高の1%のいずれか少ない方の金額が控除できるようになります。
消費税10%になるとすまい給付金はどうなるの?
すまい給付金は、消費税8%に引き上げされた際に新しくつくられた制度で、住宅を購入しようとしている人に対して、収入に応じてお金がもらえる制度です。住宅ローン控除も、お金が還ってくる制度ですが、収入が低いほどその効果が小さくなります。これをカバーするのが「すまい給付金」制度です。そのため、収入が低いほどもらえる金額が増えることに特徴があります。
すまい給付金は、消費税10%になるとさらにパワーアップします。
すまい給付金がもらえる収入の目安は、510万円以下でしたが、10%になると775万円以下に引き上げられます(現金の場合は、年収650万円以下です)。また、もらえる金額についても、収入が425万円以下で30万円だったのが、450万円以下の場合は50万円に増えます。
ただし、消費税が10%になる2019年10月1日以降の引き渡しや入居でも、消費税8%で住宅を取得した人は、受け取れるすまい給付金の金額は、8%のときの給付額になることに注意が必要です。
消費税から不動産の建物価格を計算する方法
不動産は、土地部分と建物部分の金額をあわせる総額表示のため、例えば「5,000万円(うち消費税80万円)」と表記されます。不動産を売却するときには、過去にいくらで建物を取得したのかという建物価格が必要になります。
消費税が売買契約書や領収書に記載されている場合には、消費税から建物価格を逆算することができます。