こちらでは、公図(こうず)とはなにか、詳しく説明します。
不動産を調査する際には、次の資料を法務局(インターネットを含む)から取得する必要があります。
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 公図
- 地積測量図
- 建物図面(各階平面図)
ここでは、公図を取得する場合について、公図とはなにか、その見方や読み方や取得方法について、また、公図を取得して、何を調査すればよいのかについてわかりやすく説明しています。
土地の位置や形状を確定するための法的な地図
公図(こうず)とは、法務局に備え付けられている図面で、土地の位置や形状を確定するための地図で、法的な図面です。
旧公図
(旧公図)
旧公図(きゅうこうず)は、明治時代の地租改正(1873年)により、土地に番号をつけ(地番)、その図を墨で和紙に書いたものです。
里道(りどう:道路)を赤く塗り、水路を青く塗っていることが多いため、現在では赤道(あかみち、もしくは赤線ともいう)や青道(あおみち、もしくは青線ともいう)と呼ばれています。里道とは、公図が作成されたとき道だった土地で、現在は「道」と表示されます。水路も、公図が作成されたときに河川や水路だった土地で、現在は「水」と表示されます。
地番のない土地について
通常の土地には地番がついていますが、道路や水路などには地番がついていないものがあり(無地番地)、登記簿もありません。無地番地は、官(国など)が所有しています。
そもそも公図をつくったのは、課税対象となる私有地(土地)に対しての税金(地租)が目的であったため、対象とならない道路や水路には地番はつけられませんでした。このような道路や水路のほとんどが道路法や河川法の適用外であるため、「法定外公共物」と呼ばれます。
また、里道や水路のほかにも、一般的な土地でも地番がない土地もあり、「地番脱落地(ちばんだつらくち)」と呼ばれます。
縮尺は600分の1が原則で、方位も書かれていますが、測量技術が未熟であり正確ではないため、信頼できる図面ではありません。字(あざ)ごとにつくられたので、「字限図(あざぎりず)」と呼ばれたり、かつては土地台帳に付属していたので、「旧土地台帳付属図面(きゅうとちだいちょうふぞくずめん)」とも呼ばれます。
原本は、法務局に保管されていますが、痛みが激しいので複製された図面(マイラー図面)を使用します。
14条地図と公図
(14条地図)
公図を取得すると、「分類」の欄に「地図(法第14条第1項)」と書かれているものと「地図に準ずる図面」と書かれているものがあります。正確には「地図」は公図ではなく、「地図に準ずる図面」が公図ですが、大多数の人は総称として両方とも「公図」と呼んでいます。
【地図(法第14条第1項)】
国の事業として地籍調査を実施し、立会いや測量を行って作製された地図が「地図(14条地図)」で、現地復元能力を有する高精度な図面です(方位・形状・縮尺ともに正確)。不動産登記法第14条に定める図面であることから14条地図と呼ばれます。
地籍調査とは、国土調査(国調:こくちょう)の一つであり、主に市区町村が主体となって、1筆ごとの土地の所有者の立ち会いを得て、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量します。
国は順次、地籍調査を実施しており、完成すると従来の不正確な地図と取り替えられ、14条地図が法務局に備え付けられます。
【地図に準ずる図面】=【公図】
14条地図ができあがるまで「地図に準ずる図面(14条地図に準ずる図面)」として、備え付けられた旧公図を基に再製された地図がいわゆる公図です。そのため、14条地図が整備された地域と、従来からの公図(14条地図に準ずる図面)が使われている地域があります(14条地図の進捗率は、令和4年度末時点で52%です⇒全国の地積調査実施状況<国交省HPより>)。
(公図:地図に準ずる図面)
このように公図は、14条地図に準ずる図面であり、測量精度が低い時代に作製され、場所によっては歩測や目測されているため、正確性に欠けています。
公図の取得方法
公図は、法務局に行くかインターネットで取得できます。細かく分けると次の4つの方法があります。
- 調べたい不動産を管轄する法務局に行く
- 最寄りの法務局に行く
- インターネットで取得する
- 郵送で取り寄せる
詳しくはこちらをご覧ください。
・登記謄本・公図・地積測量図・建物図面の取得方法についてまとめた
公図の見方について
公図の見方や調査するポイントは次の通りです。
- 図面からわかること:土地の地番・土地の大まかな形状や大きさ・隣接地との位置関係など
- 調査のポイント:地番がない土地(無地番地)は、一般的に国が所有し各自治体が管理しています。なお、国から各自治体へ順次譲与されています。
14条地図ではない公図は、不正確であることも多く、住宅地図と公図の形状が全く異なっている公図混乱(こうずこんらん)や、土地の大きさや長さのゆがみなども珍しくありません。また、「同じ丁目に同じ地番が2つある」「無地番だと思ったら地番の書き漏れだった」などという記載ミスもあるため、おかしいと思ったら窓口で確認します。
縮尺もあてになりませんが、市街地地域は250分の1または500分の1、村落・農耕地地域は500分の1または1,000分の1、山林・原野地域は1,000分の1または2,500分の1です。
道路について
公図上の道路と現実の道路は必ずしも一致するわけではないことに注意が必要です。
- 実際は道路があるのに、公図にない:宅地前の一部が道路となっているのに分筆されていない
- 公図の道路の幅より広い:2項道路のセットバック部分であり、分筆されていないため
- 公図に道路があるのに、実際はない:公図上の里道が現在は使われなくなって、道路ではなくなっている
筆界未定について
複数の地番がプラス記号で結ばれ、一括して記載されていることがあります(19-1+19-2+19-4+19-5)。これは、それぞれの土地の筆界を確定できず、筆界未定の扱いを受けているという意味です。
筆界未定が生じる原因は、境界の紛争や所有者の立ち会いを得られないことによります。1筆の土地は複数の土地に囲まれているので、1筆の土地の立ち会いができないと、周囲の土地一体が筆界未定の扱いを受けます。
無地番地について
無地番地(むちばんち)は、官(国・地方公共団体)が所有する土地であるため、敷地内に入り込んでいる場合は、その部分に建物を建てることができません。また、土地を借りることもできません。
この場合、無地番地部分を購入する払い下げや、無地番地部分と民地(私有地)の位置を交換する付替えなどができるかどうかを調査し、手続き方法なども確認する必要があります。
付替え(つけかえ)とは
付替えとは、開発行為での開発区域内に存在する水路や道の用途を廃止できないときに、流路や経路を変更して新たな水路や道路に付替えて、それまでにあったものを廃止することです。
新たに付替えられた部分は分筆(原因は「都市計画法第40条第1項による帰属」)して、所有権を官(国・地方公共団体)に移転します。
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