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コンパクトシティ(居住誘導区域)とはなにか

コンパクトシティ(居住誘導区域)とはなにか
不動産屋
コンパクトシティ(居住誘導区域)って何だったっけ…?
“こくえい和田さん”
居住誘導区域は自治体が人口減少社会の中「人口密度を維持する(人口を減らさない)と宣言する地域」です。

2014(平成26)年5月1日に改正都市再生特別措置法が施行されました。いわゆる「コンパクトシティ法」といわれるものです。

この法律は、不動産の重要事項説明の対象ともなっているため、不動産仲介業者が物件調査する上でも非常に重要な内容となっています。

まずは、この法律が制定された背景を説明しましょう。

コンパクトシティの背景にあるもの

日本は人口減少・高齢化社会に突入しています。地方をみると、すでに高齢化、少子化、人口減少によって、持続不可能な地域(限界集落)がたくさんあります。これはなにも地方だけの話ではなく、都市部においても将来同じ姿になります。このようになると、人口が減少する市区町村の税収は減ることから財政は厳しくなり、道路・上下水道などインフラの整備だけでなく、ごみ収集もままならない状態になるでしょう。特に人口減少が続くと、不動産価格が下落し、自治体の主要な税収である固定資産税収入が減っていきます。人口が急減した結果、あらゆる行政サービスがストップし、財政破綻した北海道夕張市は記憶に新しいところです。

不動産は需要と供給のバランスに成り立っています。どんなに豪邸であっても、それがニーズのない立地にあるのなら価値はありません。不動産の価値は「立地」できまります。

立地というのは、「駅からの徒歩距離」であったり、高級住宅街などのブランド性を意味する「地位(じぐらい)」、あとは学校区や商業・医療施設の利便性、街並みなどの「周辺・生活環境」などを指しますが、立地が良い場所に人が集まっているのは言うまでもないでしょう。人口減少が始まるのは、不便なところからであり、立地が良い場所はそれほど人口は減りません。

そこで、国は「コンパクトシティ」の概念を打ち出し、立地の良い場所に「集まって住む」ことを政策として押し進めようとしています。集まって住んでもらうと、インフラ整備や行政サービスの効率が上がるのは明白だからです。また、人口が維持できると不動産価格も維持できるため、固定資産税収入も維持できますよね。

人口密度と行政コストの関係

もう、何が起こるのかわかりますよね?

人の集まる立地の良い場所は、不動産の価値が維持、もしくは上がり、立地の良くない場所は価値が大幅に下がるのです。

全国に先駆けコンパクトシティの概念を採り入れた富山市は、郊外の居住者が街の中心部に引っ越す場合に補助金を支給したり、LRT(路面電車)を走らせるなど、中心部に人を集める政策を展開しています。

コンパクトシティ・富山LRT

人が集まっている地域の地価は下がらず、上昇する地点もみられます。しかし、それ以外のほとんどの地域では、地価が下がり続けているのです。

なにも車があれば駅近くでなくても良いと思うかもしれません。しかし、日本は人口減少だけでなく、高齢化社会なのです。高齢者が徒歩か自転車で生活でき、遠隔地にはバスや電車を利用する街づくりの方向に変わりつつあるのです。

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人の集まる立地の良い居住地域=居住誘導区域

国が「コンパクトシティ」の概念を打ち出し、立地の良い場所に「集まって住む」ことを政策としておしすすめていることは話しましたね。その法律こそが、改正都市再生特別措置法で、「コンパクトシティ法」といわれるものなのです。この法律により、各自治体は「住むべき場所とそうでない場所」を明確に分けることができるようになったのです。この計画を「立地適正化計画」といいます。

そして、住むべき地域、つまり人の集まる立地の良い居住地域を「居住誘導区域」として定めます。居住誘導区域は自治体が人口減少社会の中「人口密度を維持する(人口を減らさない)と宣言する地域」です。これから人口減少が進む中で、インフラや生活サービスを確保し、居住を誘導することで、人口密度を維持または増加させます。

居住誘導区域の設定

さらに「居住誘導区域」の中には、役所、学校、商業施設、医療・福祉施設、保育施設などが集約されたエリアである「都市機能誘導区域」が設けられます。こちらの地域にも、容積率の緩和や税制優遇、補助金制度などの優遇措置により郊外からの移転を進めます。

これら「居住誘導区域」「都市機能誘導区域」の区域外において、一定の開発行為などを行うときには、市町村長への届出が義務づけられています。届出をしない場合には罰則が課せられるなど、知らないで区域外の土地・建物を購入した人が不測の損害を被るおそれがあるため、こちらの届出義務に関する規定について、不動産売買契約の前に、重要事項説明書に記し、事前に購入者に対して説明する必要があるのです。

 居住誘導区域外における開発行為等の事前届出義務

立地適正化計画に記載された居住誘導区域外において、一定規模以上の住宅等の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければならない。またその届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければならない。

居住誘導区域内における制限行為

都市再生特別措置法第88条第1・2項

都市機能誘導区域外における開発行為等の事前届出義務

立地適正化計画に記載された都市機能誘導区域外において、誘導施設を有する建築物の開発等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、当該行為の種類、場所、設計または施行方法、着手予定日等の事項を市町村長に届け出なければならない。 またその届出をした者が、届出事項のうち一定の事項を変更しようとするときにも、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、その旨を市町村長に届け出なければならない。

都市再生特別措置法第108条第1・2項

不動産の重要事項説明書における「都市再生特別措置法」とはなにか

不動産の重要事項説明書における「都市再生特別措置法」とはなにか

2016.05.09
スマホの不動産屋さん スマホ1つで、もっと気軽に家を売る前に相談をしましょう

あなたの不動産は居住誘導区域の内?外?

