
不動産を共同名義のまま離婚するのはよくないないのでしょうか?
仮に、夫婦で財産分与するにはどういった方法がありますか?
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
離婚するときに家が共有名義になっていると、夫婦でどのように分ければよいのか迷いますよね。しかし、離婚後も共有名義のままにしておくと、さまざまなトラブルになる可能性が高いです。
このような場合、夫婦どちらかの名義にしたり、売却したりすることができます。
こちらでは、離婚時に夫婦共有名義の家である場合の分け方についてわかりやすく説明します。
だから!

もくじ

離婚時に家を分けるとき、持分は無関係
夫婦で家を購入するとき、夫婦の共有名義にするケースがよくあります。
不動産(マンション・一戸建て・土地)を共有名義にするときには、それぞれの「持分割合」を決めなければなりません。
持分割合(もちぶんわりあい)とは、その不動産を所有している割合のことです。夫婦が共有する場合、2人の持分を足すと1(100%)となります。
一般的に、持分割合は出したお金の金額で決まります。たとえば、妻が頭金として200万円を出し、夫名義で1800万円のローンを組んだ場合には、妻が10分の1、夫が10分の9となります。
財産分与では、基本的に2分の1(半分)ずつ
離婚の場合、この共有名義の持分割合は家の分け方にどのように影響するのでしょうか。
夫婦共有名義の場合「持分割合がそれぞれの財産」と思われているケースがよくありますが、これは誤解です。
確かに、一般的に共有持分の不動産を分けるとき、持分割合に従って財産を分けます。しかし、離婚の際には、持分割合とは無関係に家を分けます。家は「財産分与」の対象になるからです。
財産分与(ざいさんぶんよ)
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚時に夫婦それぞれ分け合うことをいいます。不動産は、財産分与の対象に含まれます。
一般的に、夫婦の財産形成に対する貢献度は同程度であると考えられており、財産分与をするときには、夫婦が2分の1ずつにするのが原則です。
家を分けるときも同様で、夫婦の共有持分割合が何対何になっていても、分けるときには2分の1ずつになります。
共有名義のままにしておくとどうなるの?
では、共有名義の家がある場合、離婚時は夫婦の共有持分を2分の1ずつにして、離婚後も共有状態のままにしておけば良いのでしょうか。
確かにそのようにすることも可能ではありますが、将来トラブルになるリスクが高いので、一般的にはこのような方法を選びません。

相手の同意がないと売却や活用ができない
離婚後も不動産が共有状態になっていると、将来、家を貸したり売ったりする場合も建物の増改築や不動産を担保に入れてお金を借りたい場合なども相手の承諾が必ず必要となるため、自由にできずとても不便です。
お互いの意見が合わない場合、トラブルのもとになります。そもそも、離婚した後も相手との関係が続いてしまうので、嫌だと考えている方が多いです。
相続になるとさらに関係が複雑になる
仮に離婚後、元夫もしくは元妻が亡くなってしまった場合、家の共有持分は亡くなった側の遺族が相続することとなります。
たとえば、亡くなった夫が再婚しており、新しい配偶者と子供が1人いた場合、元夫が持っていた共有持分をこの2人が相続します。そのため、今後は相続した2人の同意がなければ家の売却や活用ができないというさらに複雑な関係になってしまうのです。
共有分割調停や共有持分訴訟になる可能性もある
共有分割調停とは、話し合いによって協議が整わなかった場合、裁判所の調停委員に間に入ってもらって、話し合いを仲介してもらう手続きのことです。
相手と連絡を取ったり直接顔を合わせたりする必要もありませんし、調停委員から客観的な和解案を提案してくれるので、合意できる可能性が高くなります。
共有分割調停でも、相手と合意ができなければ「共有物分割訴訟」という裁判によって解決するしかありません。共有物分割訴訟とは、裁判所に対して「共有物を分割してください」と求める裁判のことです。
共有物分割訴訟になると、
- 共有不動産自体を切り分ける「現物分割」
- 他の共有者の持分をお金(代償金)を払って買い取る「価格賠償」
- 不動産を強制的に売却(競売)し、お金を分ける「換価分割」
いずれか3通りの分割方法となります。
①と②ができない場合、裁判所は③「換価分割」の決定をするしかありません。売却を望んでいなかったとしても、判決で換価分割を宣言されてしまうケースもあるのです。
さらに詳しく知りたい方は「離婚後、元夫や元妻と家が共有状態の場合における解消方法」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
家を単独名義にする方法
そこで、どちらかが相手に自分の共有持分を全部譲り、家を単独名義にしてしまうのがよいでしょう。そのためには、どちらかの共有持分を相手に「財産分与」することによって対応します。

