こちらでは、開発許可が必要ではないケースとはなにか、詳しく説明します。
開発規模・用途・公共性などの観点から許可が不要なケース
開発行為(かいはつこうい)とは、簡単にいうと特定工作物の建設を除けば、山林や水田などの未整備の土地を住宅用の土地にするための宅地整備工事です。
都市計画区域(および準都市計画区域)内で開発行為を行うには、原則として、都道府県知事の許可(これを開発許可といいます)が必要です。
ただし、すべての開発行為に対して、許可申請が必要なわけではありません。開発行為に該当するものでも、開発規模・用途・公共性などの観点から、開発許可が不要の場合(除外規定)があります。これらの除外規定は、都市計画法第29条に定められています。
逆にいえば、除外規定に該当しない場合は、開発許可申請が必要です。
①面積に関する除外規定について
都市計画法第29条1項1号:一定面積未満のものは、許可は不要
- 市街化区域:1,000㎡(首都圏・近畿圏・中部圏の一定の区域では500㎡)未満。ただし、ミニ開発を防ぐために、条例で300㎡まで引き下げ可能。
- 非線引き都市計画区域および準都市計画区域:3,000㎡未満(300㎡まで引下げ可能)
- 都市計画区域外(準都市計画区域を除く):10,000㎡未満
面積は、都道府県知事等により300㎡まで引き下げられるので、対象物件地における実際の規制を調べなければなりません。また、市街化調整区域は、面積に関する除外規定がなく、どんな小さな開発行為でも開発許可が必要なことに注意が必要です。
42条1項2号道路と42条1項5号道路
42条1項2項道路と42条1項5号道路、どちらも宅地開発された分譲地内にみられる道路です。
42条1項2号道路である開発道路は、道路法上の道路になる前提で造られるため原則6m以上となります。ただし、道路の長さが短かったり、安全である場合には4m以上で認められます。
一方、42条1項5号道路である位置指定道路は、道路法上の道路になるということを前提としておらず、単に接道義務を目的とするので、原則4m以上で問題ありません。
同じ宅地分譲地でも、開発許可を要する大規模開発の場合は42条1項2号道路、開発許可を要しない小規模開発の場合は42条1項5号道路となります。
小規模宅地開発指導について
開発許可の対象面積未満の土地であっても、独自に「小規模宅地の開発指導要綱」などを定め、最低敷地面積の制限を設けている自治体があります。例えば、国分寺市の「国分寺市小規模宅地開発指導要綱」が該当します。
1区画の最低面積の制限を定めて、あまりにも狭い土地で住宅を建てる、いわゆる狭小宅地の開発に歯止めをかけています。各自治体によっては「開発指導要綱」や「まちづくり条例」の中に「小規模宅地の指導」や「共同住宅建築等の規定」等が設けられていることもあるので注意が必要です。
②建築予定建物に関する除外規定について
開発後に建てられる建物の用途(使いみち)によって除外としても差し支えないものについて、除外規定を定めます。
- 都市計画法第29条1項2号:農林漁業用の建物および従事者の住宅(市街化調整区域・非線引き都市計画区域・準都市計画区域だけ適用)
- 都市計画法第29条1項3号:公共性がある場合(駅舎、図書館、公民館、変電所など)
公共性がある建物については、鉄道施設などの公益上必要な建物を建築する場合で、すべての区域で適用されます。ただし、社会福祉施設・医療施設・学校・庁舎は、2008(平成20)年1月施行の改正法により、許可が必要となりました。また、同じく開発許可が不要とされていた、国または都道府県等が行う開発行為も、知事との協議が必要という特例措置の扱いとなりました。
③開発事業の性格による除外規定について
④社会通念にもとづく除外規定について
- 都市計画法第29条1項10号:災害の応急措置
- 都市計画法第29条1項11号:通常の管理行為、軽易(けいい:手軽でたやすい)なもの
通常の管理行為や軽易なものの具体的内容は、都市計画法施行令第22条により次のとおりです。
- 仮設建築物の建築、土木事業等の一時的使用のため
- 車庫、物置等の附属建物の建築
- 10㎡以内の増築および改築
- 周辺居住者のための日常店舗等で、延床面積が50㎡以内の自己用建物の新築で、開発規模が100㎡以内のもの(市街化調整区域内)
具体的な案件について、許可が不要かどうかは役所でヒアリングしたほうが良いでしょう。
これらの除外規定に該当しない場合でも、特例要件に該当する場合は例外的に許可されます。
・市街化調整区域における開発許可についてわかりやすくまとめた
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