両親と同居するための家を購入しようと考えています。
親子でローンを支払っていきたいので、親子リレーローンについて知りたいのですが。
こちらは、イクラ不動産をご利用いただいたお客様の実際のご相談内容になります。
※イクラ不動産は不動産会社ではなく、無料&匿名で不動産の相談・会社選び・査定ができるサービスです。
同居する家を親と子で購入する場合、両方が住宅ローンを負担することがあります。その一つが「親子リレーローン」です。
ここでは、親子リレーローンの仕組みやペアローンとの違い、注意点などについて詳しく説明します。親子2世代で住宅ローンを組んでの住宅購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
1.親子リレーローンとは
親子リレーローンとは、親と子で1つの住宅ローンを契約して住宅購入資金を借り、その返済を親から子に引き継げるように設定したものです。
住宅ローンを提供している金融機関によっては「親子リレー返済」や「親子リレー住宅ローン」といった呼び方をしていることもあります。
親と子が同居する住宅を購入する際に利用できるほか、親と子、それぞれの収入が少ないので単独で住宅ローンを組めない場合や、親が高齢のため返済期間を確保することがむずかしい場合などに使われることが多いです。
親子リレーローンでは、親と子は、複数人が共同でお金を借りた場合に全員がその返済の義務を負う連帯債務者になります。
1-1.親子ペアローンとの違い
「親子リレーローン」と「親子ペアローン」は、言葉は似ていますが内容は違います。
親子ペアローンとは、親と子がそれぞれが1つずつ住宅ローンを組んでお互いがお互いの連帯保証人となり、同じ住宅の購入資金を借りるというものです。
親子リレーローンが、リレーでバトンを繋いでいくように親から子へ住宅ローンを引き継いでいくのに対し、親子ペアローンは、親子が二人三脚のように共に住宅ローンを返済していくことになります。
親と子を乾電池に、住宅ローンを電流に見立てると、親子リレーローンは直列つなぎ、親子ペアローンは並列つなぎというイメージです。
親子リレーローンが親子で1つの契約を結ぶのに対し、親子ペアローンはそれぞれが単独で住宅ローンを契約するため、ローンを組む際の契約事務手数料等の諸費用も2契約分かかるという点を覚えておきましょう。
2.親子リレーローンの要件
親から子に住宅ローンを引き継ぐ親子リレーローンを借りるためには、いくつかの要件を満たさなければなりません。
金融期間によって異なりますが、親子リレーローンを借りる際のおもな要件について、詳しく説明します。
2-1.同居についての要件
親子リレーローンを設定している金融機関によりますが、現在同居中、もしくは将来、同居を予定している親と子であることを要件としていることが多いです。
しかし、中には「フラット35」の親子リレーローンのように、同居や同居予定を要件にしていないものもあります。
フラット35とは、民間の金融機関と住宅金融支援機構が提携しているローンです。
2-2.収入についての要件
親子リレーローンを申し込むには、親と子、それぞれに安定した収入があることが必要です。具体的には、給与所得者であれば勤続年数や前年度の年収などが審査されます。
しかし、金融機関によっては、親がリタイアしていても公的年金等を収入とみなし、親子リレーローンを借入することが可能です。
2-3.団体信用生命保険についての要件
団体信用生命保険(団信)とは、住宅ローンの契約者が万一死亡してローンが返済できなくなった場合、団信からの生命保険金をローンの残債に充てて完済するというものです。
通常、1つの契約に対して1名が団信に加入することになっているため、親子リレーローンの場合も、親か子、どちらか一方の加入が要件となっています。
親子リレーローンの場合は、子どもの団信加入が要件になっていることが多いです。
しかし、親子リレーローンを設定している金融機関の中には、親と子、どちらが団信に加入するかを選べるものもあります。
もし、団信に加入していない方が亡くなった場合、もう一方がすべての住宅ローンの返済を負うことになるため、加入者を選ぶ際には慎重に検討しましょう。
3.フラット35の親子リレーローン
ここでは、住宅支援機構が提供しているフラット35の親子リレーローンについて説明します。
住宅支援機構とは、住宅購入のための資金供給を支援し、消費者の住生活向上への貢献を目指す独立行政法人機関です。
フラット35は、全国の都市銀行や信託銀行、地方銀行、信用金庫など、さまざまな金融機関が提携しているので、メインバンクや自分に合った金融機関から利用先を選ぶことができます。
フラット35のおもな特徴、および融資可能な住宅の条件は、以下の通りです。
- 最長35年間、全期間固定金利で借入可能
- 保証人や繰り上げ返済手数料が不要
- 住居購入時の費用(住居代金以外)も借入可能
- 一戸建て住宅場合は、住居面積が70平方メートル以上のもの
- マンションなどの共同住宅の場合は、住居面積が30平方メートル以上のもの
- 住宅金融支援機構が定めた技術基準に、住宅の耐久性などが適合する住宅(適合証明機関の検査を受け、適合証明書の交付が必要)
フラット35が提供している親子リレーローンには、次に紹介するような特徴があります。
3-1.親が団体信用生命保険を利用できる
通常、親子リレーローン一では子どもが団体信用生命保険(団信)に加入することになっているものが多いですが、フラット35の親子リレーローンでは、親と子、どちらが団体信用生命保険に加入するのかを選べます。
親の方が団信に加入した場合、親が80歳になった時点で団信から外れ、子どもに加入が引き継がれることになります。
