東京都の「土地を売却した理由」について、売主様アンケートの回答をランキング形式で紹介し、あわせて買主への上手な売却理由の伝え方を解説します。
東京都の「土地の売却相場・動向データ」や「売却実績事例データ」を知りたい方は、「東京都の土地・中古戸建て売却価格の相場と動向をやさしく解説」に掲載しているので、ぜひご覧ください。
土地を売却した理由
ランキングTOP7
順位 | ポイント |
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1位 売り時だと思ったから(36.4%) |
東京都における土地の売却理由第1位は、「売り時だと思ったから」という結果でした。「令和5年東京都基準地価格の概要」によると、東京都の住宅地の地価は11年連続で上昇しています。そのため、上昇傾向にある今が売り時だと判断する人が増えたと考えられます。 |
2位相続関連 (20.8%) |
東京にある実家と土地を相続したものの、すでに自宅を所有していたり相続税が高かったりするために、そのまま売却するケースも多いです。 |
3位 住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて) (13.4%) |
子供の進学や家族の定年退職など、ライフステージの変化により、家や土地を売って住み替える人も多くいます。 |
4位ローンの返済苦など金銭的な理由 (10.8%) |
ローンの返済が困難になった、事業の資金繰りや家計が厳しいなど、金銭的な理由で土地を売却するというケースもあります。 |
5位その他 (10.6%) |
そのほかの売却理由として、「親の介護のためにまとまった現金が必要となった」「老人ホームへ入居するにあたって自宅と土地が不要となった」「娘・息子と一緒に住むことになり、今まで住んでいた家と土地を売ることになった」といった回答も寄せられました。 |
6位 転勤・転職(仕事や勤務地の変化など)(5.3%) |
東京都で土地を売却した理由として、「転勤・転職」も一定数見られました。 仕事で勤務地が変化することにより、今の家や土地を売って新しい住まいを求める人が多いようです。 |
7位離婚・別居 (2.8%) |
東京都の離婚率は1.43(人口1,000人に対して:2022年)で、全国平均の1.42とほぼ同じですが、離婚することにより土地や家を売却する人が、やはり一定数いるようです。 |
- <調査概要>(データ参照元)
- イクラ不動産で不動産を売却した売主様に向けたアンケート調査
- <実施方法>
- 実施日 2022年10月〜2023年11月30日
順位別に実際の売主様の声&買主への上手な伝え方をご紹介
こちらでは、土地売却を決めた売主の実際の回答に加えて、売却理由別に買主への上手な伝え方を解説しています。
1位(36.4%)売り時だと思ったから
〈売主様の実際の回答・声〉
仕事の都合上、都内にセカンドハウスを持っていたのですが、リモートワークが普及したことで使用頻度が減り、売却しようか悩んでいました。不動産会社に相談しに行ったところ、購入した当初より地価が上がっており、思っていたより高く売却できることを知ったため、売却することを決めました。良い売却をすることができたと思います。
〈買主への上手な伝え方〉
高く売れる時に売りたいと思うことは売主の当然の希望としてあるため、買主に尋ねられればそのままを伝えても問題はないでしょう。
しかし、それによって買主に特別な良い影響が与えられるということもないため、単に「住み替えです」と濁しても良いかもしれません。
2位(20.8%)相続関連
〈売主様の実際の回答・声〉
一人暮らしをしていた兄が亡くなり、実家と土地を相続しました。しかし、すでにマイホームを構えており、今後も住む予定がなかったため、売却することにしました。兄が亡くなったことへの気持ちの整理がつかない中での売却で辛かったですが、不動産会社の方が親身に対応してくださって、なんとか売却することができました。
〈買主への上手な伝え方〉
実家の土地を相続したとしても、維持管理が難しく、また利用予定がないために売却を検討する方は多い傾向にあります。売却理由としては一般的なものなので、買主には正直に伝えると良いでしょう。
3位(13.4%)住み替え(家族の変化・より良い住まいを求めて)
〈売主様の実際の回答・声〉
勤務先まで距離があり、もう少し通勤に便利なところに住みたいと思い、家と土地の売却を決めました。多摩センター駅から徒歩で約25分と遠かったので、売却に時間がかかりましたが、なんとか売却することができたので良かったです。
