こちらでは、山林の調査方法について詳しく説明します。
まず宅地見込地かどうか調べる
山林の調査を行う場合、まず調査地が宅地見込地かどうかを判断しなければなりません。
純粋な山林の調査項目
宅地見込地の要素がない純粋な山林の調査項目は、次のとおりです。
① 交通接近条件
- 最寄り駅、最寄り集落までの距離
- 接面する林道の有無(林道がある場合:幅員、舗装の有無、道路との高低差。ない場合:道路開設の可能性、搬出可能道路までの距離と方法)
②自然的条件
- 日照・積雪・風あたり
- 土壌の状況
- 斜面の位置と傾斜方位
- 土砂崩れ等の災害の危険性
③その他
- 鉄塔等の障害物の介在の有無とその程度
山林の境界の調査方法
山林の境界の調査は、通常の宅地の境界の調査とは異なります。
面積が広く、傾斜のある山林の境界杭を1つずつ確認したとしても、全体の地勢や林道との位置関係がわからなければ、あまり意味がありません。山林の境界は、木の種類や林齢の違いで見分けられるように、周囲と違う目印となる木を植えて、境界とすることもあります。また、山林の境界は、尾根や谷、水路などの地形にもとづいて決められることが多いので、地形図も確認します。
山林の面積については、登記面積より実際の面積のほうが大きい土地(縄延び)が多くあり、実測面積が登記面積の数倍に及ぶことも珍しくありません。まれに、登記面積のほうが大きい土地(縄縮み)もあり、このような山林は、融資を受ける際に担保価値が過大に算定されるので、「担保山」と呼ばれます。
このように不正確な山林の面積の調査では、まず、登記面積が現状面積と一致しているかどうかを判断しますが、次の場合は、一致していると考えることができます。
これら以外の場合は、実測して正確な面積を測量する必要がありますが、広大な山林を実測するには手間と費用がかかり、山林の価値が低いときは費用ばかりかさむことになります。そのため、次のような方法をとることが一般的です。
- 面積が不正確であることを意識しながら、登記面積を採用するという条件をつける
- 森林施業図を入手して調査地の範囲が確定できるときは、図面からの計測による概測面積を採用する
山林の価値には、土地だけでなく地上の立木(たちき:地面に生育している樹木)も含まれるので、立木の調査が必要です。
とはいえ、立木の調査は難しく、立木価格も良質材を除いて概して低く、立木調査をする意味も少ないのが実情です。
そのため、立木の調査は、調査目的を考慮して、行うかどうかを決めます。ただし、立木調査を行うにしても、実際に現地に入って調査することはほとんどありません。
簡易的な方法として、森林簿に記載されている樹種・材積を採用する方法があります。ただし、調査年次と現状のずれおよび精度の正確さに欠けている部分があることに注意する必要があります。
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