では、ひとつずつ見ていきましょう!
こちらでは、確認済証(建築確認済証・建築確認通知証)・検査済証・建築確認・完了検査・建築計画概要書・台帳記載事項証明書・建築確認台帳とはなにか、詳しく説明します。
確認済証・検査済証とは?建築の流れについて
家が完成するには、中間検査を除くと「建築確認」と「完了検査」という2つの大きな審査をクリアしなければなりません。その建物が、建築基準法などの法令に適合しているかどうかチェックするためです。そして、建物を建築するには、工事をする前に建築確認申請をする必要があります。
家を建てるには、まず設計する必要がありますが、建築基準法上に沿った適法な家を設計する必要があります。
建築確認(けんちくかくにん)とは設計段階つまり工事着手前に、建築基準法の規定に適合しているかどうかチェックを受けることをいいます。
法令上問題ない設計図面を役所(平成11年5月からは民間の指定確認検査機関でも手続き可能)に申請しますが、このことを建築確認申請(けんちくかくにんしんせい)といい、提出書類は、建築確認申請書(けんちくかくにんしんせいしょ)と呼ばれます。ここでの建築とは、新築だけでなく、増築、改築、移転を含みます。
工作物の築造確認
建物を建てる際の「建築物の建築確認」の他に、高さ2m超の擁壁や昇降機(エレベーター)などの建築に際しては「工作物の築造確認」の申請も必要となります。(建築基準法第88条・建築基準法施行令第138条)
この建築確認をクリアした証明として出されるのが確認済証(かくにんずみしょう)です。確認済証は建築確認済証(けんちくかくにんずみしょう)や建築確認通知書(けんちくかくにんつうちしょ)とも呼ばれます。建築確認申請後、通常は3週間ほどで交付されます。建築確認が下りて、確認済証が交付されない限り、工事の着工ができません。不備がある場合は、再申請となります。
(確認済証)
建築確認申請書と一緒に提出する書類が建築計画概要書(けんちくけいかくがいようしょ)です。建築計画概要書は概要書(がいようしょ)とも呼ばれます。建築計画概要書の内容は、建築主・代理者・設計者・工事監理者・工事施工者の氏名や住所、敷地面積、床面積、構造、高さ、階数等の建物の概要や見取り図、配置図などの図面です。
そして、その図面を元に建物が建てられます。建築主は、建物が完成したら4日以内に工事完了届を提出しなければなりません。そして、実物が建築確認をクリアした図面と全く同じかどうかのチェックを受けなければなりません。
このことを完了検査(かんりょうけんさ)といい、完了検査をクリアした証明書として出されるのが検査済証(けんさずみしょう)です。検査済証の交付を受けてからでなければ、その建物を使用することはできません。また、検査済証は、一度なくしたら再発行はできません。
(検査済証)
建築確認と完了検査の事務について
従来は、役所(地方公共団体の建築主事)だけが行いましたが、1998(平成10)年の建築基準法改正により、1999(平成11)年5月からは民間の指定確認検査機関でも行うことができるようになりました。
なお、木造3階建てや一定規模の鉄骨造、鉄筋コンクリート造などの建物は地域によって工事中に中間検査(ちゅうかんけんさ)も受けなければなりません。
中間検査をクリアした証明書として出されるのが中間検査合格証(ちゅうかんけんさごうかくしょう)です。
・中間検査(ちゅうかんけんさ)とはなにかわかりやすくまとめた
確認済証と検査済証がなぜ必要なのか、その取得方法
中古不動産売買の重要事項説明で必要になるのは、確認済証に記載されている「建築確認番号」とその「取得年月日」、検査済証に記載されている「検査済証番号」とその「取得年月日」です。これらは、その家が違反建築物ではないことの証明になるからです(完了検査後に無断で増改築しているケースは除きます)。
そのため、物件調査の際には建築確認番号・検査済証番号・取得年月日を取得する必要があります。
売主が、確認済証と検査済証を保有していれば確認することができます。しかし、相当の年数が経過しているため、売主が確認済証や検査済証を紛失しているケースも多く見られます。基本的に、確認済証や検査済証は一度発行されると紛失しても再発行できません。また、そもそも建築確認は受けていても、完了検査自体受けていない物件も多々あります。このような物件には、検査済証がないため検査済証番号はありません。
建築確認番号や検査済証番号を知るためには大まかに2つの方法があります。「建築計画概要書」と「台帳記載事項証明書」です。
まず、役所で「建築計画概要書」を取得しましょう。建築基準法では、建築行為の際に起こりうる周辺とのトラブル防止、違反建物の抑制などの観点から、建築計画概要書の閲覧制度が定められており、ほとんどの役所で取得することができます。
建築計画概要書は、役所や年代によって様式が異なります。一般的に新しいものほど、正確かつ詳細な記載となっていますが、ほとんどの建築計画概要書に建築確認番号と検査済証番号、そして取得年月日が記載されています。
(建築計画概要書)
建築計画概要書に記載されていない場合は、役所で「台帳記載事項証明書」を取得します。名称は「建築確認台帳の証明」など役所によって異なります。
台帳記載事項証明書とは、紛失した確認済証や検査済証の代わりに発行してくれる証明書で、確認済証と検査済証交付の記録が記載されています。
この確認済証や検査済証の交付など、役所で保管している建築確認や完了検査の履歴を記載した台帳が建築確認台帳(けんちくかくにんだいちょう)です。そのため、証明書が発行されない場合には、建築確認台帳を閲覧し、記載されている事項をメモします。
建築確認台帳を閲覧する場合、登記簿謄本に記載されている建物の新築年月日の日付を確認します。建築後、相当年月が経過した建物は、すぐには建築確認番号が判明しないときがあります。建築確認許可がおりて建築確認番号があるとすれば、通常は新築登記の4ヶ月ぐらい前ですが、少し多めに見て2年前の日付くらいから台帳を閲覧し、建築主や町名、敷地面積などを参考にして、調査物件を特定します。
まとめ
不動産仲介の現場ですと、役所に調査に行くとき同僚から「この物件の建確取ってきて」と言われることも多いでしょう。建確(けんかく)とは、本来、建築確認(申請)のことを指しますが、不動産仲介の現場では建築確認番号・検査済証番号・取得年月日のことを指します。契約書(重要事項証明書)に必要だからです。
これらは確認済証と検査済証に記載されています。
確認済証とは、建物の工事に着手する前に、その計画が建築基準法に適合するかどうかを審査し(建築確認)、クリアした場合に交付される証明書です。したがって、その建物の計画内容を確認したものであり、実際の工事内容について適法に判断したものではありません。
検査済証は、工事完了後に実際に検査し、建築確認申請と同じ建物が建っていると判定された建物に交付される証明書です。
そのため、検査済証を取得していれば、建築確認申請通りの建物が建ったという1つの証明となりますが、申請通りに工事されていない場合や、検査済証を取得後に所有者が増改築したり、敷地の一部を売却することで違反建築物である可能性も頭の片隅に置いておくべきです。
不動産会社だけど、プロに不動産の基本調査や重要事項説明書などの書類の作成を依頼されたいという方は、「こくえい不動産調査」にご相談ください。
地方であっても複雑な物件でも、プロ中のプロがリピートしたくなるほどの重説を作成してくれます。