不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「自然公園法」という項目があります。
どのような不動産が自然公園法の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における自然公園法について説明します。
次の不動産は「自然公園法」について重要事項説明が必要です。
- 国立公園内
- 国定公園内
- 都道府県立自然公園内
自然公園法とは
自然公園法は、優れた自然の風景地を保護することを目的として1957(昭和32)年に制定されました。
自然公園とは、市街地にある都市公園と異なり、自然風景の土地について指定し、国が定める国立公園(こくりつこうえん)、国立公園に準ずる国定公園(こくていこうえん)、都道府県が定める都道府県立自然公園(とどうふけんりつしぜんこうえん)をいいます。
国立公園および国定公園は環境大臣が、都道府県立自然公園は都道府県が条例により指定します。
環境大臣は国立公園の中に、都道府県知事は国定公園の中に、特別地域(とくべつちいき)・特別保護地区(とくべつほごちく)・海域公園地区(かいいきこうえんちく)を指定することができ、これらの地域や地区内で工作物を新築・改築・増築等をする場合は、原則として環境大臣(国立公園内)または都道府県知事(国定公園内)の許可が必要です。
また、国立公園および国定公園内の普通地域(特別地域・特別保護地区・海域公園地区以外の地域)で、一定の規模以上の工作物を新築・改築・増築等をする場合は、原則として環境大臣(国立公園内)または都道府県知事(国定公園内)へ届出が必要です。
特別地域とは、国立公園や国定公園内で、その風致を維持するため公園計画にもとづいて指定する地域をいい、特別保護地区とは、公園の景観を維持するため特に必要があるとき特別地域内に指定する地区をいいます。また、公園の海域の景観を維持するため指定する地区を海域公園地区といいます。
普通地域とは、国立公園や国定公園内で、特別地域および海域公園地区に含まれない区域をいいます。
風景地保護協定とは、環境大臣もしくは地方公共団体、または一定の公園管理団体が、土地の区域、管理方法、必要な施設の整備に関する事項および協定の有効期間などについて、土地の所有者等と締結する協定をいいます。この協定は、その後新たに土地の所有者となった者に対しても効力が及びます(承継効)。
【国立公園・国定公園・都道府県立自然公園内での制限行為】
特別地域(特別保護地区を除く)内において、工作物の新築や土地の形状の変更等の行為をしようとする者は、原則として、国立公園の場合は環境大臣、国定公園の場合は都道府県知事の許可が必要です。
特別保護地区内において、工作物の新築や土地の形状の変更等の行為をしようとする者は、原則として、国立公園の場合は環境大臣、国定公園の場合は都道府県知事の許可が必要です。
海域公園地区内において、工作物の新築や海面の埋立等の行為をしようとする者は、原則として、国立公園の場合は環境大臣、国定公園の場合は都道府県知事の許可が必要です。
普通地域内において、工作物の新築や土地の形状の変更等の行為をしようとする者は、原則として、国立公園の場合は環境大臣の、国定公園の場合は都道府県知事に対し、行為の種類、場所、施行方法等の事項を届け出なければなりません。
国立公園または国定公園内の自然の風景地の保護のため必要があるときには、環境大臣もしくは地方公共団体または一定の公園管理団体が、当該公園の区域内の土地所有者等と風景地保護協定を締結することができますが、この協定は、その公告がなされた後に協定区域内の土地所有者となった者に対しても効力がおよびます。
都道府県立自然公園内において、工作物の新築や土地の形状の変更等の行為をしようとする者は、その都道府県の条例によって、国立公園または国定公園における特別地域または普通地域内における行為に対する規制の範囲内で、必要な規制を受けることがあります。
例えば、2016年の伊勢志摩サミットの会場である三重県志摩市の賢島は、伊勢志摩国立公園内にあり、特別地域に指定されています。
国立公園や国定公園は、環境省のHPにおいて確認することができますが、変更や廃止の可能性があるので役所に確認が必要です。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、国立公園内・国定公園内・都道府県立自然公園内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「自然公園法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
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