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離婚するとき、家の「共有持分」だけを売却することは可能か?

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離婚するとき、家の「共有持分」だけを売却することは可能か?

離婚するのですが、私は家を売却したいと思っているのに、妻が同意してくれません。せめて自分の共有持分だけでも売却することはできないのでしょうか?

こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。

離婚するとなったとき、家やマンションが夫婦の共有名義なら、相手と話し合いをしてお互いに合意しなければ売却することはできません。

ただし、「共有持分」だけなら合意ができなくても売却が可能です。

こちらでは、離婚時に自分の共有持分だけを売却する方法とその場合の注意点についてわかりやすく説明します。

1.共有持分と共有名義とは

夫婦での家の「共有」は、珍しいことではありません。

共有とは、1つの物を複数の人が共同で所有している状態のことです。家は不動産ですが、1つの不動産は1人でしか所有できないわけではなく、複数の人が1つの不動産を所有する「共有」が認められています。

このような共有状態の場合、この不動産の所有権を持っている人のことを共有名義といい、それぞれの人がその不動産について持っている所有権の割合のことを「共有持分」といいます。

共有持分は、すべて足すと100%となります。たとえばAさんとBさんが不動産を共有しているとき、Aさんの持分が60%ならBさんの持分が40%、Aさんの持分が70%ならBさんの持分は30%となります。

共有名義かどうかやそれぞれの共有持分については、登記簿謄本(全部事項証明書)や登記識別情報通知で「所有権登記名義人」を確認すればわかります。所有権者が2人以上になっていて「共有持分の割合」が書いてあれば、その不動産は共有状態です。

(共有持分の登記の例)

この場合、坂根大介さんと坂根理沙さんが持分50%ずつ所有しています。

夫婦が家を購入するとき、夫の名義と妻の名義の両方を入れて、お互いが不動産の持分を持ち合って共有状態にしていることが多いです。また、親の名義が一部入っているケースもあります。

2.共有名義は家全体を自由に売却できない

不動産が共有名義になっている場合、持分を持っている人たちは単独で、勝手に不動産を処分したり活用したりすることができません。

不動産全体の売却については、共有持分を持っている全員の合意が必要ですし、リフォームや増改築をするためにも過半数の合意が必要です。

そこで離婚時に、夫婦のどちらかが「家を売って売却代金を半分に分けて清算したい」と言っても、相手が売却に同意しなければ家を売ることができないのです。

そうなると、離婚後もずっと元夫婦が家の共有状態を継続しなければなりません。仮に賃貸するとしても互いの同意が必要ですし、賃料の取り分はどうするのかなどの話し合いも必要となりスムーズにできないでしょうから、お互いにとって不利益になります。

3.共有持分のみなら売却できる

共有状態の場合、持分権者(もちぶんけんじゃ:持分を持っている人)全員の合意がないと「家全体」を売却することはできません。

ただ「共有持分」については、それぞれの持分権者が100%の権利を持っているので、持分のみの売却であれば、各共有持分権者が単独で決定できます。相手の同意は要りません。

たとえば夫の持分が60%、妻の持分が40%の場合において、夫が自分の60%の持分のみを売却することは可能です。

4.共有持分を売却したらどうなる?

もしも、夫婦のどちらかが自分の共有持分を売却したら、どのような状態になるのでしょうか?

この場合、もともとの夫婦の一方と共有持分の買手との共有状態になります。

たとえば先の例で、夫が自分の60%の共有持分を売却した場合、買手と妻が家を共有することになります。持分割合は買手が60%、妻が40%となり、その後は妻と買手が話し合いをして、不動産の管理方法などを決めていく必要があります。

夫は共有持分売却によって、家の共有状態から外れるので、後は家に関与することはありませんし、共有持分売却代金も手元に入ってきます。

5.離婚時に共有持分を売却してしまう際の注意点

一般的な共有物件の場合、共有持分を売却する方法によって持分権者は共有持分を現金化できますし、面倒な共有状態から外れることも可能です。

しかし、離婚前の夫婦の場合、このような方法で共有持分を売却すると、大きなトラブルにつながるおそれがあります。

なぜなら、家は離婚するとき財産分与の対象となるからです。

夫婦の財産分与の割合は基本的に2分の1ずつとなるので、家の権利もそれぞれ2分の1ずつです。登記上の共有持分としては夫が60%、妻が40%などとされているかもしれませんが、財産分与の際には2分の1ずつとして計算します。

それにもかかわらず夫が自分の共有持分を全部売却してしまったら、妻に渡る権利が小さくなってしまいます。

そこで、夫婦の一方が家の自分の共有持分を勝手に売ってしまうと、相手の権利侵害分については、金銭で賠償しなければならない可能性が高くなります。たとえば、夫が60%の共有持分を売却した場合、妻に10%分の代金を支払わねばならないということです。

離婚する夫婦の場合、自分が共有持分を多く取得しているからと言って、売り逃げは認められません

さらに買手が不動産の所有権移転登記をする前であれば、夫婦のもう一方が買手に対して登記の差止請求などを行い、大きなトラブルに発展してしまう可能性もあります。

トラブルにならずに財産分与する方法については「離婚時、夫婦共有名義の家はどうやって財産分与するのかまとめた」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。

6.共有持分は安く買いたたかれる

不動産の共有持分だけ売るのは、家全体を売るのに比べて、非常に売れにくいです。なぜなら、共有持分だけ買ってもほかの共有者と連携しないと活用できず、自由に利用することが難しいからです。

さらに、一般的に共有持分だけ売却する場合、家全体を売却するケースと比べて大幅に売却価格が安くなります

家をどうすべきか悩んでいる方は「離婚したら家はどうする?分ける方法、もらう方法についてまとめた」も併せてご覧ください。

相手が売却を渋っているようなら、一度お家の相場価格を調べてみて、「売ればこのくらいになる」と提示してみるのも一つの手です。

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