住宅ローンがない場合
住宅ローンがない(残っていない)場合には、共有持分を財産分与するのは簡単です。
離婚協議書(協議離婚合意書)や財産分与契約書を作成して、財産分与にもとづいて、共有名義から夫婦どちらかの単独名義へ不動産登記(所有権移転登記の申請)をすれば良いだけだからです。
この場合、家の名義を譲ってもらった側は、相手に対し家の価値の半額分の「代償金(だいしょうきん)」を支払うことで公平に財産分与することができます。
ただし、夫婦の合意があれば、代償金なしで相手に家を全て分与(ぶんよ:分け与えること)することも可能です。
名義変更の手順やかかる税金について詳しくは「離婚時に家を自分名義にする方法についてわかりやすくまとめた」で説明していますので、ぜひ読んでみてください。
住宅ローンがある場合
一方、住宅ローンが残っている場合には、そう簡単にはいきません。
住宅ローンを利用している場合、借入先の金融機関の了承を取らないで、家をどちらか一方の単独名義に変更してしまうと、住宅ローンの契約違反になるおそれが高いからです。違反すると、残っている住宅ローンの一括払いを求められる可能性もあります。
たとえば、夫婦でローンを組んでいて家が共有名義になっており、夫が妻に家を分与したいとしても、夫名義の住宅ローンを完済してからでないと、妻に名義変更できません。住宅ローンを完済するためには、どこかからお金を工面して支払う必要があります。
この場合によくある方法は、次の2つです。
- 実家などからお金を出してもらいローンを完済する
- ローン借り換えをして相手名義のローンを完済し、住宅ローン全額を自分名義にする
このような方法が可能な場合は、現時点で住宅ローンが残っていても夫のローンを完済することができるので、家の名義も妻に変更することができます(逆もしかりです)。
詳しくは「住宅ローンや名義を移したい場合」も併せてご覧ください。
また、連帯保証人や連帯債務の関係となっている場合は、代わりとなる別の誰かもしくは人でなくても土地や建物などの物的担保(ぶってきたんぽ)を入れることにより外してもらう方法があります。
ただし、これらの方法ができない場合には、ローンを完済するまでは、共有名義のままで我慢するしかありません。
家を売却する方法もある
夫婦共有名義の家を離婚時に単独名義にしようとすると、どちらの名義にするのか、代償金をいくらにするのか、住宅ローンはどうするのかなどいろいろと困難な問題が発生します。
かといって、家を共有状態のままにしておくと、将来のトラブルの種になる可能性が高まります。
このようなときには、家を売却することで夫婦共有名義の問題をすっきり解消することができます。
アンダーローンの場合は売却代金を分け合える
共有名義ならば、夫婦が共同で住宅を売却しなければなりません。
アンダーローンとは、残っている住宅ローンの残債(残高)が家の売却価格を下回っている状態のことです。
この場合、家が売れたらその売却代金をまずは住宅ローンの支払いに充て、残ったお金は夫婦で分け合うことができます。このように売却することで住宅ローンを完済できれば、離婚後に面倒な家の問題を持ち越さずに済みます。
オーバーローンの場合はローンを大幅に減らせる
反対に、オーバーローンとは、残っている住宅ローンの残債(残高)が家の売却価格を上回っている状態のことです。
この場合、そもそも財産分与の対象ではなくなってしまいますが、売却してしまうことで共有名義となっている関係からは解消されます。
また、売却後に残った住宅ローンを支払っていくのは、ローン名義人になりますので、住宅ローンがどちらかの単独名義になっている場合、夫婦で約束をしない限り、ローン名義人でない方は、今後も残った住宅ローンの支払いをする必要はありません。
仮に、自分が連帯保証人や連帯債務者になっていた場合でも、家を売却して住宅ローンの残債を減らしておくことで、将来、主債務者(メインで借りている人)が返済できなくなった際に自分にのしかかってくるローンの残債を少しでも減らしておくことができます。
家の売却については「離婚が原因で家を売却する時の5つのポイント」も併せてご覧ください。
そもそも、売るかどうか決まっていなくても、いくらぐらいで売れるのかというのは「財産分与」の観点からも必ず知っておく必要があります。
とはいえ、売るかどうか決まっていないのに「不動産会社に査定してもらう」ということにハードルを高く感じる人は少なくありません。
離婚が理由で、自分の家がいくらなのか知りたいという人は、まず「イクラ不動産」でご相談ください。簡単に素早く査定価格がわかるだけでなく、あなたの状況にピッタリ合った売却に強い不動産会社を選べます。