ここでは「すまい給付金」とはなにかについてわかりやすく説明します。
すまい給付金とは
すまい給付金は、住宅を購入しようとしている人に対して、消費税引き上げによる負担を緩和するための制度で、収入に応じて最大30万円がもらえます。
住宅ローン控除も所得税から還付されますが、収入が低ければ低いほど還ってくるお金も少ないため、その効果が小さくなってしまいます。それをカバーするのがすまい給付金制度です。そのため、収入によって給付金額が変わります。
あなたの給付金額がいくらなのかは、こちらでシュミレーションすることができます。
すまいの給付金の条件
すまい給付金を受けるには次の条件に該当する必要があります。
①居住用の住宅を購入し、居住する方(登記上の持分を持っている人)
居住しているかどうかは、住民票によって確認します。また、持分を共有していれば、配偶者の方でも受け取ることができます。
基本的に住宅ローンを利用する人に限られますが、年齢が50才以上の場合は現金購入でも対象になります。もちろん、住宅ローン控除と併用できます。(すまい給付金とは別の手続きが必要です。)
住宅ローン
すまい給付金上の住宅ローンの定義は、次の3点を満たすものを指します。
- 自ら居住する住宅の取得のために必要な借入金であること
- 償還期間が5年以上の借入れであること
- 金融機関等からの借入金であること(住宅ローン控除の対象となる住宅ローン貸出金融機関と同じ)
※親類・知人などからの借入金は、住宅ローンとは見なしません。
②収入の条件
給付額は、収入と登記上の持分割合により決まります。
収入については額面収入ではなく、都道府県民税の所得割額で判断されます。そのため、給付申請をするときは、必ず引越し前の住宅が所在する市区町村発行の個人住民税の課税証明書(所得証明書)を入手し「都道府県民税の所得割額」を確認する必要があります(コンビニエンスストアでも取得できるケースが増えています。Googleで「〇〇市 課税証明書」と検索してください)。
課税証明書は、毎年5~6月頃に、当年度分の発行が開始されるため、住宅の引渡しを受ける時期により申請に必要な課税証明書の年度を次のように定めています。
給付額の計算方法は次の通りです。
すまいの給付金の給付金額の計算方法
給付金額 = 給付基礎額 × 持分割合
・消費税率8%の場合
収入額の目安 | 都道府県民税の所得割額 | 給付基礎額 |
425万円以下 | 6.89万円以下 | 30万円 |
425万円超475万円以下 | 6.89万円超8.39万円以下 | 20万円 |
475万円超510万円以下 | 8.39万円超9.38万円以下 | 10万円 |
※神奈川県の場合は異なります。
(収入額の目安は、扶養対象となる家族が1人(専業主婦、16歳以上の子供など)の場合をモデルに試算した結果です。)
・消費税率10%の場合
収入額の目安 | 都道府県民税の所得割額 | 給付基礎額 |
450万円以下 | 7.60万円以下 | 50万円 |
425万円超525万円以下 | 7.60万円超9.79万円以下 | 40万円 |
525万円超600万円以下 | 9.79万円超11.90万円以下 | 30万円 |
600万円超675万円以下 | 11.90万円超14.06万円以下 | 20万円 |
675万円超775万円以下 | 14.06万円超17.26万円以下 | 10万円 |
(収入額の目安は、扶養対象となる家族が1人(専業主婦、16歳以上の子供など)の場合をモデルに試算した結果です。)
上記の収入額の目安を参考に実際に計算してみましょう。
例題
年収450万円で持分割合3/4の夫と、専業主婦で年収なし、持分割合1/4の妻の合計給付金額はいくらでしょうか?
・夫:20万円(給付基礎額)× 3/4(持分割合)= 15万円
・妻:30万円(給付基礎額)× 1/4(持分割合)= 7.5万円
夫婦あわせて22.5万円の給付金がもらえます。
③新築住宅・中古住宅(個人間売買除く)の条件
共通の条件に加え、新築住宅と中古住宅でそれぞれ条件が異なります。
【共通の条件】
1. 床面積が50㎡以上であること
床面積は不動産登記上の床面積です。マンションなどの共同住宅では、契約書等に記載される壁芯面積(壁の中心線による面積)ではなく内法面積となるため注意が必要です。
2. 現金購入の場合は年齢が50才以上の取得者に限ること
この年齢とは、引渡しを受けた年の12月31日時点での年齢をいいます。
【共通の条件に加えた新築住宅の条件】
1. 施工中に第三者の検査をうけ一定の品質が確認される以下の1~3のいずれかに該当する住宅
- 住宅瑕疵担保責任保険(建設業許可を有さないものが加入する住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)へ加入した住宅
- 建設住宅性能表示を利用する住宅
- 住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実施された住宅
一般的に上記の検査は、施工中に検査を行うため、着工前に申し込みが必要となります。
2. 現金の場合は、住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たす以下の①〜④のいずれかに該当する住宅
- 耐震性に優れた住宅(耐震等級2以上の住宅または免震建築物)
- 省エネルギー性に優れた住宅(一次エネルギー消費量等級4以上または断熱等性能等級4)
- バリアフリー性に優れた住宅(等級3)
- 耐久性・可変性に優れた住宅(劣化対策等級3、維持管理対策等級2等)
【共通の条件に加えた中古住宅の条件】
給付の対象となる中古住宅は、売主が宅地建物取引業者である中古住宅(中古再販住宅)だけです。中古住宅の売買は売主が個人であることが多いのですが、この場合は消費税が課税されません。このため、給付対象は、消費税の課税対象となる中古再販住宅だけとなります。つまり、売買契約書の売主が宅地建物取引業者(不動産会社)の場合が条件となります。
1. 売買時等に第三者の現場検査をうけ現行の耐震基準及び一定の品質が確認された以下の①~③のいずれかに該当する住宅
- 既存住宅売買瑕疵保険へ加入した住宅
- 既存住宅性能表示制度を利用する住宅(耐震等級1以上のものに限る)
- 建設後10年以内であって、住宅瑕疵担保責任保険(人の居住の用に供したことのない住宅を目的とする住宅瑕疵担保責任任意保険を含む)に加入する住宅または建設住宅性能表示を利用している住宅
④期間について
すまい給付金制度は、2014年4月以降に引渡された住宅から2021年12月までに引渡され入居が完了した住宅が対象です。
⑤申請方法
すまい給付金の申請は、住宅取得者(持分保有者)がそれぞれ行います。すまい給付金を受け取るために、給付申請書を作成し、確認書類を添付して、すまい給付事務局に申請しなければなりません。
もし、1つの住宅に居住する不動産登記上の持分保有者が複数名いる場合は、それぞれが申請してください。すまい給付金事務局に郵送にて申請するか、全国のすまい給付金申請窓口に持参して申請することができます。
必要な書類は次の通りです。(新築で住宅ローンを利用する場合)
入居後すぐに申請ができ(申請期間は引渡しから1年3ヶ月以内です。)、申請後、約1.5〜2ヶ月で現金が振り込まれます。
すまい給付金は申請者が自ら受け取ることが原則ですが、住宅事業者が申請者の代わりに給付金を受領する代理受領を行うことも可能です。
代理受領とする場合、住宅取得者は給付金分を除いた額を支払うこととし、残代金は住宅事業者が代理受領した時点で相殺することとなります。なお、代理受領を利用する場合、契約時にすまい給付金事務局指定の特約を締結する必要があります。
また申請には要件があるため、該当するか必ず確認が必要です。まず、購入する(した)不動産会社やすまい給付金事務局に相談してください。