こちらでは、住宅街区整備事業(じゅうたくがいくせいびじぎょう)とはなにか、詳しく説明します。
大都市にマンションをつくるための事業
住宅街区整備事業は、大都市法に定める事業です。
大都市法は、正しくは「大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法(大都市住宅供給法)」といい、1975(昭和50)年に制定され、大都市地域での住宅供給を促進することを目的とする法律です。
この法律での大都市地域とは、東京の特別区(23区)、首都圏・近畿圏・中部圏の既成市街地およびその近郊にあたる市町村を指します。また、ここでの住宅は共同住宅、つまりマンションを指します。
再開発の方法として土地区画法による土地区画整理事業があります。住宅街区整備事業は、基本的な枠組みは土地区画整理事業と同じですが、共同住宅(マンション)の建設という換地の立体化を取り入れた事業というところに特徴があります。
まず、マンションを建築するために、共同住宅区を整備し、所有していた土地の代わりに、マンションの一部(敷地共有持分を含む)を取得する権利変換を行います。そして、従来あった既存の住宅は、既存住宅区へ換地して移転します。このとき、農業の継続を希望する者は、集合農地区へ換地して移転します。低層の建物から高層の建物を建てることにより、床面積が大幅に増加するため、権利床に加えて余分の床(保留床)ができ、これを売却することによって事業費にあてる方法が一般的です。
このように、密集していた宅地をきれいな区画にし、公共施設の整備改善を目的とした土地区画整理事業に対し、住宅街区整備事業は、これに加えてマンションの建設を同時に行うものです。
住宅街区整備事業の実施に先立って、住宅街区整備促進区域を指定し、区域内の権利者による事業実施を促します。2年以内に事業認可が得られないときは、市町村等が事業を行います。[促進区域とは?]
住宅街区整備促進区域内において、土地の形質の変更または建築物の新築等の行為をしようとする者は、原則として、都道府県知事等の許可を受ける必要があります(大都市法26条1項)。
住宅街区整備事業の実施例として、埼玉県草加市、大阪府河内長野市および箕面市、兵庫県神戸市、奈良県三郷町などがあります。大阪府箕面市では、1982(昭和57)年に小野原特定土地区画整理事業の共同住宅区内で住宅街区整備促進区域を都市計画決定し、組合施行により賃貸共同住宅約350戸が建設されました。
大都市法について詳しくは「不動産の重要事項説明書における「大都市地域における住宅および住宅地の供給の促進に関する特別措置法」とはなにか」をご覧ください。
住宅街区整備事業は、大都市法に具体的な内容が定められていますが、大枠としては都市計画法第12条に定める市街地開発事業のひとつです。詳細については以下をご参照ください。
【市街地開発事業について】
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