こちらでは、開発行為(かいはつこうい)とはなにか、詳しく説明します。
特定工作物の建設を除けば宅地整備工事のこと
開発行為(かいはつこうい)とは、建築物の建築や特定工作物の建設のために、①区画の変更(道路や水路などを新設・拡幅・付替え・廃止する行為)、②形状の変更(造成などで土地の形状を変える行為)、③性質の変更(農地・山林などの土地を、建築物を建築するための敷地に変更する行為)のいずれか行うことをいいます。
(開発行為の例:山林→宅地)
土地をなにかに利用する際、多くの場合その土地に適合した建物を建てることにより実現します。ただ、建物以外でも、ゴルフ場やグラウンドなどの有効利用もあり、都市計画法ではこれらを工作物(こうさくぶつ)として扱います。
家(建物)を建てるためには、まず敷地の整備が必要です。すでに宅地(住宅用の土地)となっていればすぐ建てることができますが、山林や水田の場合は、先に宅地造成をして、建物を建てる土地をつくることから始めます。
つまり、まず山林や水田の形を変え、区画割りをして住宅地をつくり(区画形質の変更という開発行為)、次いで、整備された宅地に住宅を建築する(建築行為)という行為が必要となります。
(開発行為の例:水田→宅地)
開発行為とは、簡単にいえば土地の区画形質の変更(造成)を行うことです。
この法律において「開発行為」とは、主として建築物の建築または特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更をいう。
特定工作物には第1種特定工作物と第2種特定工作物にわけられます。
- 第1種特定工作物:コンクリートやアスファルトプラントなどの周辺環境の悪化をもたらすおそれがある工作物
- 第2種特定工作物:ゴルフコース、1ha以上のグラウンドや墓苑
さらに簡単にいうと、開発行為とは、特定工作物の建設を除けば、未整備の土地を住宅用土地にするための「宅地整備工事」です。
「区画の変更」とは、土地の区切りを変更すること、「形質の変更」とは、切土や盛土および整地による土地の形の変更のことです。
すでに宅地となっていても、それを小さく区割りする場合は、区画の変更として開発行為に該当します。ただし、たんに登記上の区分を変えるだけの分筆や合筆は、区画形質の変更に該当しません。また、建築工事に付随して行われる土地の掘削などは、開発行為にあたりません。
都市計画区域(および準都市計画区域)内で開発行為を行うには、原則として、都道府県知事の許可(これを開発許可といいます)が必要です。ただし、すべての開発行為に対して許可が必要なわけではなく、除外規定があります。
42条1項2号道路と42条1項5号道路
42条1項2項道路と42条1項5号道路、どちらも宅地開発された分譲地内にみられる道路です。
42条1項2号道路である開発道路は、道路法上の道路になる前提で造られるため原則6m以上となります。ただし、道路の長さが短かったり、安全である場合には4m以上で認められます。
一方、42条1項5号道路である位置指定道路は、道路法上の道路になるということを前提としておらず、単に接道義務を目的とするので、原則4m以上で問題ありません。
同じ宅地分譲地でも、開発許可を要する大規模開発の場合は42条1項2号道路、開発許可を要しない小規模開発の場合は42条1項5号道路となります。
開発許可申請は、市街化調整区域以外の場合は、一般的な許可基準を満たしていれば許可されます。それに対し市街化調整区域では、原則として開発行為は禁止され、例外的に許可される一定のケースがあります。
・市街化調整区域における開発許可についてわかりやすくまとめた
開発行為は、周辺地域に影響を与えるため、開発許可申請にあたっては、事前に役所と打ち合わせ(事前協議)が必要です。開発許可申請には、開発行為完了後の土地に建てる予定建築物を記載します。開発が許可されたときは、現地に開発行為許可標識を設置します。
(開発行為許可標識の例)
開発工事が完了したときは完了検査を行い、許可内容に適合しているときは検査済証(けんさずみしょう)を交付し、工事完了公告(こうじかんりょうこうこく)を行います。工事完了の公告がなされるまでは、建物の建築ができません。
工事完了公告後は、原則として、開発許可申請で予定した建築物しか建築できません。ただし、特別に都道府県知事が許可した場合や、その開発区域に対して、用途地域等が指定されている場合を除きます。
市町村は都市計画法に加えて、独自に開発指導要綱(かいはつしどうようこう)を定め、それに適合しなければ許可しません。また、開発にともなって、必要となる道路や上下水道などの公共施設整備に対して、開発負担金の支払いを求めることがあります。
また、中古不動産を調査する上で、開発行為の具体的内容を知るには、役所の開発指導課で開発登録簿(かいはつとうろくぼ)を閲覧・取得します。
・開発登録簿とはなにか、見方と取得方法についてわかりやすくまとめた
開発許可制度の目的は、無秩序な宅地開発を規制してスプロール化(虫食いのように都市が無秩序に拡大していく現象のこと)を防ぐこと、また造られる宅地の質の水準を確保することです。
なお、開発許可を受けた場合は、あらためて宅地造成等規制法の許可を受ける必要はありません。
小規模宅地開発指導について
開発許可の対象面積未満の土地であっても、独自に「小規模宅地の開発指導要綱」などを定め、最低敷地面積の制限を設けている自治体があります。例えば、国分寺市の「国分寺市小規模宅地開発指導要綱」が該当します。
1区画の最低面積の制限を定めて、あまりにも狭い土地で住宅を建てる、いわゆる狭小宅地の開発に歯止めをかけています。各自治体によっては「開発指導要綱」や「まちづくり条例」の中に「小規模宅地の指導」や「共同住宅建築等の規定」等が設けられていることもあるので注意が必要です。
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