こちらでは、特定防災街区整備地区(とくていぼうさいがいくせいびちく)について詳しく説明します。
密集市街地における災害拡大を防止するための制限や避難道路・公園を設ける地区
特定防災街区整備地区とは、密集市街地での火災や地震などの災害に対して、防災機能の確保と健全な土地利用を図るために整備する地区で、都市計画に定めることができます(密集市街地整備法第31条第1項)。
・不動産の重要事項説明書における「密集市街地整備法」とはなにか
密集市街地とは、その区域に老朽化した木造建物が密集していることに加えて、道路や公園などの十分な公共施設がないこと、その他その区域内の土地の利用状況から、特定防災機能(火事または地震が発生した場合に、延焼防止および避難上確保されるべき機能)が確保されていない市街地のことです。
特定防災街区整備地区は、防火地域または準防火地域のうち防災街区として整備すべき区域について指定され、建築物は次の基準を守らなければなりません(密集市街地整備法第31条第2項、第3項)。
- 建築物の種類
- 敷地面積の最低限度
- 壁面位置の制限
- 防災都市計画施設の間口率の最低限度
- 建築物の高さの最低限度
街区とは道路に囲まれた区域のことを指すため、防災街区とは、街が救急車や消防車の通れる防災上有効な道路に囲まれた区域になっていることを意味します。
このように、特定防災街区整備地区は、延焼防止効果の高い建物の防災性能や敷地面積に関する制限を定め、避難路の機能を果たすセットバックした建物の建築を誘導します。同時に道路や公園などの防災公共施設を整備します。
特定防災街区整備地区は、都市計画法で定める「地域地区」の一つです。地域地区とは、都市計画区域内の土地を、どのような用途に利用すべきか、どの程度利用すべきかなどを定めて21種類に分類したものです。
特定防災街区整備地区の例:世田谷ダンジョン
例えば、東京都世田谷区の世田谷区役所周辺は「世田谷区役所周辺地区防災街区整備地区」に指定されています。
世田谷区といえば、成城学園などから高級住宅街のイメージがありますが、江戸時代においてその大部分は、江戸市中に向けて野菜を供給する近郊農村地帯でした。
その後、明治の終わりから、田園都市線や京王線が開通し、住宅地の開発が急速に進み、1923(大正12)年に起きた関東大震災により、被災した人々が世田谷区に身を寄せ、そのまま定住する人もいたため人口が急増しました。
その結果、農地に家を建て、あぜ道がそのまま道路となり、細々とした迷路のような道が、現在では世田谷ダンジョンなどと呼ばれ、消防車も通れないような道路が多い地区もあります。
地区内で、建築行為等(土地の区画形質の変更、建築物・工作物の建築)をする場合は、原則として工事着手の30日前までに各自治体へ届出が必要です。
特定防災街区整備地区は、各自治体の条例ごとに内容が異なるため、注意が必要です。
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