居住誘導区域内については、あらゆるサービスを優先して人口密度を維持します。逆にいうと、居住誘導区域外についてはサービスが後回しされ、人口が減っている中、人口密度はもう維持できないと言っているのに等しいのです。そうなると、銀行などの金融機関は区域内と外、どちらの物件の住宅ローンの融資を優先するでしょうか。あきらかに、居住誘導区域内と外では住みやすさが変わり、価格に大きな差が出るでしょう。

居住誘導区域に選ばれる地域

つまり、居住誘導区域内の不動産価格は維持されますが、居住誘導区域外の不動産価値は下落するのです。

繰り返しますが、これは地方の問題ではありません。これからは、ニュータウンとして開発された都心部郊外にあるベッドタウンも同じ状況になると思われます。若い世代が住まないニュータウンは、オールドタウン化して廃れているのです。実際、2017年地価公示において、全国の住宅地で下落率8.5%とNO.1だったのは千葉県柏市のベッドタウン「柏ビレジ」でした。

どのような地域が居住誘導区域から外されるのか?

この政策は「不断の見直しを行う」とされています。つまり、規制は少しずつ厳しくなっていき、居住誘導区域外の地域は少しずつ居住する人が減らされていく形になると思われます。

では、どのような地域が居住誘導区域から外されるのでしょうか。

居住誘導区域から外されると考えられる区域は以下の通りです。

【居住誘導区域に含まれないこととされている区域】

市街化調整区域

・建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域のうち、同条第2項の規定に基づく条例により住居の用に供する建築物の建築が禁止されている区域

・農業振興地域の整備に関する法律第8条第2項第1号に規定する農用地区域または農地法第5条第2項第1号ロに掲げる農地もしくは採草放牧地の区域

・自然公園法第20条第1項に規定する特別地域

・森林法第25条または第25条の2の規定により指定された保安林の区域

・自然環境保全法第14条第1項に規定する原生自然環境保全地域または同法第25条第1項に規定する特別地区

・森林法第30条もしくは第30条の2の規定により告示された保安林予定森林の区域、同法第41条の規定により指定された保安施設地区または同法第44条において準用する同法第30条の規定により告示された保安施設地区に予定された地区

【原則として、居住誘導区域に含まないこととすべき区域】

土砂災害特別警戒区域

津波災害特別警戒区域

災害危険区域(建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域のうち、同条第2項の規定に基づく条例により住居の用に供する建築が禁止されている区域を除く)

・地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項に規定する地すべり防止区域

・急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項に規定する急傾斜地崩壊危険区域

【居住を誘導することが適当ではないと判断される場合は、原則として、居住誘導区域に含まれないこととすべき区域】

・土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第6条第1項に規定する土砂災害警戒区域

・津波防災地域づくりに関する法律第53条第1項に規定する津波災害警戒区域

・水防法(昭和24年法律第193号)第14条第1項に規定する浸水想定区域

・特定都市河川浸水被害対策法(平成15年法律第77号)第32条第1項に規定する都市洪水想定区域及び同条第2項に規定する都市浸水想定区域

土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第4条第1項に規定する基礎調査、津波防災地域づくりに関する法律第8条第1項に規定する津波浸水想定における浸水の区域及びその他のと調査結果等により判明した災害の発生のおそれのある区域

【居住誘導区域に含めることについて慎重に判断を行うことが望ましい区域】

・都市計画法第8条第1項第1号に規定する用途地域のうち工業専用地域、同項13号に規定する流通業務地区法令により住宅の建築が制限されている区域

・都市計画法第8条第1項第2号に規定する特別用途地区、同法第12条の4第1項第1号に規定する地区計画等のうち、条例により住宅の建築が制限されている区域

過去に住宅化を進めたものの居住の集積が実現せず、空地等が散在している区域であって、人口等の将来見通しを勘案して今後は居住の誘導を図るべきではないと市町村が判断する区域

工業系用途地域が定められているものの工場の移転により空地化が進展している区域であって、引き続き居住の誘導を図るべきではないと市町村が判断する区域

このように、立地適正化計画で真っ先に区域から外されるのは「災害が予想される区域」となっています。当然ですよね。その他にも、大地震や集中豪雨などの際に災害リスクが予想されているところとなっています。

現状指定されている自治体は?

2023(令和5)年3月31日時点、675都市が立地適正化計画について具体的な取り組みをはじめており、このうち504都市が立地適正化計画を作成・公表しています。

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「負動産」とは?下落する不動産(住宅)についてまとめた

2018.07.07
不動産屋
読んでもわからない・・・難しい・・・重説どうしたらいいんだ。。。

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