不動産を売買する際、重要事項説明書の中に「建ぺい率」という項目があります。
(この項目では、FRK・宅建協会・全日・全住協の重要事項説明書を念頭に説明しており、書式や記載方法は微妙に異なっていますが、用語の意味や記入すべき内容は基本的に同じです。ここではFRKの記入方法を中心に解説しています。)
建ぺい率とは
土地いっぱいに家を建ててしまうと、その街全体はギュウギュウに詰まってしまうことになります。市街地における建物の通風・採光の確保や防火上の見地から、敷地面積に対する建築物の建っている部分の面積(建築面積)の比率(建ぺい率)を定めて、敷地内に一定割合以上の空地(くうち)が確保されるようにしています(建築基準法第53条)。
建築面積:建築物の外壁・柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積。ただし、軒・ひさし・バルコニーなど1m以上突き出た所があるときは、先端より1m後退した部分までは建築面積に算入されます(右図のL部分)(建築基準法施行令第2条第1項第2号)。
敷地面積:敷地の水平投影面積。ただし、道路とみなされる部分(セットバック部分)は、敷地面積には算入できません(建築基準法施行令第2条第1項第1号)。
建ぺい率は、次のように用途地域によって定められています。
建ぺい率制限の緩和について
建ぺい率が80%以外で防火地域内の耐火建築物は+10%緩和されます。また、敷地が防火地域の内外にわたり、敷地内の建築物の全部が耐火建築物であるときは、その敷地は全て防火地域内にあるものとみなされます。
なお、建ぺい率が80%の地域で、かつ、防火地域内にある耐火建築物は、建ぺい率は無制限(100%)になります。
ただし、防火地域内の耐火建築物であるので建ぺい率の制限はありません。
特定行政庁の指定する角地も+10%緩和されます。
他の用途地域にまたがる場合
両地域の面積により加重平均されます。用途地域の指定:A.南側市道◯号線道路境界から北側25mまでの部分…近隣商業地域、B.A以外の(25mを超える)部分…準住居地域
敷地が2以上の地域にまたがる場合は、それぞれの地域の面積により、加重平均されたものになります。なお、面積の割合について、正確に把握することが困難な場合には、加重平均した後の建ぺい率について記載する必要はありません。
加重平均についてですが、例えば、敷地の3/5(60㎡/100㎡)が建ぺい率80%の地域に、敷地の2/5(40㎡/100㎡)が建ぺい率60%の地域に属したとします。そのため、加重平均して建ぺい率を求めると(60㎡×80%+40㎡×60%)÷(60㎡+40㎡)=(480+240)÷100=72%となります。
不動産会社だけど、プロに不動産の基本調査や重要事項説明書などの書類の作成を依頼されたいという方は、「こくえい不動産調査」にご相談ください。
地方であっても複雑な物件でも、プロ中のプロがリピートしたくなるほどの重説を作成してくれます。