3-2.親の年金も収入として認められる
フラット35の親子リレーローンでは、親がリタイアしていても、年金を収入として認めてもらえます。
一般的な住宅ローンの中にも年金を収入としてみなしてもらえるものもありますが、借入可能額が低くなったり返済期間が短かったりすることが多いです。
しかし、フラット35の親子リレーローンであれば、親の収入が年金であっても通常の住宅ローンよりも借入可能額が多くなり、また返済期間も長く設定できます。
4.親子リレーローンのメリット
親子リレーローンの仕組みがわかったところで、具体的な親子リレーローンのメリットについてみていきましょう。
4-1.借入可能金額が高くなる
親子リレーローンのメリットとして、親と子、それぞれだけで借り入れるよりも借入可能金額が高くなる点があげられます。
例えば、次のような状況で、親と子がそれぞれローンを組んだとします。
親(65歳) 年収200万円(年金) |
借入可能期間 | 最長15年 | 80歳まで |
借入可能額 | 840万円 | 金利1.25% | |
子ども(35歳) 年収350万円(会社員) |
借入可能期間 | 最長35年 | 80歳まで |
借入可能額 | 2,951万円 | 金利1.3% |
親と子を合わせた借入可能額は、840万円+2,951万円=3,791万円 です。
しかし、親子リレーローンを組んだ場合、以下のようになります。
親(65歳) 年収200万円(年金) 子ども(35歳) 年収350万円(会社員) |
借入可能期間 | 最長35年 | 子が80歳まで |
借入可能額 | 5,410万円 | 金利1.3% |
親子リレーローンを組むと、それぞれ単独でローンを組むよりも1,619万円も多い、5,410万円が借入可能金額となります。
4-2.返済期間に余裕ができる
親子リレーローンを組むと、借入可能金額が高くなるだけでなく、返済期間にも余裕ができます。
先ほどの例からもわかるように、親と子がそれぞれ単独でローンを組んだ場合、子どもの返済期間は35年ですが、親の返済期間は80歳までなので15年です。
しかし、親子リレーローンだと、親の返済期間も含めて35年で設定することができるようになります。
4-3.住宅ローン控除が使える
親子リレーローンを利用すると、親と子、それぞれが負担する住宅ローン分の住宅ローン控除を適用することができます。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)とは、借入した人や購入した住宅が適用要件を満たしていれば、家を購入してから13年間、住宅ローン残高の0.7%の額を所得税から控除され、所得税で控除しきれない分は住民税からも一部控除されるというものです。控除額は住宅ローンの借入状況によって異なりますが、一般住宅の場合、年間最大40万円が控除されます
親子リレーローンだと、親と子、それぞれの負担分に応じた住宅ローン控除を受けることが可能なので、かなりの節税になります。
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んだ翌年に確定申告をしなければ税金の還付を受けることができません。忘れずに申告するようにしましょう。
4-4.両親が高齢でも住宅ローンが組める
一般的な住宅ローンは、ローンを組む際とローン完済時の年齢に制限があることが多いので、親が高齢の場合は住宅ローンを組むことがむずかしくなります。
例えば、単独でフラット35のローンを利用する場合は、申込者本人が満70 歳未満で完済時に満80 歳未満という制限があるため、親が70歳以上場合はローンが組めません。
しかし、親子リレーローンを利用すると、ローンの後継者である子どもの年齢が設定時の基準となるため、親が高齢であっても、親の収入を含めた住宅ローンを組むことができます。
5.親子リレーローンの注意点
親子リレーローンを利用する際には、以下のような注意点があります。
5-1.新たなローンを組むことが難しい
親子リレーローンを組んでいると、新しく他のローンを組むことが難しくなります。
例えば、子どもが親子リレーローンで購入した住居以外の不動産などを購入しようしても、新たなローンを組むことがでないことがあるので注意が必要です。
5-2.贈与とみなされる可能性
親子リレーローンで住居を購入した場合、その住居の登記内容によっては、親から子への贈与とみなされることがあります。
例えば、親子リレーローンで購入した不動産の登記をすべて子どもの持ち分にしてしまうと、親が負担したローン分の持ち分の贈与とみなされ、贈与税が課せられるので気をつけるようにしましょう。
5-3.兄弟が複数いる場合の相続が複雑になる
親子リレーローンを組んだ子どもに兄弟がいる場合、相続が発生した際の分配が複雑になる場合があります。
基本的に、親子リレーローンで購入した家を相続するのは、親と一緒にローンを組んだ子どもだけです。
しかし、その子どもに兄弟がいて、かつ、親子リレーローンで購入した家以外に分配できるような相続財産がないような場合、その家の親の名義分をどのように兄弟で分けるかといった問題が生じる恐れがあります。
このような状況に陥らないようにするためにも、兄弟がいる子どもと親が親子リレーローンを組む場合は、相続時に分配をどうするかについてしっかりと話し合っておくようにしましょう。
まとめ
親や子どもと同居する家を購入するのであれば、親子リレーローンの利用を検討してみるのも一つの手です。
同居用の家を購入する際に、今、住んでいるマンションや家が少しでも高く売れれば、返済の足しになることは言うまでもありません。
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