こちらでは、道路斜線制限(どうろしゃせんせいげん)について、詳しく説明します。
道路側に面した建物部分の高さの制限
斜線制限とは、建物と建物の間に空間を確保して、日照・採光・通風を妨げないための制限で、道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限の3種類があります。
道路斜線制限とは、接している道路の幅員にもとづいて、道路側に面した建物部分の高さの制限です。
道路への採光や通風を確保することで、同時に周辺の建物の採光や通風を確保することができます。写真の戸建は、道路斜線制限を受けてこのようなデザインになっています。
道路斜線制限は、次の用途地域に制限がかかります。
道路斜線 | 隣地斜線 | 北側斜線 | |
第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 田園住居地域 |
● | ● | |
第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 |
● | ● | ● |
第一種住居地域 第二種住居地域 準住居地域 |
● | ● | |
近隣商業地域 商業地域 準工業地域 工業地域 工業専用地域 |
● | ● | |
用途地域の指定のない地域 | ● | ● |
上記の通り、道路斜線制限が適用されない地域はないので、一般的に家が建てられる場所には道路斜線制限があります。
道路斜線制限は、敷地の周囲にある道路から発生する架空の斜めの線による制限のこと
道路斜線制限は、敷地の周囲にある道路から発生する架空の斜めの線による制限のことで、建物を建てるときは、高さがこれらの斜線を超えないように設計しなければなりません。
具体的には、敷地と接する道路の反対側の境界線までの距離の1.25倍または1.5倍以下(傾斜勾配)に建物の高さは制限されます。
ただし、道路から一定距離(適応距離・適用距離)だけ離れたところからは制限がなくなり、直線的に建てることができます。
戸建やマンション、オフィスビルなど道路に面する側の建物上部に、三角柱状に切り取られたような部分がみられますが、道路斜線制限の範囲内で、高さや容積をできるだけ確保するように設計したからです。
傾斜勾配と適用距離は、次の通りです。
用途地域 | 容積率 | 適用距離 | 傾斜勾配 |
第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 第二種中高層住居専用地域 第一種住居地域 第二種住居地域 田園住居地域 準住居地域 |
200%以下 | 20m | 1.25 |
200%超〜300% | 25m | ||
300%超〜400% | 30m | ||
400%超 | 35m | ||
近隣商業地域 商業地域 |
400%以下 | 20m | 1.5 |
400%超〜600% | 25m | ||
600%超〜800% | 30m | ||
800%超〜1,000% | 35m | ||
1,000%超〜1,100% | 40m | ||
1,100%超〜1,200% | 45m | ||
1,200%超 | 50m | ||
準工業地域 工業地域 工業専用地域 |
200%以下 | 20m | 1.5 |
200%超〜300% | 25m | ||
300%超〜400% | 30m | ||
400%超 | 35m |
前面道路の境界線から後退(セットバック)した建築物の場合
前面道路の境界線から後退(セットバック)した建築物については、前面道路の反対側の境界線が後退距離と同じ距離だけ外側にあるものとして道路斜線制限を受けます。反対側の道路斜線の起点が、後退した分と同じ距離だけ外側にずれるので、敷地の上を通る道路斜線が高くなり、その部分にも建築物を建てることができるようになります。
もし、あなたが自分の理想の家を求めて設計してもらうことを考えている場合、道路斜線制限を受けて理想通りに建てられないことがあります。道路斜線制限という道路側に面した建物部分の高さの制限があることを知っておきましょう。
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