あなたの不動産(土地・一戸建て・マンション)の近くに、生活の妨げとなっている電柱はありませんか。
電柱が目の前の道路に立てられているだけでなく、敷地内にあることもあります。
「ああ、この電柱さえなければ…」と思っている方も多いでしょう。
ここでは、電柱が近くにある不動産の調査方法についてわかりやすく説明します。
電柱(でんちゅう)とは
そもそも電柱はなんのためにあるのでしょうか。
「電柱」は、東京電力や関西電力などの電力会社が家庭に電気を送るために、道路(敷地)上に設置されているもので、正式名称は「電力柱(でんりょくばしら)」といいます。
一方、「電信柱」は、NTTなどの通信会社が電話回線や光ケーブルを家庭につなげるためのもので、「電信柱(でんしんばしら)」が正式名称ですが、これも一般的には電柱と呼ばれています。
見た目で「電柱(電力柱)」と「電信柱」を見分けることは難しいですが、通常、各柱には誰が管理しているかを示す管理プレートが付けられており、これを見れば電力会社・通信会社どちらの管理かわかります。
ただし、設置スペースが限られている都市部では、電柱・電信柱の共用の柱もあり、1本の柱に電力会社と通信会社の管理プレートが両方取り付けられています。図のように関西などは上に付けられているプレートが所有者(管理者)で、関東などは下に付けられているプレートが所有者(管理者)など地域によって異なります。
電柱の調査方法
不動産を売買するとき、敷地内や持分のある私道(自分が所有している私道)に電柱がある場合はもちろん調査します。持分がなくても前面道路に電柱がある場合には、電柱に備え付けられている番号や記号を確認のうえ、所在地の電柱を管理している電力会社や電話会社に次の調査を行います。
- 買主と電力会社との間で補償契約や取り決めする必要がないか
- 買主が希望する場合には電柱の移設は可能か、その際の費用や手続きなどはどうなるのか
- 再建築する場合には事前に協議などが必要となるのか
電力会社(お問い合わせ電話番号) | |
東京電力 | 関西電力 |
中部電力 | 中国電力 |
北海道電力 | 四国電力 |
東北電力 | 九州電力 |
北陸電力 | 沖縄電力 |
NTT(お問い合わせ電話番号) | |
NTT東日本 | NTT西日本 |
敷地内に電柱がある場合はお金がもらえる
一般的に、敷地内に電柱を設置する場合、その土地の所有者が承諾書を出したり、土地の使用契約を電力会社等と結びます。その土地を売却しても、原則としてその内容は買主が引き継ぎます。
電力会社からは電柱敷地料(土地使用料)として、宅地の場合には、電柱(支線・支柱)1本あたり年額1,500円もらえます。これは電気通信事業法で決められた金額であり、地目が田の場合は1,870円、畑の場合は1,730円、山林等の場合は215円となっています。
このため、不動産売買による電柱敷地所有者の変更がある場合には、電力会社等にその旨を伝えなければなりません。
どのような場合に電柱を移すことができるのか
電柱は敷地内か敷地外の道路にあります。また道路には公道・私道の区分があります。当たり前ですが、自分の敷地内から他人の敷地内に電柱を移すことは非常に難しいです。
では、どのような場合に電柱を移すことができるのでしょうか。
まず、道路から敷地内に移す場合や敷地内から敷地内に移す場合は認められるケースが多いです。加えて工事費用も無償になることが多いです。
道路から道路でも公道の場合は、道路管理者である自治体にとって特に問題がなければ認められるケースが多いです。ただし、その場合でも、自分の敷地の前面の範囲内での移動であって、隣地の所有者が承諾しない限り、隣地の前面に移すことは難しいです。また、工事費用として15万円前後の負担を求められる場合が多いです。それに対して私道の場合は、自分の私道内で移すのは良いが、自分の私道から他人の私道に移すのは難しいです。
また、敷地内から公道の場合や、私道から公道に移す場合は認められないケースが多くなっています。これは歩行上の安全性やバリアフリー化の理由から、公道に電柱が置けない、または置かないという行政の意向により敷地内に置かれているケースが多いからです。
ただし、不動産によって異なるため、移設できるかどうかは確認してみなければ確実なことはわかりません。また、認められるケースであっても、技術的に移設が困難な場合もあるので、必ず電力会社やNTTに確認すべきです。
・鉄塔・送電線・高圧線が近くにある不動産の調査方法についてまとめた
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