木造住宅の耐用年数は22年って聞いたんですけど……
22年を過ぎたら、もう価値はないっていうことなんですか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
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住宅の寿命についての考え方は、いくつかあります。その一つが「法定耐用年数」です。
木造住宅の法定耐用年数は、事業用で22年、非事業用で33年とされています。しかし、法定耐用年数を過ぎたからといって、価値がなくなったり住めなくなったりするわけではありません。
ここでは住宅の耐用年数と実際の寿命について説明します。
もくじ
1.耐用年数とは
耐用年数とは、簡単に説明すると「使用に耐え得る年数」のことです。どのような意味で「使用に耐え得る」のか、個別に見てみましょう。
・法定耐用年数
・物理的耐用年数
・社会的耐用年数
・経済的耐用年数
それぞれの耐用年数が、どのような性質を持つのかを説明していきます。
1-1.法定耐用年数
法定耐用年数とは「税務上、減価償却資産が利用できる年数」のことです。建物が「実際に使用に耐え得る期間」ではありません。
ここでお話する「減価償却資産」とは、家やマンションのことです。住宅などの高額な資産は、築年数が経つにつれて価値が減少しますが、減価償却資産は会計上、一度にその費用を計上せず、毎年少しずつ費用を配分します。これを減価償却と言います。
税務上、家やマンションが利用に耐え得る年数というものは、省令で決められています。
省令で決められている、住宅の法定耐用年数は以下の通りです。非事業用の場合は、この年数を1.5倍したものになります。
構造 | 耐用年数 |
鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
木造 | 22年 |
木骨モルタル※ | 20年 |
軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下の場合) | 19年 |
※木骨モルタル:木骨にモルタルというセメントのような塗料を塗って造る構造
法定耐用年数を過ぎると、税務上は価値がなくなったと判断されます。
法定耐用年数は不動産投資などを行う際に減価償却するうえで重要となりますが、実際に住んでいる住宅の寿命を表しているわけではありません。
法定耐用年数を過ぎても、当然まだ住むことが可能です。
1-2.物理的耐用年数
物理的耐用年数とは、材料そのものの耐用年数です。
マンションの外壁を例にしてみましょう。
外壁は雨風や直射日光による紫外線、日中と夜間で生じる温度差で次第に傷んでいきます。最終的には外壁に割れや欠けができてしまい、外壁に要求される性能が失われてしまいます。
つまり外壁の物理的耐用年数とは、外壁材が材料の劣化に耐えてその性能を維持している期間のことです。
これは住宅を構成しているすべての材料について当てはめられます。屋根や柱、バルコニーやサッシなど、物理的耐用年数はそれぞれで異なります。
またメンテナンスをどの程度行なうか、立地による天候の違いなどで傷み具合の状態は変わります。
そのため、物理的耐用年数はあくまでも目安の年数となります。
1-3.社会的耐用年数
社会的耐用年数とは、所有者側の理由による耐用年数だと考えてよいでしょう。
これを一戸建ての外観を例にしてみましょう。
物理的耐用年数に達していなくても、このようになると新しくしたいと考える人が多いでしょう。
社会が変化することで陳腐化した設備(上記の例では外観)や間取りなどによって、所有者自身が「このままではもう住めない」と感じるまでの期間です。
1-4.経済的耐用年数
経済的耐用年数とは、維持改修費をかけることで変化する耐用年数と考えましょう。
費用をかけて補修・改修を行えば物理的・社会的耐用年数をある程度延ばすことは可能です。
ですが維持改修費は劣化が進むにつれて増加する傾向があるため、ある時期を超えると維持改修費を負担できなくなり、最終的には物理的・社会的耐用年数のため取り壊されてしまいます。
つまり経済的耐用年数とは、維持管理費をかけたうえで性能を維持できる最大の期間であるといえます。
2.住宅ごとの実際の寿命
