こちらでは、建築計画概要書(けんちくけいかくがいようしょ)とはなにか、建築計画概要書を取得してどの部分を確認すればよいのかについて、詳しく説明します。
建築確認がおりた物件の概要がわかる書類
家が完成するには、中間検査を除くと「建築確認」と「完了検査」という2つの大きな審査をクリアしなければなりません。その建物が建築基準法などの法令に適合しているかどうかのチェックのためです。そして、建物を建築するには、工事をする前に建築確認申請をする必要があります。
家を建てるには、まず設計する必要がありますが、建築基準法上に沿った適法な家を設計する必要があります。
建築確認(けんちくかくにん)とは、設計段階、つまり工事着手前に、建築基準法の規定に適合しているかどうかチェックを受けることをいいます。
法令上問題ない設計図面を役所(平成11年5月からは民間の指定確認検査機関でも手続き可能)に申請しますが、このことを建築確認申請(けんちくかくにんしんせい)といい、提出書類は、建築確認申請書(けんちくかくにんしんせいしょ)と呼ばれます。
建築確認の大まかな流れは次の通りです。
建築確認申請書と一緒に提出する書類が建築計画概要書(けんちくけいかくがいようしょ)です。建築計画概要書は概要書(がいようしょ)とも呼ばれます。敷地面積・建物の大きさ・高さ・配置図などが記載されており、その建物がどのような許可を受けたのかわかります。
配置図には、都市計画道路の拡幅予定線、用途地域の境界線、道路現況線、敷地後退線などが記載されていることがあり、物件調査の参考となります。また、増築や改築をしていれば、その際の建築計画概要書もあるはずなので取得します。
民間の指定確認検査機関に提出された建築計画は、民間における審査終了後に各役所へ報告され、役所に建築計画概要書が備えつけられます。
そして、建築計画概要書はその後一般に公開され、建築確認がおりた物件の概要がわかる貴重な書類の役割を果たします。不動産を調査する際には、まず、役所の建築指導課で建築計画概要書を取得します。写しの交付を受けるためには多くの市町村で手数料がかかるため、まずは対象の市町村のホームページで確認することをおすすめします。
建築計画概要書のどこに、なにが書かれているのか
建築計画概要書は、役所や年代によって様式が異なります。一般的に新しいものほど、正確で詳細な情報が記載されています。
では、実際に建築計画概要書のどこに、なにが書かれているかをみてみましょう。
①受付年月日と番号がわかります。
②道路幅員や間口がわかります。違反建築の可能性はないか、現地でも計測します。
③2つの異なる用途地域にまたがっている場合、この欄に2種類の用途地域が記載されます。
④道路幅員による容積率制限
⑤加重平均による容積率
⑥違反建築の可能性がないか「敷地面積」「建築面積」「延べ面積」と登記簿謄本の数字を照合します。
⑦違反建築の可能性はないか、「階数」を登記簿謄本や現地と照合します。
⑧特別な許可を受けていれば、この欄に記載があります。
⑨配置図をよく見て、違反建築の可能性はないか、建物の形状を現地や建物図面と照合します。配置図では、主に次の点について確認することができます。
- 接道の長さと周り間:実際に現地で計測して差異はないかを確認し、実測図や地積測量図と一致しているかを照合します。
- 道路:建築基準法上の道路や幅員を確認し、役所でのヒアリング内容や現地での幅員計測と照合します。
- 用途境:役所でのヒアリング内容と照合します。
- 隣地境界線からの距離:民法234条、235条に抵触しないかを確認し、現地でも計測します。
- 汚水最終マス:下水道図面や現地と照合します。
- 塀:現地と照合します。
- 道路や隣接地との高低差(GL=グラウンドレベル)を確認します。他に都市計画道路の拡幅予定線、外壁後退の距離、浄化槽の位置、擁壁などについて書かれている場合があります。
⑩建築確認の日付と番号
⑪検査済証交付の日付と番号
取得した情報と現地を照らしあわせた上で、重要事項説明書を作成します。
なぜ、建築確認と検査済証の日付と番号が重要事項説明書に必要なのかについては、こちらをご覧ください。
・確認済証・検査済証・建築確認・完了検査とはなにかわかりやすくまとめた
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