〈買主への上手な伝え方〉
住み替えは土地の売却理由としてはメジャーなため、買主にそのままを伝えても悪くとられる心配はないでしょう。
買い替えや住み替えの相談については、「家の買い替え・住み替えの相談はどこにするべき?」で、また買い替え全般については、「買い替え(住み替え)で家やマンションを売却する流れと成功のコツを基本から解説」で詳しく説明しています。
4位(10.8%)その他
〈売主様の実際の回答・声〉
両親の介護が必要になり、幸い子供たちも独立していたため、両親のいる実家に同居することにしました。あまり時間に余裕がなかったため、価格など不動産会社さんにお任せしていましたが、査定価格より高く売れて驚きました。
〈買主への上手な伝え方〉
高齢になった親との同居により、住んでいた家と土地を売却するケースも増えています。買主にそのまま事実を伝えても問題はありませんが、急ぐ場合は価格交渉で不利になることもあるので、「住み替え」などと濁して伝えるほうが良いでしょう。
5位(10.6%)ローンの返済苦など金銭的な理由
〈売主様の実際の回答・声〉
家業が上手くいかず、ローンの返済が難しくなったため、家と土地を売却することにしました。土地が旗竿地だったので、相場より価格がかなり下がってしまうだろうと思っていましたが、相場価格に近い額で売却することができました。最後まで諦めなくて本当に良かったです。
〈買主への上手な伝え方〉
買主の購入に影響を与えないのであれば、売主のプライベートな理由を特に伝える必要はありません。買主から売却理由を聞かれたら、「住み替えのため」と答えを濁しても問題ないでしょう。
6位(5.3%)転勤・転職(仕事や勤務地の変化など)
〈売主様の実際の回答・声〉
福岡の方に転勤することになったため、家と土地を売却することにしました。八王子駅から近く、生活利便性が高かったため、すぐに買い手が見つかり、早期で売却することができました。
〈買主への上手な伝え方〉
転勤や転職のために、土地を売却することはめずらしくありません。正直に買い手に伝えたとしても、特に問題はないと言えるでしょう。
転勤による売却については、「転勤で持ち家はどうする?売却と賃貸の流れと判断基準、高く売る注意点は?」や「転勤で持ち家の戸建てやマンションを売却!不動産会社選びで失敗しないポイント」で詳しく説明しています。ぜひ読んでみてください。
7位(2.8%)離婚・別居
〈売主様の実際の回答・声〉
離婚することになり、家と土地を売りに出すことにしました。離婚での売却だったので相談できる人が少なく不安でしたが、不動産会社の方に支えてもらいながら、なんとか売却することができました。
〈買主への上手な伝え方〉
離婚・別居といったネガティブな理由は、たとえその土地自体になんの禍根もなくても、買主にとっては心理的に歓迎しかねるものです。「住み替え」「資産整理」などと伝えておくほうが良いでしょう。
基本的に、説明が義務付けられた以下の4つの瑕疵にあたらず、物件そのものに関係がないのであれば、個人的な理由を説明する必要はありません。
瑕疵の種類 | 概要 | 具体例 |
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心理的瑕疵 | 買主の心理状態に悪影響を与える恐れのある場合 | ・過去に自殺や事故があった物件 ・嫌悪施設の跡地 等 |
法律的瑕疵 | 現在の建築基準法に違反している、もしくは法的制限のある場合 | ・再建築不可物件 ・建築基準法違反 ・市街化調整区域に建っている 等 |
物理的瑕疵 | 土地・家屋そのものに欠陥がある場合 | ・耐震強度不足 ・地中埋設物 ・シロアリによる被害 ・ヒビ、水漏れ 等 |
環境瑕疵 | 物件を取り巻く環境に問題がある場合 | ・隣人トラブル ・嫌悪施設の付近である ・騒音がある 等 |
離婚による不動産の売却については、「【離婚×不動産売却まとめ】離婚時の不動産の扱いについて基本から解説」でくわしく説明しています。
この記事のポイントまとめ
今回のアンケート調査からわかったことは、次のとおりです。
- 東京都の土地の売却理由は、「売り時だと思った」が1位という結果だった
- 地価の上昇により、売り時だと判断して土地を売却する人が増えてきている
- 東京都では転勤や転職など仕事の事情で他県へ移り住むことになった結果、土地の売却を選択する方の割合もやや高い