日本で一番普及している一戸建ての住宅は、木造住宅です。構造体(骨組み・軸組・基礎)に使われる木材の耐久年数から寿命は80年程度と言われています。
他に一般的な構造としては、マンションなどで使われている鉄筋コンクリート構造がありますが、鉄筋コンクリート自体の耐久年数は120年とも言われています。
各構造の平均寿命は、色々な研究から表のように言われています。
構造 | 平均寿命 |
木造(W造) | 30~80年程度 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 40~90年以上 |
鉄骨造(S造) | 30~60年程度 |
出典:「期待耐用年数の導出及び内外装・設備の更新による価値向上について(国土交通省)」
2-1.あとどれくらい住めるのか
長年同じ家に住んでいると、あとどれくらい住めるのか、目安的な意味で住宅の寿命を把握したいというのは当然です。
住宅の平均寿命の差が大きいのは、「住んでいる人次第」という面があるからです。
堅牢な家であっても、長年風雨にさらされれば外壁は傷んできますし、排水管に汚れが貯まれば水が流れにくくなって不具合が生じます。
そのようなときに住んでいる人がきちんとお手入れするかしないかで、家の寿命は左右されるのです。
3.住宅の寿命を伸ばすには
建物の実際の寿命は、メンテナンス次第と言えます。
つまり住んでいるあなたが手間やコストをかけて掃除やお手入れをすることで、住宅の寿命をのばすことができるのです。
具体的にはどうすればいいのか見ていきます。
3-1.こまめな掃除や換気
毎日の掃除は美観を保つだけでなく寿命にも大きく関わってきます。家の中も外も掃除を行うことで色々なところに目を配ることができるため、不具合を見つけやすくなります。
住宅の不具合を早期に発見しておけば、補修などに必要な費用や工事も簡単に済む可能性があります。
水周りに漏れや異臭があった場合、住宅の土台や構造へ影響している可能性も考えられるため、早めの対処をするためにも普段から気をつけるようにしましょう。
フローリングでは、美しさを保ちながら傷みを防ぐこともできるワックスがけを、定期的に行うことがおすすめです。
また、日本は高温多湿の気候のため、こまめな換気も心がけましょう。冬は外が寒く家の中が温かいため、結露ができてカビが発生してしまう可能性もあります。
室内の湿度を下げるためにも、冬でも換気が必要です。
3-2.定期的な点検やメンテナンス
普段の掃除に加えて、定期的な点検や部品交換などのメンテナンスも、住宅の寿命を伸ばすポイントです。
定期的な点検をすることでシロアリ被害を防ぎ、トラブルを最小限に抑えることが可能です。
木造住宅にとって、シロアリは大敵です。可能であれば、新築のうちに防蟻対策をしておくことをおすすめします。
シロアリは湿ったや木材を好み、放置していると大切な家の柱を食べて、住宅がボロボロになる可能性があります。
そうなると、小さな揺れや台風でも倒壊の恐れがあり、大変危険です。
定期的に専門家へ診断を依頼することをおすすめします。
また、簡単な日々の掃除だけでなく、
・外壁の塗装
・水回りの詰まり、悪臭
・フローリングのきしみ具合
などの状態を定期的にチェックして、異常があれば専門家に確認してもらうと安心です。
住宅の設備は長年使用していると、劣化していきます。定期的に状態を確認し、部品交換や細かい修繕など、メンテナンスすることで、寿命を伸ばすことが可能です。
3-3.リフォーム
住宅は築年数が経過すれば、大規模なリフォームや建て替えが必要になります。
全面リフォームは、柱や梁などの枠組みを残して新たに造り直します。慣れ親しんだ我が家の柱や土台を壊すことなく、外観や内装を新しくすることが可能です。
費用も建て替えよりも安い傾向にあります。しかし、老朽化具合によっては、費用が高額になる可能性もあります。
まとめ
木造であれば住宅の寿命は30~80年程度ですが、住んでいる人がどの程度のお手入れをするのかで住宅の寿命は変わってきます。また、それには当然ですが手間と費用がかかります。
築古物件になるほど修繕のための費用は、どうしても多くかかるようになります。
そのような状態であれば、売却して住み替えるというのもひとつの方法です。
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