建ぺい率とは
建ぺい率とは、建築面積の敷地面積に対する割合を%で表したもので、この土地にどれぐらいの規模の建物を建てることができるのかわかる指標です。
建ぺい率(%) = 建築面積 / 敷地面積 × 100
建築面積は、水平投影面積(すいへいとうえいめんせき)です。水平投影面積とは、建物を真上から見たときの面積で、凹凸や斜面があっても、水平とみなして測定するものです。
建築面積(水平投影面積)の求め方
- 最も大きな1階部分が、建築面積となる。
- 2階の突出している面積も建築面積となる。
- ひさしやベランダ、軒(のき)の長さが1m以上の場合は、その先端から1m下がった部分(L-1m)までを、建築面積に算入する。
水平投影面積が明確でない場合は、建物登記簿上で「最も面積が大きい階」を敷地面積で割ります。
写真のような屋根付き駐車場(カーポート)や物置に注意が必要です。
これらも建ぺい率に算入されます。新築の際、建ぺい率を抑えるため役所の検査が終わった後に、カーポートを付けたり、物置を設置されたケースがよくみられます。
建ぺい率オーバーしていることが多く、売却するときには「違反建築物」として不動産重要事項説明書に記載が必要です。また、買主から指摘された場合、撤去費用が必要になることがあります。
建ぺい率は、通風や採光の確保、防火上の観点から用途地域に応じて定められ、敷地に一定割合以上の空地(くうち)が確保されるようにしたものです。
用途地域 | 建ぺい率(%) | ①防火地域内で耐火建築物の場合(+10%) | ②特定行政庁が指定する角地(+10%) | ①と②の条件を満たす場合(+20%) |
第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 田園住居地域 工業専用地域 |
30 40 50 60 |
40 50 60 70 |
40 50 60 70 |
50 60 70 80 |
第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 準工業地域 |
50 60 80 |
60 70 制限なし |
60 70 90 |
70 80 制限なし |
工業地域 | 50 60 |
60 70 |
60 70 |
70 80 |
近隣商業地域 | 60 80 |
70 制限なし |
70 90 |
80 制限なし |
商業地域 | 80 | 制限なし | 90 | 制限なし |
用途地域の指定の無い区域 | 30 40 50 60 70 |
40 50 60 70 80 |
40 50 60 70 80 |
50 60 70 80 90 |
すでに建物が建っていて、物件調査をする際は、実際の建ぺい率を計算して、制限の範囲内におさまっているかをチェックします。
なお、建ぺい率は、各自治体によって上限が定められています。調査している不動産の建ぺい率を調べる場合はGoogleやYahoo!で「〇〇市 建ぺい率」と検索すれば調べることができます。
建ぺい率とセットになっている容積率(ようせきりつ)についてはこちらをご覧ください。
建ぺい率緩和の特例
建ぺい率は、一定の条件を満たす場合に、定められている建ぺい率の割り増しが認められます。さらに建ぺい率の制限を受けない場合があります。
建ぺい率の制限を受けない場合
定められた建ぺい率が80%の用途地域(第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、準工業地域、近隣商業地域、商業地域)で、かつ防火地域内にある耐火建築物は、建ぺい率は無制限(100%)になります。(建築基準法第53条6項)
建物を建てる際、一般的に隣地境界線から50cm離さなければならない(民法234条)ところ、敷地をフル(100%)に使って隣地境界線に接して建てることができます。
建ぺい率の割り増しを受けられる場合
建築基準法第53条3項の規定により、次の条件に1つでも該当すると「+10%」になり、両方に該当していれば「+20%」に割り増しを受けられます。
- 用途地域が建ぺい率80%以外で、かつ、防火地域内にある耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物、または、準防火地域内にある耐火建築物・準耐火建築物又はこれと同等以上の延焼防止性能を有するものとして政令で定める建築物
- 特定行政庁が指定した角地にある建物
各自治体によって角地の規定が異なっているため、必ず個別ごとに確認しなければなりません。例えば、大阪市の場合は次のようになっています。
調査物件の角地の規定を知りたい場合は、まず特定行政庁を調べGoogleやYahoo!で「〇〇市 角地緩和」と検索すれば調べることができます。
また、特定街区や地区計画による壁面線の指定がある場合も、特定行政庁の許可により割増を受けられるケースがあります。
また、敷地が防火地域の内外にまたがる場合でも、建物が耐火建築物のときは敷地全部が防火地域内にあるものとみなされて緩和の特例を受けることができます。
単純に敷地が建ぺい率の異なる用途地域にまたがる場合は加重平均で計算します。例えば土地が100㎡あって、そのうち準住居地域 (建ぺい率60%)が40㎡、近隣商業地域(建ぺい率80%)が60㎡とするとこの場合の建ぺい率は(40㎡×60%+60㎡×80%)÷100㎡=72%ということになります。
なお、建ぺい率の基礎となる敷地面積は、必ずしも土地全体の面積とは限りません。土地の一部が道路となっている場合や2項道路の場合は、道路部分の面積を除いたものです。
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