不動産の重要事項説明書の「都市計画法・建築基準法以外のその他の法令に基づく制限」において「集落地域整備法」という項目があります。
どのような不動産が集落地域整備法の対象となり、どのような制限を受けるのでしょうか。
ここでは、不動産の重要事項説明における集落地域整備法について説明します。
次の不動産は「集落地域整備法」について重要事項説明が必要です。
- 集落地区計画区域内
集落地域整備法とは
集落地域整備法(しゅうらくちいきせいびほう)は、都市化の波が押し寄せて、農家と一般住宅が混在する都市近郊の農村集落について、調和のとれた地域整備を行うための法律で、1987(昭和62)年に制定されました。
集落地域整備法にもとづき、都市計画法上の地区計画として、集落地区計画(しゅうらくちくけいかく)を定めます。集落地区計画は、集落地域内で、農業と調和した居住環境と土地利用を図るための計画です。集落地域は、市街化区域以外の都市計画区域で、かつ農業振興地域(のうぎょうしんこうちいき)内とされます。
集落地区計画により、農業の兼業(副業)化や農家と非農家の混在化に伴う、虫食い的な農地転用(農地を農地以外のものにすること)による営農(農業を経営すること)条件の悪化や建築物のバラ建ちを防ぐことを目的としています。
集落地区整備計画では、次の内容を定めます。
- 集落地区施設の配置・規模
- 建築物等の用途制限、建ぺい率の最高限度、建築物の高さの最高限度、建築物の形態や意匠の制限
- 居住環境を確保するための樹林地、草地等の保全に関する事項
こちらは、沖縄県島尻郡八重瀬町富盛地区ですが、富盛地区集落地区計画が定められています。
富盛地区集落地区計画では、田園環境と調和したまちづくりを目指しています。
集落地区計画の区域内において、土地の区画形質の変更や建築物等の新築・改築・増築に際しては、その行為に着手する日の30日前までに、原則として、市町村長に届出しなければなりません。
【集落地区計画区域内での制限行為】
集落地区計画が定められている土地の区域について、土地の区画形質の変更や建築物の新築等をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、原則として、市町村長に届け出なければなりません。届け出た事項を変更しようとする場合も同様です。
それほど開発が進んでいるわけではありませんが、住宅地区に家が固まっているのがわかります。
集落地区計画は、令和4年3月31日時点では、上記の富盛地区を含めて、15都市(12県)の16地区で定められています。
集落地区計画は、国土交通省のHPの地区計画等のページで確認することができますが、変更や廃止がある可能性があるので、役所に確認しておきましょう。
調査した結果、売買の対象となる不動産が、集落地区計画区域内に該当する場合には、制限の内容を調査するとともに、不動産の重要事項説明書の「集落地域整備法」の項目にチェックをつけて、制限内容を説明する必要があります。
集落地区計画は、都市計画法で定める「地区計画等」の一つです。地区計画等とはそれぞれの目的に即した5つの地区計画の総称です。
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