不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「被災市街地復興特別措置法」という項目があります。
こちらは東日本大震災の被災地、宮城県女川町の駅前の復興途中の写真です。
どのような不動産が「被災市街地復興特別措置法」の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における被災市街地復興特別措置法について説明します。
次の不動産は「被災市街地復興特別措置法」について重要事項説明が必要です。
- 被災市街地復興推進地域内
被災市街地復興特別措置法とは
被災市街地復興特別措置法は、大規模な火災や震災などの災害を受けた市街地の復興を推進するため、平成7年(阪神大震災を契機)に制定されました。
被災市街地の復興のために、次の要件に該当する市街地について、市町村が都市計画で被災市街地復興推進地域を指定します。
- 大規模な火災、震災等により多くの建物が滅失したこと
- 公共施設の整備状況、土地利用の動向から、不良な街区環境が形成されるおそれがあること
- 緊急かつ健全な復興のため、土地区画整理・市街地再開発等の事業を実施する必要があること
被災市街地復興推進地域内の土地では、土地の形質変更や建築物の建築等には、都道府県知事等の許可が必要です。
【被災市街地復興推進地域内での制限行為】
被災市街地復興推進地域内において、当該被災市街地復興推進地域に関する都市計画に定められた日(災害発生の日から起算して2年以内で定める日)までに、土地の形質の変更または建築物の新築等をしようとする者は、原則として、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
また、許可が得られないために著しい支障が生ずる場合は、所有者は土地の買い取りを請求できます。
具体的にみてみましょう。
こちらは東日本大震災の被災地、被災市街地復興特別措置法による宮城県女川町の被災市街地復興推進地域です。
都市計画区域内の市街地は、大規模な震災を受けて相当数の建築物が滅失したため、被災市街地復興推進地域を定め、また災害の発生した日から2年以内を期限とする市街地の整備改善の方針(緊急復興方針)を定めました。
おおまかにいうと、大地震があって相当の家屋が倒れた場合、勝手に家をつくったりすると揉め事が起きたり、街並みがバラバラになってしまうので、そうならないために、2年の間にきっちりと計画を立てて復興するので、勝手なことをするなという法律ともいえます。
被災市街地復興推進地域では、土地造成や建物建築に知事の許可が必要ですが、移転や取り壊しが容易な2階建て以下の木造や鉄骨、コンクリートブロック造りなど敷地面積300㎡未満の建物の建築は許可されます。
阪神大震災や東日本大震災などの大規模地震において指定されており、最近では平成28(2016)年に発生した熊本地震の被災地である益城町、令和2(2020)年7月豪雨により被害を受けた熊本県人吉市が指定されました。
国土交通省のHPで、過去に被災市街地復興推進地域に指定された地域を確認することができます。大規模な地震や豪雨災害があった地域において不動産売買する場合は、被災市街地復興推進地域に指定されているかどうか、役所で確認した方がよいでしょう。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、被災市街地復興推進地域に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「被災市街地復興特別措置法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
被災市街地復興推進地域は、都市計画法で定める「地域地区」の一つです。地域地区とは、都市計画区域内の土地を、どのような用途に利用すべきか、どの程度利用すべきかなどを定めて21種類に分類したものです。
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